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    2019.01.05

    【親子アウトドア】親子でアイスランド温泉紀行

    ゴールデンサークルにあるシークレットラグーンにて

    こんにちは、子連れライター渡部郁子です。幼稚園児の息子を連れて、アイスランドへ温泉取材に行ってきました。アイスランドまで、乗り継ぎ時間を含めて片道19時間というロングフライトを経て、やっとのことでホテルに到着。2日目からいよいよ、温泉取材スタートです。

    朝食を済ませてホテルを出発。駐車場で車を見つけて驚きました。車が一面、凍り付いてキラキラ光っていました。レンタカー業者から、「これサービスです」と渡されたスクレイパーがさっそく役に立ちました。フロントガラスの氷をガリガリと落としてから、出発。

    レンタカー業者が貸してくれたスクレイパーでフロントガラスは難なくキレイに。

    世界一の露天風呂をめざして

    なぜ今回、アイスランドへ温泉取材に訪れたのかというと、アイスランドは火山活動の活発な国で、国中いたるところに温泉がある、しかも地熱という自然エネルギーを活かして温泉を運営している国なので、アイスランドの温泉を体験してみたかったというのが一番の理由です。アイスランドのいろいろな温泉を巡ることを目的にし、中でも、アイスランドにある世界一大きな露天風呂「ブルーラグーン」を目指して、はるばるやってきました。

    もともと、アウトドアと温泉をテーマに取材する機会が多く、野趣あふれる大きな露天風呂は、今までもいくつも体験してきました。息子は大きなお風呂が大好きで、数年前にアメリカのオレゴンでプールのような露天風呂に浸かっているときに「世界一大きいお風呂に行きたい」と言った、その言葉がそもそものきっかけです。そのとき「世界一はアイスランドにあるらしいよ。いつか行こうね」と答えてから、私の中で、いつアイスランドに行けるだろうか、と計画が始まりました。息子の何気ないひとことから、その「いつか」を実現するために、やってきたというわけです。

    オレゴンのプールのような大きな温泉「ベルナップ温泉」にて

    伝統食、温泉蒸しパンを食べに

    温泉と地熱活動の取材旅行。まずは、温泉を活用した伝統食について。アイスランドでは、地熱活動を資源として様々な工夫で生活に活かしています。温泉蒸しパンもそのひとつ。ライ麦パンの調理法として、温泉で蒸したパンは伝統料理として親しまれているそうです。

    温泉で蒸したライ麦パン

    温泉蒸しパン体験ツアーを開催している温泉施設を訪れました。「フォンタナ・ジオサーマル・バス」というスパ施設です。アイスランドの首都レイキャビクから東に広がる、ゴールデンサークルと呼ばれるエリアの中にあり、世界遺産として知られるシンクヴェトリル国立公園から、アイスランド観光の一番人気の間欠泉ゲイシールへ向かう途中にあるロイガルヴァトン湖のほとりに、モクモクと白い水蒸気を豪快に吹き上げる施設が見つかります。

    1929年から温泉として利用されていたという歴史ある場所で、ここでは毎日2回、1130分と1430分に、「ジオサーマル・ベーカリー」ツアーを開催しています。予約時間の10分前に到着し、入り口を入ると、おしゃれなカフェがあり、その奥に、プールのように広がる屋外の温泉エリアが広がっていました。店員さんに「ハロー」と声をかけたら、「あなた、1130分の予約のお客さんね。そのソファに座って待っててね。」と流暢な英語で案内されて驚きました。

    砂の下から湧き出る熱湯

    時間になって、ツアーが始まると、建物を出て湯けむりがもうもうと立ち上る、地熱活動の活発なエリアへ移動しました。湯気が絶えず噴出している地面をスコップで掘ると、ボコボコと熱い湯が沸きだしてきます。その湯が大きな湖を作り、美しい景色を生み出していました。けれど初冬のアイスランドはとても寒くて、説明を聞きながら、誰もが寒さを隠し切れません。ボコボコと湧き出すお湯の上に長ぐつで立つと、足の裏がほんのり温かいので、参加者は靴の裏から暖を取りつつ、ライ麦パンの作り方に耳を傾けていました。

    ほんの20分程度の説明でしたが、屋外で立ち止まって説明を聞くだけで、こんなに寒いとは。昨日来たばかりで、まだ体が慣れていない息子も相当寒かったようで、鼻水をたらしながら「まだ?まだ?」と足踏みしているところに「あと5時間ぐらい説明するよ?」と英語で言われ、キョトンとしていました。

    スコップで掘って、埋めるだけ

    鍋にパンのタネを入れて、ビニールでくるんだものを、スタッフが持ってきました。地熱活動の活発なエリアにスコップで穴を掘って、鍋をすっぽり隠すように埋めて、1日置いておくだけ。このときに、説明員のスタッフは新しい鍋を地中に埋め、1日前に埋めた鍋を取り出して、その場で開いて、中のパンを見せてくれたのでした。蓋をあけたとたん、蒸しパンの甘い香りがふんわりと漂いました。

    室内に戻って、蒸しパンを切り分けます。外で開けてから時間がたっているのに、まだパンはホカホカしています。バターをたっぷりつけて食べると、バターの塩味と、蒸しパンの甘みがマッチして、とてもおいしかったです。

    カフェでパンを提供

    パンはカフェでも提供していますが、できたてほやほやでアツアツのパンを食べられるのは、ベーカリーツアーに参加した人の特権です。ツアーはウェブサイトから簡単に予約できます。ゴールデンサークルの観光とあわせて、ランチやティータイムに立ち寄るのに便利な場所です。いくつかの現地オプショナルツアーでも体験できるようです。伝統の味を体験するために、必要なものは特にありません。ここで温泉に入る場合は、水着などを用意してでかけてくださいね。スパでは、湯気の上に小屋を建てて作られた昔ながらのサウナを体験できるのが特徴です。

    ゴールデンサークルの見どころ

    ライ麦蒸しパンを昼食がわりにして、そのあとアイスランド一番の観光名所、ゲイシールへ。火山活動が活発な場所で、いくつもの間欠泉が独特な風景を作り出しています。吹き出したお湯が川となり、湯気を出しながら流れています。熱湯なので、間欠泉の近くでは触らないようにと注意書きがあります。あまり熱くなさそうなところで触ってみたら、冷たく冷えた手に心地よい温度でした。

    「熱湯危険」と書かれているところもあり、注意が必要!

    有名な間欠泉ゲイシールは、今それほど活発ではありませんが、となりのストロックル間欠泉が数分おきに噴き出しています。時間は不規則で、カメラを構えて7分待ったかと思うと、その次は2分後にまた噴出、その後は10分後、と時間が読めないのですが、5分から10分おきに噴出しているので、少し待てば必ず間欠泉の活動を見ることができます。

    間近で見ると、青い水の塊がボコッと吹き上がる瞬間がとてもキレイです。

    ゲイシールから車で数分の距離に、グトルフォスの滝があります。黄金の滝と呼ばれる滝を見ながら歩けるように遊歩道が整備され、晴れていれば虹がかかって滝をさらに美しく彩ります。滝を経由して、次の目的地、シークレットラグーンへ。

    あまりにも雄大な滝で、人がこめつぶのように見えます。

    シークレットラグーン

    自然を生かした露天風呂を楽しめるシークレットラグーンは、もともと、19世紀末にアイスランド初の水泳プールとして作られたものだそうです。今は、温泉施設として利用されています。自然を感じられる露天風呂で、大きな池にいるみたい。湯温は38℃前後とぬるめなので、いつまでも長湯したくなる気持ちよさです。

    自然味あふれるつくりが人気です

    利用方法は、カフェの入り口を入って受付を済ませて、ロッカールームで水着に着替えます。シャワーで事前に脇や股を洗うように、と注意書きがありました。ただし、寒い季節は、このシャワーにこそ、勇気が必要です。シャワーを浴びてから、扉を開くとそこは外。温泉まで30歩ほどの距離ですが、氷点下の風が、濡れた肌を凍らせる寒さです。決死の覚悟でシャワーを浴びて、温泉までの30歩を、走ってはいけないと思いながらも小走りで駆け抜けました。

    湯から出ているときは、寒くて足が震えます

    お湯に入ってからも、外が寒すぎてしばらく湯からあがることができませんでした。でも、だからお湯には長く浸かることができ、気持ちよい湯の感覚と、周りの景色を、ゆっくり楽しむことができました。多くの利用者が、ビールやドリンクを手に、ぷかぷかと浮いています。ぬるめの温泉で、浸かりながらビール。最高ですね。

    かなり深いので、子どもたちは浮き具を持って浮かんでいます。受付で「飛び込みは禁止」と言われただけで、深くて危険だから小さい子どもが入れない、ということはありませんでした。まだ歩けないぐらいの小さな赤ちゃんも気持ちよさそうに入っていたので、小さな子どもに関する年齢制限はなさそうです。しかも嬉しいことに、子どもは16歳以下無料。アイスランドにはいたるところに温泉や温水プールがあって、家族や友人たちと一緒に、温まりながらゆったり過ごす憩いの場として活用しているようです。まだまだこのあとも、温泉を巡ります。

    息子が積極的に撮影を手伝ってくれるようになりました

    渡部写真 

    渡部郁子(わたなべいくこ)

    アウトドアナビゲーター、温泉ソムリエ。JFNラジオ「JOYFUL LIFE」ほか、山と温泉と音楽をテーマに「人生を豊かにする情報」を様々なメディアで発信中。子どもにやさしい温泉や山、フェス情報など、親子で楽しむアウトドアスタイルを提案しています。

    HPhttp://www.watanabeikuko.jimdo.com/

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