ガレージブランドが活況の昨今、またひとつ新しいアウトドアブランドが日本で誕生するぞッ!まだ正式発表されていないが、ビーパルネットが先行してお届けする。クリスマスソングが流れる12月、いまの季節がルーツのブランドだ。
新参者、「NEUN(ノイン)」。ホームページはまだ、ない。
東京・両国。武蔵野国(現・東京都)、下総国(現・千葉県)、ふたつの国を
隔てた隅田川にかかる両国橋からその名がついたという。両国といえば相撲、 国技館が広く知られており、赤穂浪士の討ち入りの舞台となった吉良邸も町内、 ちょっと歩けばなにがしかの史跡に出くわす。どじょう、山くじら、江戸情緒 が随所に漂うそんな町だ。
2018年、この町で新しいアウトドアブランドが誕生しようとしている。名前は「NEUN(ノイン)」。ドイツ語で数字の9という意味だ。ノインを手がけるのは、アウトドアズマンとして活躍している大木ハカセさん。両国を拠点にしているハカセさんが、同じく両国に本社を構えるフジサキテキスタイル株式会社とともにノインを立ち上げた。
立ち上げた、と過去形にしたが、じつはまだ商品の購入ができるホームページもない正式なデビュー前。2019年の販売開始前に、今秋からイベントで先行出展をし、11 月に沖縄で行われた GO OUT CAMP RYUKYU が初お目見えとなった。
現在のラインアップは、T シャツ、スウェットパーカー、スウェットパンツ、 前掛けなど。ウェア類は一見タウンユースなデザインだが、ポリエステル100%素材、速乾性もあり、しっかりのフィールド対応モデルだ。ブランドがカバーする範囲は、タウンからエクスペディションまでという。
ちょっとフライングしてご紹介!
コンセプトは、赤鼻のトナカイ
ノインのロゴは赤い丸。これはトナカイの赤い鼻をモチーフにしている。赤い鼻のトナカイ?? そう、あのお馴染みのクリスマスソングだ。トナカイのルドルフは、自分の鼻が赤くて他のトナカイと違うことを嘆いていた。そんなルドルフに、サンタクロースがいう「そんなことないぞ! お前のピカピカ光る鼻が道を照らしてくれているじゃないか!」と。サンタの言葉に落ち込んでい たルドルフは元気を取り戻す…というお話だ。
「赤鼻のトナカイは、もともとあった伝説から100年以上後になって作られたお話で、その話が元になって有名なクリスマスソングになった。大昔から伝承されるサンタクロースの話でソリを曳くトナカイは、そもそも 8 頭いて、赤鼻のトナカイ・ルドルフは9頭目のトナカイ。ソリを曳くたくましい 8 頭はいわばレギュラーで、ルドルフはいってみれば補欠? レギュラー ではないけれど、ここぞという場面で先頭に立ってみんなの役に立つ。誰でも知っている赤鼻のトナカイは、おじいさんもおばあさんも子ども達だって、みんなを幸せにしてくれる世界一ハッピーな道具じゃぁないかなぁ」と、ハカセさん。
そんな物づくりをしたいとハカセさんは思いを込めたという。だからノイン、「9」なのだ。
旅人が作る着心地にこだわったブランド
ハカセさんは今年 43 歳、隅田川のすぐ向こう、千葉県船橋市の出身だ。山好きだった両親のもと、幼少のころから自然に親しんだ。高校生の頃からバッ クパックひとつで旅に出た。国内はもとより日本を飛び出す。これまでになんと40カ国以上も巡り歩いている。
「子どもの頃からキャンプをしたり、旅に出たり、とにかく外で遊ぶことが大好きだった。自分が親になってからも、子ども達が小さい頃から近所の家族と一緒にキャンプに連れて行ったり、山に入ったり、アウトドアでよく遊ばせてたよね。今では日本中の子供達と旅をしていたりもする。だから、幼少期から今も旅ばかり。やっていることは結局ず〜っと変わっていないんだよね」
世界で活躍する冒険家や探検家、登山家、学者、アスリート、文化人、あらゆる人々と交流を持つよ うになり、ハカセさん自身も刺激を受け、発想と行動はどんどん広がっていっ た。
500キロにおよぶ東海道五十三次のリアカー旅(全国から募集した中学生を連れての野宿旅)、 小学生を対象とした島の旅や、東京から富士山までの歩き旅、そして冒険家やアスリートを招いたトークショーの開催などなど、自身が企画し仲間を募った旅も数多く続けている。
そうした活動のなかで、ときにアウトドアウェアの試作品のフィールドテストを依頼されることもあった。これまでにもコラボレーション商品制作や、新しいアウトドアブランド立ち上げの話しは幾度も持ち上がったが、どうせ新しく 作るならば、既存ブランドの別注というカタチではなく、やはりオリジナル。 コンセプトからゼロベースで考えたかったという。
「いまはたくさんのアウトドアブランドがあって、最先端の技術が導入されて いる。もしそれが自分の着たいものだったら、それを買えばいいと思っている。 ぼくが作りたいのは、自分が欲しいと思うもので世の中にないもの。先達のブランドに対抗しよう! なんていう気は全然ないなぁ…」
ノインは、街から極地まで。どんな人でもどんなシーンでも着たい、機能はも ちろん着心地を重視したウェアだ。2019年にはアウターシェルや、ハカセさん本人が世界中の旅先で出会った素材で染色をした「旅するTシャツシリーズ」なども展開予定で、 いまはその作業の大詰めらしい。
お祖父さん譲り!? 物づくりの原体験
ノインの商品の種は、ハカセさんの頭の中にある。絵を描き、それをパタン ナーなどの専門職人とともにカタチにしていく。思った通り試作が上がるまで妥協はできない。「もう◯回目ですよ…」と職人さんたちにいわれることもしば しば。「あともう 1 回!」と理想のカタチに仕上げていく。
「ぼくのお祖父さんは、某英国有名ブランドのオートクチュールをデザインから仕立てまで手掛けていた。生地や洋服なんかが比較的身近にあったといえばそうかもしれない。子どもの頃は、あのチェックの生地はタダだと思っていたくらい (笑)」
今回のアウトドアブランドの立ち上げに祖父はさほど影響していない、とハカセさんはいうが、きっと遠い記憶の中に、職人背中みたいなものがおぼろげに 残っているのではないだろうか。
納得のいく物づくりを続ける、ノイン大注目なのだが、まだホームページもない状態なので(笑)、現在のラインアップをご紹介しよう。
大木ハカセ(アウトドアズマン)
1975年4月8日生まれ。千葉県船橋市出身。旅人として、アウトドアズマンとして、探究心からなる旅遠征を活動の中心に置きながら、様々な冒険家や探検家の遠征事務局なども手掛ける。毎年夏には自身の経験をもとに、中学生たちと共にリヤカーを引きながら東海道五十三次(500km)を行く野宿旅や、小学生たちと共に東京駅から行く富士山山頂までのキャンプ旅なども実施。また、冒険家、探検家、学者、ジャーナリスト、アスリートなど異ジャンルのスペシャリスト達との親交も深く、数多くの対談やトークイベントに出演するなど、アウトドア文化の波及推進と発展を目的とした活動は多岐にわたる。
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※構成・撮影/須藤ナオミ