世界37か国を旅した黒猫の物語が絵本になった!ほんわか旅気分に浸れる『くろねこノロのたび』
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  • 2024.12.21

    世界37か国を旅した黒猫の物語が絵本になった!ほんわか旅気分に浸れる『くろねこノロのたび』

    世界37か国を旅した黒猫の物語が絵本になった!ほんわか旅気分に浸れる『くろねこノロのたび』
    20年以上前、東京都杉並区のとあるアパートの裏で、カラスに狙われていたところを保護された、雑種の黒い子猫。ノロと名付けられたその黒猫は、旅行好きな飼い主の平松謙三さんのかけがえのない相棒として、日本国内だけでなく、37もの海外の国々を旅した猫となりました。

    2021年の秋、ノロは20年にわたるその生涯を終えて虹の橋に向かいましたが、世界各地を巡ったノロと平松さんの旅の実話をもとにした絵本『くろねこノロのたび』が、このたび刊行されました。

    作画を担当したのは、『100ぴきかぞく』シリーズなどで人気の絵本作家、古沢たつおさん。東京都世田谷区で安村正也さんが経営する猫本専門店、Cat's Meow Books(キャッツミャウブックス)の商業出版作品の第一弾として発売されています。

    「ノロ目線」で描かれる旅のできごと

    生前のノロと平松謙三さん。

    『くろねこノロのたび』
    平松謙三(作)古沢たつお(絵)
    発行:Cat’s Meow Books

    子供向けの絵本だからこそのこだわり

    絵本を手に取って、誰もがまず気付くのが、ノロだけでなく、飼い主の平松さんや物語に登場する人々がみな、猫の顔で描かれていること。その理由は、この作品が誕生するきっかけとなった、平松さんと古沢さんの出会いの際に生まれていました。

    「2023年の秋、キャッツミャウブックスさんでノロのイベントを開催した時、店主の安村さんに、古沢さんをご紹介いただきました。古沢さんは、僕のイベントの直前にご自身の新刊本のイベントをされたばかりで、その日はサイン本の納品でご来店されていたんです。

    僕も古沢さんのご著書を購入してサインをお願いしたところ、その場でイラストを描いていただけることに。お言葉に甘えて、ではノロを! とお願いしたところ、そのイラストにはなんと、ノロと並んで僕が、同じ猫として描かれていたんです。古沢さんのサービス精神から生まれたサプライズでしたが、僕はこれがいたく気に入りました。

    そこに、僕とノロの20年の関係性まで描かれているような気がしたからです。変な言い方ですが、飄々とした絵の中に新たな世界線を見せられたような、不思議な感動がありました」と、平松さんはその時の出会いをふりかえります。

    古沢さんによるノロと平松さんの最初のイラスト。
    ©Tatsuo Furusawa

    平松さんはそれまでにも、ノロと過ごした旅の体験を絵本化したいという漠然をした思いを抱えていたそうですが、古沢さんが描いたこのイラストによって、イマジネーションが刺激され、アイデアが一気に具体化したそうです。

    一緒に絵本を作りませんか、と平松さんが申し出たところ、古沢さんもノロについてよく知っていたこともあって、話はトントン拍子で進むことに。お二人の縁をつないだ安村さんをプロデューサーに迎え、Cat’s Meow Books(キャッツミャウブックス)の商業出版の最初の作品としての刊行が決まりました。

    旅の準備をする平松さんとノロ。
    ©Tatsuo Furusawa

    この絵本の作画を担当した古沢さんは、すべての登場人物をそれぞれ個性的な猫として描き分けることにした着想について、「この絵本はノロさんの視点で語り、物語を描いています。ノロさんから見ると、すべての人間は、猫に見えていたんじゃないか? と思って。登場する人々すべてを猫化して描いたら面白いかも、と考えたんです」と話しています。

    ノロと平松さんが旅してきた数多くの国々の中から、今回の絵本で選ばれたのは、フランス、スイス、スペインの3か国。実際に平松さんたちが最初の頃に訪問した国々を舞台に、「旅に出て、おうちに帰ってくる」までの間に起こった出来事が、いきいきとした「ノロ目線」で描かれていきます。

    「ノロ目線は、子供目線と言い換えてもいいのですが、旅の中でのノロならではの学びや驚きを、子供たちに感じ取ってほしいと考えました。この絵本はとにかく、子供たちに読んでもらえる、読み聞かせしてもらえるものにしたいと思っていたので、ノロを通じて旅に憧れを持って、異文化に興味を持ってもらえたら、うれしいですね」と平松さん。

    フランスのパリ=シャルル・ド・ゴール空港
    ©Tatsuo Furusawa

    制作に際して、建物や看板の形や色、各国の文化やルールなど、細部のディテールについても非常に正確に描写されているのは、子供向けの絵本だからこそ、平松さんがこだわりたかった部分だそうです。

    「僕は海外旅行の経験があまりなく、この絵本でノロが訪れる国々の建物や人々の服装の違い、食べ物などについての知識が、ほぼゼロの状態で描きはじめました。でも、平松さんから、たくさんの写真資料やアドバイスをいただくうちに、一緒に旅をしている気持ちになって、楽しく描くことができました」と、古沢さんは平松さんとの制作中のやりとりをふりかえります。

    完成した『くろねこノロのたび』を見て、プロデューサーの安村さんは、「幼稚園児の頃に、ワクワクしながら同じ絵本を何度も開いていたことを思い出しました。これまで黒猫ノロのことを知らなかった世代や国・地域の人にまで、届くシリーズになればいいな、と願っています」と語っています。

    平松さんも、「穏やかで安定感のある、絵本らしい絵本ができて、ほっとしています。ノロの絵本の制作は、ふりかえりというより、新しい旅のようだなと感じています。続編で、ノロとおうちの人に、もっと旅をさせてみたいですね。絵本と連動した2025年版のカレンダーも作りましたが、これまでとは違った形で、ノロを感じてもらえるような商品も作ってみたいです」と話してくれました。

    これからのシリーズ展開も楽しみな『くろねこノロのたび』。まだ旅をよく知らない子供たちに、ノロは、どんな感動を届けてくれるのでしょうか。

    『くろねこノロのたび』

    平松謙三(作)古沢たつお(絵)
    発行:Cat’s Meow Books
    A4横変形判 32ページ
    価格:1650円(税込)
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784991309601

    ※文・山本高樹(著述家・編集者・写真家)

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