この2024-2025年シーズンも11月23日、ついに幕開けとなりました。例年、スノーアクティビティーは1、2月をピークに4月頃まで楽しめます。周辺には温泉も点在し、日本人にはうれしい穴場! 第2回では、大自然に抱かれた露天風呂がある「ストロベリーパーク・ホットスプリングス」をご紹介します。
【コロラド州の絶景ゲレンデと知られざる温泉を巡る旅 VOL.2】
山中の名湯がスキー疲れを吹き飛ばす
野趣あふれる温泉はかなりクセ強め
ストロベリーパーク・ホットスプリングスは、日本の温泉施設のような至れり尽くせりのおもてなしとは全く違う、アメリカならではの異文化体験が味わえる露天風呂。「スチームボート・リゾート」のスキー場のある中心地からは車で約20分の距離に位置し、冬はスキーヤーやスノーボーダーたちが疲れた体を癒やしに訪れます。UberやLyftなど配車サービスの利用は許可されていないため、車がない場合は提携する送迎シャトルサービスをホテルのスタッフに予約してもらいましょう。
利用方法は独特。まず、オンラインで日時を指定し、予約します。現地に着くと、外に受付用キヨスクがあるので、ここで入湯料を現金で支払ったら、あとはほぼセルフの大らかさ。男女別の脱衣所やロッカールームはなく、東屋のようなところで水着に着替えます。荷物も置きっぱなし。トイレこそ個室ですが、そのほかは開けっぴろげで、いわゆる山奥の野湯スタイルに近い印象です。
そんな不便さもまた良し。「郷に入れば郷に従え」とは言うものの、気になる方はホテルで中に水着を着込み、貴重品は持たないで行くのがおすすめです。
雄大な山々に抱かれる温泉の開放感
何はともあれ、水着になったらこっちのもの。持参したバスタオル、サンダルをその辺に引っ掛けて、渓谷のパノラマビューと天然温泉を堪能するのみです。
無消毒で無臭、無色透明な天然温泉。景色もさることながら、温冷浴ができるところも魅力です。高所では熱々の源泉かけ流しの岩風呂、低所では渓流の水と混じり合ったぬるめの湯、または冷たい渓流そのものを水風呂として利用できます。
高所の岩風呂に気持ちよく入っていると、たまにやって来るアメリカ人は顔を真っ赤にしながら、
「これは熱すぎて無理」
と、すぐに音を上げて低所へと去っていきました。日本人的には適温なんですけれどね。かなり深めで基本は立ち湯となるのですが、おかげで腰かけられる数少ない岩場を陣取り、悠々と静寂の中で露天風呂を満喫できました。
寒中水泳チャレンジに大人も子どもも大はしゃぎ
低所では大きく上段、下段のふたつのプールに分かれています。極寒の季節ということもあり、上段は長湯に適したぬるめの湯として悪くないのですが、下段はぬるすぎて寒いほどでした。また、渓流に近いせいか、いろんなものが浮いていて、お世辞にもきれいとは言えません。
石造りの階段状になっているため、湯に浸かり、寝そべってくつろげるのは◎。ちらちら降り始めた雪を見上げながら、心の底からリラックスできました。
2時間という利用制限があり、あっと言う間に時は過ぎていきます。夫と息子は何をしているのか? と見渡してみると、渓流でひと泳ぎしては温泉で暖まる繰り返しのようです。
「ママも泳いでみて」
と夫と息子に背中を押されますが、やんわり断ると
「大丈夫!できるよ」
と力強く励まされ(苦笑)、渓流に足をつけるところまで行きましたが、やっぱりダメでした。渓流には男性がほとんどでしたが、女性の姿もちらほら。いやいやいやいや、冷たいって!
ともあれ、水着での入浴が一般的なアメリカの温泉ならではの光景。カップルや家族、仲間同士など、性別問わず一緒の空間にいられるのはいいものですね。実はこの温泉、日没後には水着がオプションとなり、子どもは入場不可に。もちろん、男女の別なく混浴のままですので、気の進まない方は日中に利用したほうが良さそうです。これもまた、ヒッピー文化が根付くアメリカの温泉にありがちなシチュエーションかもしれません。
物価高のご時世に、入湯料は20ドル(約3000円、2024年11月現在)と、比較的手頃。時間制のため、過度に混み合うこともありません。よりプライベートな体験を重視する方は、セラピーのオプションを追加できます。敷地内では、一風変わったキャビン泊やテント泊も可能なので、興味があれば、ぜひホームページをチェックしてみてください。
■ストロベリーパーク・ホットスプリングス
County Road #36 Steamboat Springs, CO 80487, USA
https://strawberryhotsprings.com
アメリカ・シアトル在住。エディター歴20年以上。現地の日系タウン誌編集長職に10年以上。日米のメディアでライフスタイル、カルチャー、旅、海外移住、バイリンガル育児など、多数の記事を執筆・寄稿する傍ら、米企業ウェブサイトを中心に翻訳・コピーライティング業にも従事。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。