軽キャンピングカーで、地球半周中です。
稚内からロシアへ渡り、モンゴルで道草してから中央アジアへ。イラン、ヨーロッパを抜けてアフリカに上陸しました。目指すは南アフリカの喜望峰。ガイドブックにないパワースポットを探し出し、人知れぬ絶景・奇景を「マイ秘境」と呼んで喜んでいます。
西アフリカに入ってから、たびたび豪雨に襲われています。恐れていた雨季です。ギアナ湾のビーチは諦めました。キャンプ場を探しているゆとりもありません。道路が水没するまえに、急いで隣のブルキナファソへ逃げます。
牛は邪魔で、ヤギは危ない
あいかわらず、ほとんど車の走っていない西アフリカの田舎道ですが、コートジボワールに入ってバイクが増えてきました。彼らは車を見ると、すぐに道を譲ってくれるマナーの良いライダーです。逆にマナーが悪いのがいまして、牛。
ガリガリに痩せて、あばら骨が浮き出た貧相な連中で、自分で草を探して歩きまわる自給自足型の家畜。ゴミもよく食べますが、それでも足りないのか目が虚ろです。道路の真ん中で呆然と立ち尽くしていて、クラクションくらいでは振り向いてもくれません。邪魔ですよ~。一方、意外に危険なのはヤギ。突然、忘れ物を思い出したかのように飛び出して来ますから、何度轢きそうになったことか。コートジボワールの要注意動物です。
噛めば噛むほど歯間に染み込むヤギ
当たり屋みたいに道路に飛び出すヤギは、グルメの主役です。路地で焼かれたヤギの炭火焼は、星5つ。抵抗感のある硬い歯ごたえに、噛めば噛むほど歯間に染み込む地味な滋味。刻んだ玉ねぎに正体不明の赤い粉が付いて、一皿178円。日中は暑過ぎて生きるのが辛いけれど、夕方ともなると露店の釜から白煙が!
「ボンジュール、ヤギとビールお願いね!」
ときどきゴムのように噛みきれない腸らしきものが混ざっていて、やや苦いスルメ風珍味。雨に降られては暗雲が立ち込める我が家の先行きですが、幸せのひとときです。
朝昼晩と外食しても、たったの140円
ヤギ肉に続くB級グルメ情報、第2弾。自炊嫌いの貧乏キャンパーにオススメなのは、朝飯のサンドイッチです。たったの17円。それでいて、ベトナムのバインミーを凌ぐ味。コスパ最高のB級品です。
昼は、34円のパン。夜は、89円の豆オムレツ。
豆と卵を混ぜて焼いただけ。ソースを一切使わず素材だけで勝負してまして、味があるのかないのかわからない繊細さがウリです。姉妹編に、豆スパゲティがあります。茹でたスパゲティに豆の缶詰をかけただけ。これもまた存在感に乏しい味ですが、伝統料理かと思えば味わい深いものです。
というわけで、朝昼晩と外食しても全部で140円!これ以上食費の安い国ってありますかね?若人の腹を満たすほどの量はありませんが、年をとって燃費が良くなったボクらには充分です。ただ、インスタントコーヒーのお湯が濁っていたのは勘弁してください。不透明なぶん、プラシーボ的仮想腹痛に罹ります。
天井が破けそうな激しい豪雨
30分ほど北へ走ればブルキナファソですが、ついついアウトドアな思い出が欲しくて寄り道をしてしまいました。幹線道路から外れ、凸凹の舗装道路を東へ。雨が降ったら一瞬にしてぬかるんだ泥道になるに違いない、乾いた轍が踊り狂った土道です。どうぞ、雨だけは降りませんようにと雨乞いしながらたどり着いた100km先の小さな集落。人相の悪い亀が、マンゴーを食べてました。
アウトドアな思い出がほしいとか言いながら、一軒しかない宿に泊まり、一軒しかない食堂で晩飯。夜中、天井が破けそうな激しい豪雨。絶体絶命級のピンチかも……。
というわけで、コートジボワールは6泊で脱出し、一回もキャンプをしませんでした。すみません!雨将軍に襟首を掴まれ、南アフリカが遠のいた気がする我が家の軽キャンパーです。
次回は、コウモリが鳴くブルキナファソ。ここもまた、炭火焼肉が美味いのです。
【コートジボワール・ドライブ情報】
ビザ:33,000CFA(約6,260円)
車両保険:BROWN CARDと呼ばれる西アフリカ13カ国共通タイプ(6ヶ月間)41,004CFA(7,499円)。セネガルのAXAで取得
検問:なし
キャンプ場情報:iOverlander
石澤義裕・祐子
住みやすい国をリサーチしようという話から2005年から世界一周をスタート。アメリカ、カナダなどをスクーターで旅行し、オーストラリアをキャンピングカーで回ったのをきっかけに2015年の夏から軽キャンピングカーで旅を始めた。