第107座目「飛鳥山古墳」
今回の登山口は、JR上中里駅です
東京都内の低山をめぐっている人たちの間では、今回紹介する「飛鳥山」はとてもメジャーな存在です。そんな有名な飛鳥山をどう攻略(紹介)するか?いっそ連載の最終話に登場してもらおうか?…いろいろと悩みましたが、結局は北区の山々を紹介する流れで今回取り上げることになりました。
飛鳥山の登山口=最寄り駅は王子駅です。でも、王子駅からだと目と鼻の先。それでは面白くありません。
では、ということで王子駅の1駅隣、あまり耳慣れないJR上中里駅を登山口に設定して歩いてみることにしました。
乗降客の少ない登山口を出発
学生時代から行動範囲が山手線の中だけだった僕にとって、山手線と並行しているエリアでしか京浜東北線は乗ったことがありません。もちろん上中里駅は初めて降りる駅です。
どんな駅か調べてみると、2023年度(令和5年度)の1日平均乗車人員は6,895人だそうで、京浜東北線・根岸線の駅では最も乗車人員が少ない駅になるそうです。しかも東京23区のJR駅の中でも越中島駅に次いで2番目に利用客数が少ない駅だとか。こんなに都会にあるのに不思議だなと思い、駅を降りると納得です。飛鳥山も近く、傾斜にある駅でした。
さて、どうやって飛鳥山を攻略しようか悩んだのですが、駅から飛鳥山公園に伸びる道を発見しましたので、とりあえず歩いてみる事にしました。
出発する前に駅周辺をチラ見していると、ちょっと気になるお店、立ち飲み屋の「みなみ」を発見しました。ちょっといい感じの外観ですが、張り紙のおでんと牛すじで一杯というフレーズに惹かれました。夕方5時からの営業なので、お店は閉まっていましたが、調べてみると2年前ぐらいにオープンしたお店のようで、あて、おつまみだけでなくドリンクもほぼ500円アンダーとリーズナブル。しめのメニューがゴマ団子だったり、ごはんのメニューにソースライスがあったりとめっちゃ惹かれます。
こりゃ、飛鳥山に登った後に行ったら楽しい山行になりますね。ちなみに隣に同じ名前で同じような外観で、服のお直し屋さんがあります。同じ経営者の方なのかもしれませんね。
さて、気を取り直して出発します。
JR王子駅からJR上中里駅を通り平塚神社方面まで伸びる小径(こみち)があります。それが歴史と緑をめぐる「飛鳥の小径」というルートになるそうです。今回は、せっかくなのでこの飛鳥の小径を通って飛鳥山へアプローチしたいと思います。
上中里駅の改札を出て線路沿いに王子方向へ進むと、そこはすでにもう飛鳥の小径です。こんなに線路の近くを通る道だとは思ってもいませんでした。
その飛鳥の小径を進んでいくと、何やらガードマンが立ってました。何だろう、こんな線路沿いの細い道に?…と思って見てみると、なんと小径の脇に、国立印刷局東京工場の入り口があるではないですか。従業員入り口でしょうか。こんなところにあるとは全く予想してませんでした。
国立印刷局、もちろん銀行券(お金)を作る工場です。調べてみると正面入り口は、たまたま僕が通りかかった入り口と反対方向にあるようです。なんと、国立印刷局は東京、小田原、静岡、彦根の4か所の工場があり、それぞれの工場では無料でお札が出来上がる工程などを見学できるようです。これちょっと興味ありますね。詳しくは、国立印刷局のホームページをご覧ください。
さて、国立印刷局東京工場を過ぎると、飛鳥の小径は魔の住宅街に進んでいきます。そうです、これといって書くことのないネタ無し地獄の住宅街です。一瞬ひるみ、他の道に逃げようとしましたが、そうすると飛鳥の小径から外れてしまいます。ここは我慢と言い聞かせて(?)住宅街を進んでいきます。
ひるまず住宅街を進み、再び線路沿いの住宅街を通ると、歩道橋が見えてきて人が歩いていました。入り口付近の踊り場に立つと、列車がよく見えました。写真を撮るにピッタリの場所ですね。踊り場も広いので通行する方の迷惑にならないので安心して次の列車が通過するのを待てます。いいポイント発見しました。さすが飛鳥の小径と思いつつ先に進むと、今度は左手に飛鳥公園、右手に線路というルートに変わります。金網はあるものの、かなり近くを列車が通るのは新鮮です。
線路ぎわにはアジサイも植えられているそうなので、初夏には良い雰囲気の中を歩けそうです。そのまま道を進んでいくと、飛鳥の小径から別れ、いよいよ飛鳥山公園へのアプローチが始まりました。
急登を超えて飛鳥山山頂へ
急登を登っていきます。最初の登りを超えると、直登ルートと迂回ルートがありました。さすが、優しい。僕はそのまま直登を選択して一気に登っていきます。ふとINSTA360の画面を見ると、人が映っています。ん?と思うとそこは既に飛鳥山公園の広場でした。
公園に出ると広場があり、遊具がたくさんそろっています。右に行くのだろうか、左だろうか悩みつつ、僕は上中里駅方向に歩きだしました。船津翁碑(ふなずおきな)の前を通り進んでいくと、左手にその山頂が見えてきました。柵に覆われていて入れないかと思えば、中に子供たちがいます。これは入り口がどこかにあると思い、飛鳥山公園エプロンマーク方向に歩いていきます。すると入り口がありました。そしてようやく登頂したのでした。
なお、山頂は飛鳥山公園とは別の敷地、しかも開園・閉園時間が決まっている旧渋沢庭園の中にあるので訪れる際はご注意ください。
しれっと上の写真のキャプションに記しましたが、実は今回登頂したのは「飛鳥山古墳」でした。読者の皆さんならすでにお分かりかと思いますが、古墳も山や丘を利用して作られています。飛鳥山公園のこの場所も「山」といえるのです。
実はこの飛鳥山、Googleマップによると、城跡もあるようです。これだけの規模の山です。山を利用してつくられた平山城になること間違いなしです。※山と城の関係は、前回の記事を参照してください。
さて、この飛鳥山にはいくつの山頂があるのでしょうか。次回はその謎に迫ります。
ということで、次回は北区の飛鳥山その2です。