私たち夫婦も、ネットで見るキラキラしたバンライフに憧れを抱き、この生活をスタート!しかし、実際に2年にわたるヨーロッパでのキャンピングカー生活を経験してみて、理想と現実には大きなギャップがあることを実感しました。
魅力的な要素が多くありますが、時には車両の故障や生活インフラの確保、天候の影響など、さまざまな困難や挑戦が待ち受けていることもあります。今回はそんな体験談をもとに、リアルなバンライフの姿をお届けします。バンライフの魅力と現実、どちらも知った上で準備することが大切です。
夫婦の長年の夢だった”ヨーロッパバンライフ”を始めて2年が経過!
私たち夫婦は、テレビやSNSで見る自由な海外バンライフに憧れを抱き、「いつかは私たちもこんな風に世界を旅してみたい!」と夢描いていました。そしてついに、約4年間の長い準備期間を得て、2023年にヨーロッパ周遊旅をスタートすることができました!
365日、フルタイムでキャンピングカー生活を送りながら、リモートワークで仕事をこなしつつ、ゆっくりと各国を旅すること、早2年が経ちました。
イタリアから始まり、自分たちのペースで自由に移動しながら、今まで16カ国を訪問し、毎日が新しい発見の連続です。言葉を失うような絶景の自然の中で静かな朝を迎えたり、まるで絵本から飛び出したかのような可愛い田舎町を訪問したり、現地の人々とのふれあったりと、バンライフだからこそできる特別な体験を数多くできました。
もちろん、旅は楽しいことばかりではありませんでした。慣れない車暮らしで、不便や大変なことも多いだろうと覚悟はしていたものの、実際にやってみると思い描いていた以上に、イメージと現実のギャップに正直びっくりしました。
今回は私たちがヨーロッパで長期のキャンピングカー旅をする中で、実際にやってみて大変だなと思ったことや、イメージと違ったことなどを5つ挙げていきます。
実際のバンライフ:現実はどうだった?
水と電気には限りがある!
キャンピングカーでの生活には、水や電気などの生活インフラの確保が大きな挑戦です。キャンピングカーには調理やシャワー、手洗いなどをするための水タンクが搭載されています。しかし、容量は150Lと限られているため、使い切ってしまわないように節水を心がけ、定期的に給水所を探して補充する必要があります。
地域によっては、給水スポットを探すのも一苦労で、特に冬場は凍結対策として元栓から閉じている施設が多いので、意外と給水設備が見つからないこともあります。また、使い終わった水も適切な場所で排水しなければならないので、常に「使う水の量・給水場・排水場」を意識しながら生活することが求められます。
電気も同じで、サブバッテリーとポータブル電源、ソーラーパネルを搭載していますが、仕事でパソコンを長時間使用すると、バッテリーの消耗が早くなります。また、天気の悪い日や冬場はソーラーパネルの発電量が低下し、バッテリーの充電が追いつかないので、外部AC電源に頼ることもあります。
普通の家では当たり前に使っていた電気と水も、バンライフでは限られた資源であるため、無駄なく使うことが大切です。電力や水の不足に悩まされないように、使用状況の管理と、次の補給スポットや電源サイトを事前に調べる計画性が欠かせません。
思いがけない車の故障や不具合
キャンピングカーは「家と車」が一つになった特殊なつくりになっており、長期間にわたる移動や振動、厳しい環境での生活などが原因で、どうしてもトラブルが発生しやすいことがあります。また、通常の家や車両とは異なる構造や設備を備えているため、修理には専門的な技術が求められ、かなりの高額な費用がかかることがあります。
今までの旅の中でも、電気系統のトラブルや水道設備の不具合などの問題が起こりました。その度、整備工場を探したり、修理にかかる時間や費用、部品の調達などの問題に直面し、非常に大きなストレスとなります。
旅中の車両トラブルは、精神的な負担が大きいだけでなく、金銭的にも大きな負担となるため、できれば避けたいものです。日頃から車両の点検やメンテナンスを怠らないことが重要ですが、このようなトラブルはいつ起きるか予測がつきません。バンライフを楽しむには、リスクを覚悟し、柔軟に対応する心構えも必要だと実感しました。
天気予報と睨めっこしながらの毎日
長期バンライフは、思っていた以上に天候に左右されることがわかりました。SNSで見るバンライフの写真は、どれも晴天で美しい風景が広がっていますが、実際に365日暮らすとなると、雨や雪、台風などの厳しい気象条件にも直面します。
外との距離が非常に近いため、天候の影響を受けやすく、特に大雨や強風などの悪天候に見舞われると、雨音や風の音が車内に激しく叩きつけ、車が壊れるんじゃないか、雨漏りがするんじゃないか、とヒヤヒヤさせられます。
一番怖かった体験は、雹が降ってきた時です。突然、空が暗くなり、激しい風と共に雹が降り始め、車の屋根に当たる音は、恐怖そのものでした。雹の大きさによっては、車のガラスやボディに深刻なダメージを与えることがあるため、壊れないか不安でいっぱいでした。幸い、10分ほどで嵐は無事に過ぎ去り、車に被害はなくホッとしました。自然の厳しさをリアルに感じた瞬間です。
天気予報をこまめにチェックし、必要に応じてルートを変更するなど、臨機応変に対応しながら旅をすることが大切だと身にしみて感じました。
毎日が絶景の車中泊スポットではない
バンライフの最大の醍醐味は、自由に絶景を求めて車中泊できることです。湖畔のほとりや海辺、雄大な山々を見渡せるスポットなど、緑豊かな自然に囲まれて最高のアウトドアライフを堪能できます。
しかし、実際のバンライフでは、毎日そんな美しい風景ばかりの車中泊スポットに寝泊まりするとは限りません。移動し続ける中で、道路脇やサービスエリア、ただの駐車場で車中泊をすることもあり、周囲の騒音や安全面での不安もあります。
墓地や廃墟の隣など、少し変わった場所で寝ることもあり、毎日が絶景ではないけれども、非日常的な体験ができ、刺激的な日々を送っています。
安全性と治安の問題
ヨーロッパは一般的には比較的安全とされていますが、注意が必要な地域もあります。特に、パリやローマなどの有名観光地や都市部では、観光客を狙ったスリや窃盗、車上荒らしなどが頻発するので、訪れる際には慎重に行動することが重要です。キャンピングカーは車上荒らしの標的になりやすいため、特に要注意です。
キャンピングカーは「移動する家」で、車内に貴重品や大事な身分証、私物など生活に必要なものが全て揃っているので、万が一盗難に遭ったらと思うとゾッとします。こうしたリスクを避けるために、私たちは治安が不安な場所や、盗難が発生しやすい地域への観光を控えるようにしています。
バンライフはどこでも自由に車で訪れて観光できるというイメージがありますが、実際には治安が悪い地域を避ける必要があったり、大きな車の侵入を禁止している場所があったりと、思ったほど自由ではないこともあります。
しかし、その一方で、都市部を離れた静かな自然の中や田舎町などでは、安心して過ごせるスポットがたくさんあります。バンライフならではの特権を活かして、そんな美しい場所で過ごし、旅を満喫するようにしています。
困難もあるけれど、やっぱりバンライフは最高!
海外バンライフは、自由で魅力的な旅のスタイルであることは間違いありませんが、理想と現実には少なからずギャップがあることも事実です。不便が多く、不安や予期せぬ問題に直面することもあります。
でも、こうした困難を乗り越えることで得られる達成感や、新しい環境での発見は、バンライフならではの魅力です。大変な部分もありますが、それ以上に得られる楽しさと満足感が、バンライフを続ける力になっています。