日本独自の規格である軽自動車を、少人数での使用に絞ることで実用性をもたせた軽キャンパーは、シニア世代や自分専用の遊びグルマがほしいアウトドアズマンを中心に人気上昇中。
現在、さまざまなジャンルのモデルが発売されていて、ワンボックスタイプのバンコンバージョンをはじめ、軽トラックがベースのキャブコンバージョン、さらに軽トラックの荷台に脱着可能な客室を乗せた“トラキャン”と呼ばれるものも。
なかには軽自動車枠を超え、普通車登録となるものもある。小型貨物登録の4ナンバー車が多いのも特徴だ。税金が安いうえ、普通車の4ナンバーは車検が初回2年で2回目以降が1年ごとなのに対し、軽4ナンバーは初回以降も2年車検と、よりお得なのだ(10年目以降は1年ごと)。さすがにフル装備とはいかないが、100万円台後半から買える手軽さは軽キャンパーならでは。セカンドカーに1台どうでしょう?
オートワン/愛犬くん
¥1,880,000~
ベース車両:スズキ/エブリイ
ナンバー区分:4ナンバー
問い合わせ先:オートワン TEL0466(47)1300
その名のとおり、ペット目線の仕掛けが満載。天井には温度センサー付きの換気扇が付き、停車中も快適さを保つ。室内後方にも換気機能のある出窓と台付きのケージ置き場があり、飼い主はケージを置いた状態で、足を伸ばして寝られるのだ。
ペット用のごはんやおやつなどは、床下収納にしまっておける。リアゲートを開けると、その床下からスライド式のペット専用の洗い場が出現。シンクのシャワーを伸ばして足についた土や汚れ、抜け毛をきれいさっぱり洗い流せる。
キャビネット付きの室内は断熱・吸音にも力を入れていて、天候に左右されない車中泊が可能。ソーラーパネル付きで電力消耗の不安を感じることもない。人にもペットにも優しい、技ありの軽キャンパーだ。
ベッドを敷いた状態。奥に見える台がケージ置き場。飼い主は足を伸ばして寝られる。
リンエイプロダクト/マイクロバカンチェス・ひとりのくるま旅
¥1,818,000~
ベース車両:マツダ/スクラムほか
ナンバー区分:4ナンバー
問い合わせ先:リンエイプロダクト TEL049(225)3591
軽キャンパーは室内の収納等を工夫し、ふたり分の就寝スペースを確保したものが多いが、こちらは1名使用と割り切った個性派。車内左側に食材や飲み物を収納できる40ℓの大容量冷凍冷蔵庫と電子レンジを標準装備するほか、傘立て、さらには19インチのテレビまで付いている。ルーフにソーラーパネルを装備しているので、充電残量を気にすることなく家電が使えるのもいい。
パートナーのいない車中泊で、その都度調理するのはもったいないとばかりに、シンクはなし。洗い物はRVパークなどの専用施設などで済ませよう。ベッドスペースは縦1900×横900㎜。ひとりで寝るには十分な広さだ。遊びたいときに遊び、疲れたら寝る。たまにはそんな旅もいいのでは?
ベッド下収納や床下収納も確保した室内。気ままなひとり旅だからといって衣類や小物を放置せず、整理整頓を心がけよう!
コイズミ/かるキャン
¥2,280,000~
ベース車両:スズキ/キャリイ
ナンバー区分:4ナンバー
問い合わせ先:コイズミ TEL03(3959)1212
軽トラックに架装したタイプの軽キャンパーだが、手動でボディーの一部を引き出せるようになっていて、滞在モードのサイズは全長3395×全幅2090×全高2860㎜と広々。しっかりした作りの対面式ソファを備えたダイニングは、ふたりが寝られる縦1970×横870㎜のベッドとなり、天井にも縦1650×横1000㎜のサブベッドが付いている。キッチンも通常の軽キャンパーでは実現できない大型サイズだ。
これだけの装備をもちながら室内にはまだ余裕があり、閉塞感は皆無。開閉式の天窓から差し込む日差しが気持ちいい。オプションのサイドオーニングを付ければ、実用空間はさらに拡大する。キャンプ場で“トランスフォーム”して、周りの人たちを驚かせてみよう!
ボディーを引き出した状態ではこんなに広い。ソファの座り心地も抜群で、明るい雰囲気のなかで気持ちいい時間が過ごせる。
インディアナ・RV/インデイ727
¥2,610,000~
ベース車両:ダイハツ/ハイゼットほか
ナンバー区分:8ナンバー
問い合わせ先:インディアナRV TEL0467(70)2729
欧州のキャンピングカーでは主流の軽量アルミボディーパネルや、スチレンフォーム断熱材を使った軽トラックベースのキャンパー。
室内は2列目にイタリア・FASP社製シートを使った対座式のダイニングと、キッチンで構成。特にキッチンは、このクラスでは類をみない広さを誇り、野外料理の下準備だけでなく本格的な調理も不便なく行なえる。ダイニングを展開したメインベッドは、縦1960×横(最大)1150㎜のセミダブルサイズ。これだけでも十分広いがポップアップテントは、さらに広い縦2120×横1200㎜のベッドスペースを確保。持ち前の機動力とポップアップテントを活かし、川のせせらぎを聞きながら昼寝をしたり、夜は見晴らしのいい場所に移動して天体観測に没頭してみては?
ベッドに展開した様子を運転席側から見た状態。出っ張りの少ない空間で気持ちよく眠れる。広い天板を備えたキッチンにも注目。
客室入り口そばに配置したキッチンは広い天板を備え、シンクや収納が機能的にまとめられている。便利なシャワーヘッド付き。
M.Y.Sミスティック/ダイビー
¥1,757,000~
ベース車両:ズズキ/エブリイ
ナンバー区分:4・5ナンバー
問い合わせ先:ミスティックプランニング TEL055(277)4713
ダイビーの自慢はベッド。フロントからリアまでマットを敷き詰め、縦2410×横1240㎜ものロングサイズを実現。とはいえ、ただ寝るためだけに特化したわけではない。左右にオーバーヘッドコンソールをセットし、シンクとテーブルを内蔵したほか、オプションの電子レンジや後付けヒーターの設置場所、電気関係のスイッチ類やヒーター吹き出し口なども組み込まれている。ベッドマットはかさ上げした床下空間に収納できるので、通常時もラゲッジを広く使える。
ベース車の選択肢も豊富で、4ナンバーと5ナンバー両方に対応する。寝心地がいまいちだったり収納が不便だと、心からリラックスできないもの。総合力に秀でたこのクルマなら、気持ちのいい朝を迎えられるだろう。
オプションのフロント拡張ベッドを追加すると室内全体が寝室に。軽キャンパーの常識を超える、驚きのロングサイズだ。
ステンレス製シンクは運転席側後方に配置。給排水タンクは各10 ℓだ。跳ね上げ式のテーブルを出せば、ふたりで食事ができる。
バンショップミカミ/テントむし ティーポ Sタイプ
¥1,952,381~
ベース車両:ダイハツ/ハイゼット
ナンバー区分:4ナンバー
問い合わせ先:バンショップミカミ TEL0986(72)3428
’00年代以降の軽キャンパー人気の火付け役となったのが、キュートなデザインと使いやすい装備で高い人気を誇る「テントむし」シリーズ。軽トラックをベースに架装した標準モデルはキャンピングカー登録の8ナンバーだが、こちらのティーポ、Sタイプは維持費が安い小型貨物登録の4ナンバーモデル。
客室部分後方に跳ね上げ式の扉を追加したほか、多彩なシートアレンジが可能だ。2列目シートを折りたためば自転車などが積め、後ろ向きにして跳ね上げ式のリアマットと組み合わせれば対座式のダイニングに、フルフラットにすれば広いベッドに変身する。トランスポーターにもなる個性的な軽キャンパーで、軽ならではの機動性を生かした楽しい遊びを追求しよう。
2列目シートを後ろ向きにしたダイニングの状態。キッチンは付いていないが、オプションでミニキッチンが設置できる。
ポップアップテントを上げ、マットをセットするだけで、縦1,830×横1,100㎜の2段ベッドが出現。大人1~2人が就寝可能だ。
どうです? 近年の軽キャンパーはスゴいんです。比較検討の選択肢のひとつに軽キャンパーも加えてみてください。
※価格はすべて税抜です。
構成/櫻井 香、安藤政弘 撮影/中村文隆、見城 了、木村武司、柏岡裕之、林紘輝