ワイルドでミステリアス!約2万年前の氷河期に形成された“アメリカ東海岸の岩石フィールド”を歩いてみた
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    2024.12.23

    ワイルドでミステリアス!約2万年前の氷河期に形成された“アメリカ東海岸の岩石フィールド”を歩いてみた

    ワイルドでミステリアス!約2万年前の氷河期に形成された“アメリカ東海岸の岩石フィールド”を歩いてみた
    毎回ユタ州の大自然の魅力をお届けしている筆者ですが、今回はペンシルベニア州のポコノ山地域(Pocono Mountains)にある岩石のフィールドで、何度もコケながら(笑)子供のように無邪気に遊んできました。

    まるで地球の過去にタイムスリップしたかのような、ミステリアスな雰囲気が楽しめる氷河期のあとに形成された「ボルダー・フィールド(Boulder Field)」をご紹介します。

    氷河がつくり出した岩の世界

    アメリカ東海岸の隠れた宝石「ポコノ山地域」とは?

    ペンシルベニア州のフィラデルフィア国際空港から、車でおよそ2時間半。緑豊かな森林に囲まれた、田園風景が広がる自然の楽園「ポコノ山地域」。とくに秋の紅葉は圧巻で、日本の厳かな秋の景色とは少し違い、広大な森林が鮮やかな赤、オレンジ、黄色に染まる絶景は力強く燃えているという表現がぴったりです。とはいっても感じかたは人それぞれですが…。

    実は筆者の夫はペンシルベニア州の出身。1週間ほど私用で夫の家族に会いに行ったのですが、アメリカの西から東まで飛行機で4時間以上かけての移動だったので、半日だけでもアウトドアを楽しみたい!と急きょネットで検索して決めたのがこの大自然の穴場だったのです。しかも入場は無料。

    正直なところ、ネットの写真を見たときはあまり惹かれず…(笑)。ユタ州の大自然からの浮気はありえないと勝手に思い込んでいたのですが…。見事にポコノは、良い意味で裏切ってくれました。結論からいうと、地球ってすごい!

    訪れた10月下旬は、最高潮だった紅葉が冬の枯れ葉へと変化していく季節。

    スマホのアップルマップと園内の看板をたよりにドンドン森の中へ!青空の下、車の窓を開けて木々の香りを深呼吸。ちなみに森の中って曇り空だと、少し恐怖を感じたりするので晴れててよかった。

    およそ2万年前に形成されたボルダー・フィールド

    ポコノ山全体が、ペンシルベニア州の北東部に広がる大きなエリアを指していて、今回訪れたヒッコリー・ラン州立公園はその中でもとくに有名な観光地のひとつです。公園内にある「ボルダー・フィールド」は、まるでジグソーパズルのように無数の岩が並んだ広大な敷地。

    ペンシルベニア州自然保護・天然資源局の公式サイトに、とても分かりやすい説明が載っていたのでそのまま引用しますね。

    「まるで巨大なブルドーザーのように氷河が地面を削り、岩や砂、その他の残骸が押し流されて氷河に凍りつきました。そのあと氷河が溶けて後退すると、この残骸が落下して、モレーンと呼ばれる沼地と氷河堆積物の地形がつくられたのです。」

    森の中に突如あらわれたボルダー・フィールド入口と駐車場。トイレはないので事前の計画をおすすめします。アウトドア好きの女性なら、自然活動でのトイレの重要性をきっと分かってくれるはず(笑)。

    ボルダー・フィールドの長さがおよそ549メートルで幅122メートル、そして一番深い所は3メートルあると書かれた看板。

    「この古代の景観が形成されるのに、2万年もの歳月がかかりました。でも岩の塔や崩れた岩、穴、落書きによって、その景観が失われるのにはほんの一瞬しかかかりませんでした」と書かれた看板。実際すでに景観が崩れていることを示していて、岩を動かさないでという訪問者へのメッセージ。

    誰でも自由に入ってOKだが、入口付近で眺める人のほうが多い。

    そんな雄大な自然の力が刻んだ地形、せっかく来たのだから歩かないともったいない!周りで小さな子供たちがぴょんぴょんとリズミカルに岩から岩へと飛びはねていく中、何度も尻もちをつきそうになりながら、どうしても慎重になってしまう筆者。子供のころは木登りが大好きで、学校では短距離走者で運動神経ばつぐんだったといっても、夫も子供たちも信じてくれない理由が分かった気がします(笑)。

    着地する岩を選ばないとグラグラ揺れるので、バランスをとるのが見た目以上に難しいのです。夫はただの言い訳だと笑っていましたが…。まるで水上に浮いたボードの上を歩いている感覚で、運動神経を試されます。

    遠く前方左で米粒ほどのサイズで見えるのが、遊んでいる小さな子供たちとお父さんとみられる男性。その光景を静かに座って眺める女性は、たぶんお母さん。

    滑り止めのついたハイキングシューズで今にも走りそうな筆者の夫。

    自分の足元に慎重になり過ぎてふと顔をあげると、スタスタひとりで遠くまでいってしまう夫…。

    息を切らしてゼーゼーいいながらも、ちゃんと筆者もこの可愛い木までたどり着きました。木の幹に触れて、大自然のパワーをもらってきましたよ。証拠写真はありませんが…。

    この岩の真下が深い所は3メートルもあるなんて、大自然の神秘を感じた時間。

    いつか森林で覆われてしまうかも?

    氷河が削り出した岩が広範囲にわたって堆積したこのフィールド。土壌がほとんど形成されないため、植物が根をはることが難しく現在も大部分が岩で覆われています。

    この先、岩が風化して微生物の活動や枯れ葉などの堆積によって土壌が少しずつ作られていく可能性もあるとか。ただこのプロセスには数千年から数万年かかるともいわれていて諸説はさまざま。

    ところどころにこうした草木が生えている部分が…。深さ3メートルもある岩の層が風化していったということなのか?

    いつの日かボルダー・フィールドが周囲の木々にすっぽりと隠れてしまう日がくるのかもしれない。

    歩くとカサカサと響く落ち葉の音が心地よい。

    ペンシルベニア州での旅の余韻を胸にホテルへと帰る道。秋から冬の光景へと変化する道両側の木々にほっこり。

    宿泊した丘の上にあるホテルから眺めるポコノ山地。

    ボルダー・フィールドの旅は砂漠地帯のユタ州とはまた違った、大自然の壮大さを体感できるひとときでした。旅って人の心を豊かにしますね!

    私が書きました!
    アメリカ・ユタ州ライター
    トロリオ牧

    2001年渡米、沖縄県出身。ユタ州ウチナー民間大使。アメリカでスーパーの棚入れ係やウェイトレス、保育士などの様々な職種を経験した後、アメリカ国防総省空軍省の仕事に就く。政府職員として17年間務めた後、パンデミックをきっかけに「いつ死んでも後悔しない人生」を強く意識するようになり2023年辞職。夫婦でRVキャンプやオフローディング、ロードトリップを楽しむのが最高の癒しじかん。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員

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