子どもたちに、ナイフの体験でたくましく生きる力を! パルパーク第1号山田緑地で開かれた、森の木を材料にしたクラフトイベントをレポートします!
「……」
無言、没頭。子どもたちは足がしびれるのか時折体勢を変えるものの、意識を手先に集中させ続けている。左手には少しずつ削られて薄くなってきた木が握られている。そして右手には初めてのナイフ――木々が色づき始めた
10月の週末、パルパーク第1号の山田緑地でナイフを使うクラフトイベントが開かれた。
2014年にプロジェクトが始まった当初から、編集オオサワは子どもたちにナイフを握らせたいと考えていた。
「“子どもたちに、たくましく生きる力を”がパルパークのコンセプト。危ないからといって子どもたちから。ナイフを遠ざけるのではなく、正しい使い方をきちんと教えてあげるべきだと思うんだ」
北九州市公園緑地部の梅野はもろ手をあげてそれに乗った。
「山田緑地は里山の森。再生・維持のためには木を切る必要があるので、クラフトの材料ならいくらでもありますよ。地産地創・ のイベントをやりましょう!」
その1日目。梅野は対象を18歳以上とした。
「参加者には2日目にスタッフとして来てもらおうかと。彼らもパルになってもらうんです」
そして迎えた2日目。10数組の親子と新たなパルが集まった。子どもたちはおそるおそる鞘からナイフを抜き、前日のイベントで切り出しておいた木に手を伸ばした。
「ナイフを握った手を動かさずに、木のほうを動かすんだよ」
長野さんの魔法のようなナイフさばきに目を丸くした子どもたちは、それを忠実に真似ようとする。ナイ
フの右手をギュッと左腿ももに押し付け、左手の木を動かす。うまくできない子は、新たなパルがサポートした。
すると最初はぎこちなかった動きが、徐々にスムーズになっていった。
3時間後。子どもたちは完成したバターナイフを使ってバターを切り、パンの上にのせると、誇らしげに口いっぱいにほおばった。
「おいしい~!」
「最初は無理と思ったけど、できてうれしかった。またやりたいです!」
少しだけたくましくなった子どもたちが、そこにはいた。
講師
クラフト作家 長野修平さん
自然素材であらゆる生活道具を作るクラフトの達人。ナイフのある暮らしを提唱している。「まずは安全な使い方から覚えましょう」
1日目 森で材料を調達
ハニーディッパー完成!
2日目 子どもたちの初ナイフ
ナイフを使ってグリーンウッドワークに挑戦!
バターナイフ完成!