アメリカ連邦政府認定トレイルの起点・ワシントンDCへ出発!【プロハイカー斉藤のナショナルシーニックトレイル踏破レポ vol.7】
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    2025.03.02

    アメリカ連邦政府認定トレイルの起点・ワシントンDCへ出発!【プロハイカー斉藤のナショナルシーニックトレイル踏破レポ vol.7】

    アメリカ連邦政府認定トレイルの起点・ワシントンDCへ出発!【プロハイカー斉藤のナショナルシーニックトレイル踏破レポ vol.7】
    トレイルの本場であるアメリカには、連邦政府によって認定されたトレイル(ルート)がいくつかあります。そのうち「シーニックトレイル」と呼ばれるものが全11ルートあり、総距離は約17,800マイル(約28,646km)におよびます。

    日本で唯一のプロハイカー・斉藤正史さんは、そんなシーニックトレイル全11ルートの踏破に挑戦中です。2024年9月から10月にかけては、アメリカ東部の「ポトマックヘリテージトレイル」と「ニューイングランドトレイル」に挑みました。斉藤さんによるアメリカのトレイルの最新レポート第7回をお届けします。

    ポトマックヘリテージトレイル編 その7]

    アメリカに到着。9月下旬のワシントンDCは予想外に暑く…

    いつも海外でトレイルに挑む際は、まず地元の山形から成田空港に荷物を宅配便で発送。出発2日くらい前に東京入りして、食材の買い出しや打ち合わせなどを済ませます。そして、空港に行ったら事前に送ったバックパックを受け取り、逆に不要な荷物を自宅に返送し、出発していました。

    ただ、今回は、特に打ち合わせの予定も入れませんでした。飛行機も15時の便だったのでバックパックを背負い、深夜バスに乗って東京へ。眠い中、一気に飛行機に乗ることで、12時間近い時差の調整ができればと考えたのです。

    目的地のワシントンDCはホテルが高いので、2日だけしか時差調整期間を取りませんでした。そこで、機内で映画でも見て寝落ちしようと考えたのです。その目論見通りワシントンDCに到着した翌日にはスッキリし、完全にリズムがつかんだ状態でこの旅を始められたのでした。

    いざ出発!

    ワシントンDCの最寄りの空港は、ロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港です。一方、僕が降り立ったBWIマーシャル空港は、少しワシントンDCから離れています。

    今回は航空チケットを取るタイミングが悪く、ロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港行の安いチケットを抑えられなかったのです。しかも、到着が深夜2時近い便。結局、空港で4時間ほど仮眠してから無料のシャトルバスに乗り、ワシントンDCへ向かったのでした。

    そもそも、アメリカの首都ぐらいのぼんやりしたメージで、これまでワシントンDCのことをよく分かっていませんでした。「DC」は略称で、法律上の正式名称は「コロンビア特別区」(District of Columbia)です。州に属さず、アメリカ合衆国・連邦政府直轄地になります。

    アメリカ合衆国連邦政府があり、国際的に強い政治的影響力を保持する都市で、アメリカ合衆国憲法第1条により、各州とは別に不変的な首都としての役割を果たすため、連邦の管轄する区域が与えられています。

    また、アメリカ合衆国三権機関である、大統領官邸(通称「ホワイトハウス」)、連邦議会(議会議事堂)、連邦最高裁判所があり、連邦機関が集まる他、多くの国の記念建造物や博物館(スミソニアン博物館など)があります。

    ワシントンDCの町中にテントが。やはり不景気なのかな…。

    今回の宿泊先は「ワシントン インターナショナル スチューデント センター」。ここは駅からちょっと遠いのですが、トレイルのスタート地点まで徒歩で1時間ほどの距離です。近くにセーフウェイという馴染みのスーパーマーケットもありましたし、何よりワシントンDCで2番目に安い宿でした(1番安い宿は口コミもヤバかったので回避)。まあ、2日だけの宿泊なので、大抵のことは我慢できます。

    宿に10時に到着したのですが、ドアが開いていなく困っていると、宿泊者の人が鍵を開けてくれました。ダメもとでスタッフに声をかけると、問題なくチェックインできました。ちゃんとした格式あるホテルと違い(?)、僕が泊まるようなドミトリー(一部屋にベットがたくさんある宿)では、早く着いても空きがあれば入れてくれるのです。

    「ワシントン インターナショナル スチューデント センター」のフロントロビー。

    この日からトレイルをスタートするまでの準備期間は、たった2日間です。取り急ぎトレイルを歩く上で必要なものをそろえるため、ワシントンDCを歩き回ることになります。

    まず、しなくてはいけないのが、バーナーの燃料であるガソリンの入手です。それと当面3日分ほどの食料の仕入れもマストです。宿に荷物を置いたら、ガソリンボトルを持って近くのガソリンスタンドをかたっぱしからまわる作戦を決行します。アメリカの小さな町では気軽にガソリンを入れてくれるのですが、大きな町だと断られることもあります。

    一番近いスタンドに行くと、店員がインド系の人でした。ラッキー!なぜかというと、お互いに英語が堪能ではないので、めんどくさがってすぐ入れさせてくれる場合が多いからです。案の定、すぐ入れさせてもらえました!値段はわずかに43セント。日本円で約70円位でしょうか。

    後でアウトドアショップで確認したのですが、普通サイズのOD缶が12ドルもしていました。日本円で1,740円!なので、ガソリンを入手した方がはるかに安くなるのです。

    ワシントンDCに到着して2日間、ずっと雨模様でした。

    次いで、食料の買い出しに行きます。2023年にスーパーマーケットで食料を購入したときは、そこまで値段は高くなかったので、今回は日本からあまり食料を持ってきませんでした。

    が、近くのスーパーマーケットのセーフウェイに行ってみると、なんと物価が高い。お昼にベーグルでも食べようと思ったのですが、驚異の5ドル越え(800円ぐらいですかね)。安いツナのパウチも2ドル強と他の地域の倍の値段です。ワシントンDC、恐るべし!思いっきり計算が狂ったので一旦宿に戻り、最低限必要な食料を書き出して購入計画を組み立て直すことにしました。

    それにしても、ワシントンDCは暑い…。緯度が39度なので、9月下旬には涼しくなり始めるはずです。そう考えてしっかり寒さ対策をしてきたのですが、暑いなんて。温暖化の影響もあるのかもしれませんが、厚手のズボンでは耐えられないほどの気温で、1日中汗が止まりません。しかも町中で蚊に刺されるほど。まだまだ思いっきり夏なのです。

    出発直前まで悩みつつハーフパンツを持ってこなかったことを後悔。トレイルでは大きな荷物を背負って歩くので、さすがにこの暑さだとハーフパンツ買うしかないか…。

    気温が高いので、蛇も活発に動いています。

    宿に戻ると、宿泊者の外国人が多くいて、台所では多様な言葉が飛び交っていました。ふと見ると朝食がなんと無料でした。

    食後はちょっとのつもりでベットで横になったのですが、いつの間にか眠りについていました。宿は繁華街のど真ん中にあり、ネオンがまぶしいぐらい輝いていました。しかも、そこそこうるさいので何度も目が覚めます。それでも時差と疲れでそのまま起き上がらず、また眠りにつくのでした。

    ポトマックヘリテージトレイル公式サイト

    私が書きました!
    プロハイカー
    斉藤正史
    2012年より日本で唯一のプロハイカーとして活動。トレイルカルチャー普及のため、海外のトレイルを歩き、アウトドア媒体を中心に寄稿する傍ら、地元山形にトレイルのコースを作る活動「山形ロングトレイル(YLT)」を行なう。スルーハイク(単年で一気にルートを歩く方法)にこだわり、スルーハイクしたトレイルだけで22.000km(地球半周以上)を超える。最新情報はブログを。また、BE-PAL.netにて「TOKYO山頂ガイド」を連載中。

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