美術館のようなホテルは、「Hostal dos Reis Catolicos」です。
柏倉さんと僕は、「マジで美術館だ!」と歓喜しました。
そして、なんと最後の晩餐もこのホテルのレストランで開催されるそうでした。
ホテル客室にむかうまでに、いくつかの中庭を通ります。本来ならきっとこのような高級なホテルは、ハイカーである僕には泊まることはないのだろうと思います。
GORE社さんのおもてなしに感謝し、僕は空いた時間で大聖堂の周りを散策することにしました。
しかし、ホテルを出ると直ぐに降り出した雨は、傘が役に立たないほどの大雨に変わったのでした。もう1時間到着が遅れていたら、きっと大雨に見舞われていたのかもしれません。
雨宿りしながら、大聖堂広場にやってくる巡礼者たちを見つめていました。
大粒の雨の中、抱き合うカップル。お互いを称えあう若い巡礼者達。自転車で周る巡礼者。雨にも関わらず、次々にやってきては旅路を終えていきました。
そんな姿をみて、あの歓喜の輪に入れない自分がすこし寂しく感じました。長い旅路の末のゴール。スルーハイキング(単年で一気にルートを歩き通す歩き方)を自身のスタイルにしている
僕にとって、あの場所にいない居ることのない自分に少し違和感を感じていたのかもしれません。
やがて夜になり、GORE社さんの晩餐が始まりました。素敵な食事と宿に、参加者全員は感激していました。
僕たちチーム日本以外は、明日お昼にみんな帰路に着きます。
色々お話をしながら過ぎる優しい時間。そして食事後はオープンスペースで、3日間の写真を使ったスライドショーを見せて頂いて、旅の終わりを、寂しさを感じていました。
きっとこの3日間、懇親会を含めると4日間。僕たちはチームGOREになっていたのかもしれません。
翌日は、早朝にバスで出発し、マドリッドの空港へ。ターミナルごとにバスから降りていく参加者。僕たちは握手をし見送っていきます。そして、最後に残ったのはチーム日本の2人だけでした。
僕たちはフライトの関係もあり、マドリッドの空港近くのホテルにもう一泊したのでした。チーム日本の2人の最後の晩餐で、柏倉さんに聞いてみました。歩き旅はいかがでしたか?
日本と違い、老若男女問わず多くの人々が歩いているのが見られた。特に若い人が多いのには驚きました。そして歩いている人たちは、自由でそれぞれがそれぞれに想う旅なのだという雰囲気がありましたね。
また、地域のサポート体制も万全で安心できる道でしたし、世界中の人々が訪れる巡礼の道は本当に穏やかな場所ばかりだった。
歩くというスピードのおかげで、海外の普通の日々を感じられ、それが嬉しかった。若者たちが遠足のような感覚で歩き、ゴール地点の聖堂で抱き合っているのが微笑ましかった。
まさにおっしゃる通りだと思いました。
つづく
【Profile】斉藤正史
山形県在住
LONG TRAIL HIKER
NPO法人山形ロングトレイル理事
トレイルカルチャー普及のため国内外のトレイルを歩き、山形にトレイルを作る活動を行う。
ブログ http://longtrailhikermasa.blog.fc2.com/
山形ロングトレイル https://www.facebook.com/yamagatalongtrail