
今回はアウトドア派におなじみの老舗ブランド、ogawaのもの作りを紹介しよう。
ジャパンテントの進化は伝統&発想力がカギ
ogawa
設立:1914年
拠点:東京都江東区
問い合わせ先:キャンパルジャパン TEL:0800-800-7120
Art Director
大木秀樹さん
テントデザインから写真撮影、コピーライティングもこなすオールラウンダー。歴史あるogawaブランドに新風を吹き込んだ風雲児的存在だ。
らしくなさが受け入れられるのも、長い歴史があってこそ
「2016年に入社してテント開発に携わるようになったのですが、毎年ひとつはogawaらしくないモデルを作るようにしているんです」
という大木さん。ogawaといえばロッジ型テントのイメージが強いが、斬新なモデルもリリースすることで、ブランドのネームバリューをワンランクアップさせようという目論見だ。
この大木戦略が大成功した象徴的モデルが、2018年に発売された「アポロン」だ。大型のかまぼこ型だが、従来のogawaにはなかったアウターフレーム方式を採用。「ogawaっぽくないよね」というバイヤーからの反響に、「よしっ!」と手応えを感じたという。はたしてこれが大ヒット! いまでは派生モデルも作られている。
いっぽうで、伝統的なロッジ型テントも、改良したり復刻したりしながら作り続けている。
「らしくなさが受け入れられるのも、長い歴史があってこそ。だから、ブランドのシンボルである『ロッジシェルター』をモチーフにしたロゴは、全モデルに大切に刻んでいます」
アステロイド
¥176,000
四角い床のドーム状で、外フレーム式の大型シェルター。大木さんがいう「ogawaらしくない」テントの最新版だ。4本のポールはすべて同じ長さだから、迷うことなく簡単にたてられる。
手描きイラストで工場に発注
縫製工場への依頼は、設計図面ではなく、なんと大木さん手描きのスケッチと、コンセプトやサイズなどを書き添えた企画書のみだという。
外観はこんな感じ、出入り口は張り出せるようにしよう。
アイデアはすぐにスケッチ。
社名が「小川テント」だったころの、米軍向けカタログ(左・年代不詳)。右は大木さんがプロデュースした昨年のカタログ。
ogawa直営店「GRAND lodge」は、全国に21店舗。予約すれば希望のテントを展示し、レクチャーも受けられる。
構成/坂本りえ
(BE-PAL 2025年3月号より)