知られざる探検家の人物像、農家が教える醸造のあらまし……読みだしたら止まらない本2選!
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  • 2025.03.03

    知られざる探検家の人物像、農家が教える醸造のあらまし……読みだしたら止まらない本2選!

    知られざる探検家の人物像、農家が教える醸造のあらまし……読みだしたら止まらない本2選!
    デジタルの領域で情報を得ることが多くなったとはいえ、書物を手にする行為は記憶に残り、気になったときにすぐ手にして読み返すこともできる。

    なによりも、それが傍にあるという実感が、人生を豊かにしてくれるのだ。今月もBE-PAL厳選の新刊を紹介しよう。

    BOOK 01

    八面六臂の活躍! 博学に無名の日本人功労者

    『ガラパゴスを歩いた男  朝枝利男の太平洋探検記』

    丹羽典生著 
    教育評論社 
    ¥2,640

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    朝枝利男――。名前を聞いても全くピンとこない。だが、90年も前にガラパゴス諸島をはじめソロモン諸島やマルケサス諸島といった太平洋の島々を訪れ、探検している人物なのだった。
     
    訪れた目的は博物学・民俗的な研究のため。いまでいう学術調査とは違った趣で、私的な探検隊も多く、自然史博物館が世界各地から展示標本を積極的に収集したころ。朝枝は30歳で渡米し、そうした探検隊の一員として主に写真や水彩画(カラー写真が普及する前なので)での記録を担った。
     
    国立民族学博物館に勤める著者は、資料室での検索の折にたまさか朝枝の残した写真や水彩画、日記を目にする。社会人類学やオセアニア研究を専門とする著者でも「朝枝利男という見知らぬ人物」なのだった。しかし、謎多き人物像に興味を抱いて遺跡を発掘するように一冊にまとめるに至る。
     
    本書では朝枝の写真や日記をふんだんに掲載(口絵には水彩画も)。プライベートな日記は朝枝の異文化への率直な感想がありありと表現されている。写真も’30年代の古さを不思議と感じない。朝枝は写真家、画家、剥製師、彫刻家、様々な顔を持っていた。私たちは直接彼の写真や水彩画を見る機会はほとんどなかったが、博物の源流からのギフトは確実に受け取っている。

    BOOK 02

    いつの日か作れるときが来たならば

    『農家が教える 酒つくり  ドブロク、甘酒、ビール、ワイン、焼酎』

    農文協編 
    農文協 
    ¥1、760

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    現在の日本では自家醸造は基本的に禁止、自分で酒を作ってはならないと法律で定められている。法律は大前提としてある。しかし、昔からどぶろくなどは家々で(明治時代に禁止されるまで)醸し愛飲されてきた。風土が出る文化でもある。
     
    本書はどぶろくやビール、ワイン、焼酎などがどのようにしてできるのか紹介。また、こうじや甘酒の農家ならではの発酵食品の作り方を掲載し、真似したくなるアイデアが満載だ。実践的な数々のレシピに加えて、日本における醸造についてのあらましも知ることができる。本書は民俗文化への誘い、先人からの知恵の灯火ともいえるだろう。

    ※構成/須藤ナオミ

    (BE-PAL 2025年3月号より)

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