砂漠地帯とはミスマッチに思えるカモメですが、実はユタ州の歴史的な出来事「モルモン・カモメの奇跡」と深く関わっていたのです。
4択クイズでカリフォルニア・カモメについて楽しく学びましょう!
【第1問】カリフォルニア・カモメは、どの州の「州鳥」に指定されていますか?
a) カリフォルニア州
b) ユタ州
c) ネバダ州
d) アリゾナ州
すでに記事の導入部に答えをはっきり書いていますが…(笑)。鳥の正式名に「カリフォルニア」とついているほどなので、普通に考えたらカリフォルニア州だと誰もが思いますよね?
答えは「b) ユタ州」。実はこのカモメ、ユタ州のヒーローなのです。
1848年、ユタ州の開拓者たちは農地を荒らす大量の「モルモンコオロギ」と呼ばれる大型昆虫に頭を抱えていました。開拓者たちの必死の祈りが空に届いたのか、まるで救世主のように舞い降りたのがカモメの大群だったのです。
カモメたちは約2週間にわたって「モルモンコオロギ」を一心不乱に食べ尽くし、開拓者たちの農作物を救ったと言われています。この出来事は「カモメの奇跡」として語り継がれています。
ユタ州の州都ソルトレイクシティに「カモメの記念碑」まで建てられているのですよ!ここでの教訓は「小さな存在が大きな奇跡を生む」ってことでしょうか。いや、カモメたちにとってはただの食事だったかもしれませんけど…。
ちなみに、「モルモンコオロギ」はコオロギではなく、本当はキリギリスの仲間。アメリカ西部の放牧地に生息していて、群れで移動します。見た目は重量感たっぷりの昆虫で、地面を歩いている彼らの姿はまるでミニタンクのような風貌です。
実は10年以上前、ネバダ州のホテルの一室で夜中に遭遇したことが!広いアメリカの大地で沖縄の巨大ゴキブリよりさらに進化をとげた、超巨大タイプだと勝手に思い込み、大騒ぎした経験のある筆者です(笑)。
【第2問】カリフォルニア・カモメの主な食べ物は次のうちどれでしょう?
a) 魚だけ
b) 昆虫・魚・廃棄物など何でも食べる
c) 植物のみ
d) 果物とナッツ
「カモメ」と聞いたら、海辺を想像する人が多いと思います。となると主な食べ物は「魚」と考えても不思議じゃないですよね。さて気になる答えは?
答えは「b) 昆虫・魚・廃棄物など何でも食べる」。ユタ州のビジネス街の駐車場には、大きな業務用のダンプスター(金属製のゴミ入れ)が置かれています。駐車場でたむろしながら、あふれた食べ物をあさっているカモメたちの姿は日常茶飯事。
上の写真の左側に小さく映る肌色の四角いものが、ダンプスターの木製の囲いです。この日はスーパーの駐車場で2人の女性が、食べ物をカモメたちに与えていました。人なれしているので、写真を撮ろうと私がスマホを片手に近寄っても、早歩きでちょっと前方へ移動するだけ。人間を怖がる素振りをまったく見せません。
【第3問】カリフォルニア・カモメがよく見られるユタ州の有名な湖はどれでしょう?
a) グレートソルト湖
b) レイクタホ
c) ミシガン湖
d) クレーターレイク
ユタ州在住の筆者の記事によく登場する湖なので、もしかしたら知っている方もいるかな?
答えは「a) グレートソルト湖」。大自然の中でカモメを見たい人は、ユタ湖やグレートソルト湖がおすすめです。特にグレートソルト湖周辺は鳥類観察の聖地。双眼鏡をもって湖岸を歩けば、カモメたちが優雅に飛び交う姿を見られるかもしれません。
ご存じのようにカモメは渡り鳥です。食べ物や気候の条件を求めて冬になると、寒いユタ州から温かい場所へ移動すると思いきや、実はユタ州に残る個体もいるのです。
勘のするどいBE-PAL読者のみなさんなら、もうお分かりですね!その個体が、グレートソルト湖周辺で年間を通して見られるユタ州の公式鳥「カリフォルニア・カモメ」なのです。
グレートソルト湖は塩分濃度が高くて湖が完全には凍りません。そこに生息する塩水性のエビなどが、冬でもカモメの餌としてあるからだと言われています。
【第4問】カリフォルニア・カモメの食性はどのように分類されるでしょう?
a) 草食性
b) 肉食性
c) 雑食性
d) 昆虫のみ
ここまで読んで下さったみなさんなら、もう答えは分かりますね!見た目は愛らしいカモメ。でも小さなくちばしで何でもお試しするチャレンジャーなのです。
答えは「c) 雑食性」。人間が出すゴミを目当てに駐車場でたむろする、ユタ州の意外なヒーロー「カリフォルニア・カモメ」。コンクリートの上がうんちだらけになることもあるので、車から降りる時は注意が必要です。
ユタ州を訪れるときは、壮大な景色だけではなく、可愛い姿のヒーローたちに敬意を払いながら、空を見上げてみて下さいね。きっと素敵な旅のスパイスになるかもしれません。
2001年渡米、ユタ州ウチナー民間大使。パンデミックをきっかけに「いつ死んでもOK!な生き方」を意識するようになり、17年間務めたアメリカ政府の仕事を2023年に辞職。現在はNHKラジオ出演や日本のWebメディア執筆など幅広く活動中。編著に電子書籍『型の中に答えはある』がある。夫婦でRVキャンプを楽しむのが最高の癒し時間。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。「海外書き人クラブアウォーズ2025」最優秀新人賞受賞