連載【漕いで、釣って、食べて】カヤックフィッシング奮闘記Vol.51
少し前から、逗子でアオリイカが好調だという噂は聞いていた。であればチャレンジするしかない。この連載では『昨年』にも釣っているが、何より『絶品』だからだ。今年も自分で釣ったアオリイカが食べたい。そんなわけで10月26日朝6時半、逗子海岸から出航。
いつものようにマリンボックス100の沼野さんと一緒に沖を目指す。この日は風も弱く、うねりもないため、絶好の釣日和だった。アオリイカはだいたい水深15メートル前後の根回りがポイントとなる。
釣り方は、エギという疑似餌を海底まで沈めて2、3回しゃくりあげ、少し待つ。それをひたすら繰り返す。ロッドをしゃくる動作は座った状態ではやりづらいので、立った方がいい。通常のカヤックだと不安定なので出来ないが、足漕ぎカヤックだと安定しているので波がない日は立っても平気だ。
釣日和のはずだが、待てど暮らせどアタリがない。ちなみに、アオリイカは魚探に映らないので(海底付近にいるため)、いるかいないのかさえ分からない。ポイントを大きく変えるか、ここで粘るかの、判断が難しい。
2時間くらいやっても反応がないため、移動。すると、沼野さんにアタリが。間もなくヒットしたらしい。慌てて近寄る。ちょうどアオリイカが水面に姿を現した。
見事釣り上げた沼野さん。しかしサイズが小さいからリリースするとのこと。それにしても、生きているアオリイカはなんと美しいのだろう。大きくなって帰っておいで。
これはチャンスだと思ったが、私にはまったくアタリがない。時間だけが過ぎていく。あまりにも反応がないため、心が折れて、アオリイカ狙いを諦め、インチクというルアーを投入。なんでもいいから釣れてくれ。と、間もなくヒット!
上がってきたのは、エソだった。外道中の外道。なんでもいいとはいったが、君か。実はすり身にしたら美味しというが、面倒臭いので即リリース。その後は、何の反応もない時間が続く。午前中のみの予定だったので、諦めて帰ることに。
ただ、一縷の望みがあった。というのは、この時期、シーバス(スズキ)が河口や浅場に回ってきている可能性が高い。あわよくばヒットしないかと、帰り道はカヤックを漕ぎながらトローリングでルアーを流していた。すると、逗子海岸に近づいたところで、突然ドラグがジーッと音を立ててラインが出始めた。もしかして?
慌ててロッドを持つと、重いだけ。根掛かりか、と思った次の瞬間、ググという感触が。魚だ!が、どうもシーバスではないっぽい。何だろう?とリールを巻くと、上がってきたのはマゴチだった。
シーバスではなかったが、マゴチでも嬉しい。白身でかなり美味しい魚だ。残念ながら、狙ったアオリイカはまったく釣れなかったが、結果的には、まぁ良しとするか。
鍋にしてアラまで全部美味しくいただきました。
連載【漕いで、釣って、食べて】カヤックフィッシング奮闘記
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穴澤 賢(あなざわまさる) 1971年大阪生まれ。2005年7月から愛犬との暮らしを綴ったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイ、コラムなどを執筆するようになる。著書に「またね、富士丸。(集英社文庫)」、「明日もいっしょにおきようね(草思社)」、「また、犬と暮らして(世界文化社)」、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック「Another Side Of Music」(ワーナーミュージック・ジャパン)などがある。 株式会社デロリアンズ代表。 Blog:「Another Days」
取材協力:MARINE BOX100
逗子市新宿2-14-4
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