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FILE.125は、板橋区の上赤塚富士です。
第125座目「上赤塚富士」
今回の登山口も、都営三田線西高島平駅です
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都営三田線の西高島平駅登山口。
今回の登山口(最寄り駅)も、前回に続き都営三田線の終点である西高島平駅。前回は登山口を出て住宅街を抜けたら、すぐに目的地の富士山(富士塚)でした(実際は住宅地でちょっとしたハプニングがありました)。さて、今回はどうなるでしょうか。
山行途中で“断念”した「プロの味」
前回同様、今回も駅から陸橋に出ます。ただ、前回は陸橋から南東方向に進みましたが、今回は反対方向の南西に進んでいきます。
西高島平駅から首都高速5号池袋線を過ぎると、三園という地名のエリアに入ります。 三園は板橋区の西端に位置。北側は新河岸、東側は高島平、南東側は赤塚、南西では成増が埼玉県との県境になっています。
そう、この三園は地区の西辺が東京都・埼玉県境になっているのです。もともと浦和県で、1871(明治4)年に浦和県(現埼玉県)から東京府に編入されたそうです。
陸橋を下って下の道路に降りると、「ケイアイフーズ」がありました。動画を撮影しながら歩いているので、すぐに気づきませんでした。食肉卸問屋さんですが、一般向けの直売も行っているようです(毎週木・金・土曜日の11:30〜16:45のみ営業)。
店頭にいくつか商品案内が出ていたのですが、真っ先に惹かれたのが「糸巻きチャーシュー」(1本2,000円〜2,200円)。「ラーメン屋さんの味」とも明記されていますが、業務用のチャーシューって無性に気になります。
自宅の近所なら間違いなく購入するところですが、今日はこの後もいろいろ用事が立て込んでいます。バッグに塊のチャーシューを忍ばせたまま都内をあちこち移動することを考えると、なかなか手が出しにくい…。
ということで、泣く泣く諦めました。チャーシュー以外にもハンバーグなどプロの味がリーズナブルに販売されているので、近くにお住いの方はチェックしてみてください。
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ケイアイフーズの商品案内。
ケイアイフーズを過ぎ、ローソンの前の道を成増厚生病院の方向に進んでいきます。この辺りは完全な住宅街。当然ですが、右を見ても左を見ても家、家、家しかありません。「書くこと、何かないかな…」と心のなかでつぶやきながら、とぼとぼ歩いていきます。
すると、赤いのぼりが見えてきました。期待を胸に進んでいくと、店頭に「王さんの手包みジャンボ餃子・謝謝」の文字が!早速調べてみると、楽天市場にお店がありました。
サイトには「楽天市場グルメ大賞受賞」「中国国家資格 麺点師が作る点心」などと書かれ、おいしそうな餃子や小籠包が販売されています。自宅の近所なら間違いなく購入するところ(以下略)。
せめて山形に帰る前日なら購入も考えられたのに…と、都内を山行していて良さそうなお店を見つける度にいつも思うのでした。
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王さんの手包みジャンボ餃子・謝謝。
ジャンボ餃子のお店の後ろには、高台が見えました。今回の目的地は、位置的にこの高台へ登るのだろうと思いながら歩いていくと発見しました。
分かりやすいほど、急登の階段。もちろん、ハイカーの僕には問題ない登りなので、一気に行っちゃいます。
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なぜか見かけるとうれしくなる急登の階段。
階段を登り切って振り向くと、良い眺めです。方向的に、埼玉県方面でしょうか。先述したように、ここから東京都・埼玉県境まではすぐの距離です。
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埼玉方面…かな。
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好物(?)の急登階段を上からパシャ。
階段を登り切ると足取り軽く先へ進んでいきます。時々この高台に続く坂や階段を見かけますが、やはり僕が登った階段の上からの見晴らしが一番良いようでした。
さらに歩を進めていくと、住宅街の切れ目から目的地である赤塚氷川神社の敷地が見えてきました。そして、神社の入口付近まで行くと、上赤塚富士がありました。
500年以上の歴史を有する神社へ
赤塚氷川神社
こちらの神社も前回の赤塚諏方神社と同じく、1457(長禄元)年に武州赤塚城主の千葉自胤(ちば よりたね・これたね)が武蔵国一の宮氷川神社(大宮氷川神社)より御分霊したと伝えられているそうです。
祭神は、素戔鳴尊と、藤原広継(嗣)(奈良時代の貴族。藤原式家の祖である参議・藤原宇合の長男)命だそうです。ただ、なぜ赤塚とは縁もゆかりもない藤原広継(嗣)がまつられているのかは不明だとか。
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赤塚氷川神社。
上赤塚富士
この富士塚の造成は、丸吉講といわれています。築造の時期は不明ながら、志木市敷島陣屋の境内にある「田子山富士」に奉納された1872年(明治5年)の丸吉講新富士三十三所法能楽に、「上赤塚仙元富士山」と書かれているそうです。
そうしたことから推測すると、明治以前に造成された富士塚なのかもしれません。なお、この上赤塚富士塚は、2010年度の区の登録記念物(史跡)となっています。
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この周辺にはかつて河口があり、旧石器時代にはすでに集落が存在していたそうです。縄文時代、弥生時代、古墳時代、平安時代と、各年代の遺跡も多く見つかっているとか。また、「赤塚」という地名は室町時代から文献に登場していて、それが赤塚村と徳丸村の2村に分立したそうです。
上赤塚富士塚の高さはわずか数mなので、登頂しても抜群の眺望が楽しめるわけではありません。でも、のんびりと山行を楽しみ、その山に興味を持って調べると、周辺地域の歴史などの興味深いことにいろいろ出合うことができます。それもまた、TOKYO山頂ガイドの面白さかもしれません。今まで縁がなくて足を運んだことがなかったけど、板橋区って奥深い!ですね。
次回は、板橋区の赤塚城です。