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    2019.02.04

    すべてがゆったり、ノンビリ。モンゴル草原マラソン記

    女ひとりぶらりモンゴル、草原マラソンの旅②です。

    当日は朝から快晴の絶好のマラソン日和に恵まれた。大会出場者の集合場所、フラワーホテルへ車で送ってもらう。専用バスに申し込んだ出場者たちはここから大型バスに乗って、大会会場に向かう。道路が濡れているところを見ると、どうやら夜中に雨が降ったようだ。

     受付で、ゼッケン、記念Tシャツ、タオルなどのセットを受け取る。

    「はい、どうぞ」

    流暢な日本語で対応してくれたのは、モンゴル国立大学日本語法律学科の学生たちだ。通訳ボランティアとして大会運営をサポートしてくれている。モンゴルと日本の友好を目的として始まったこの大会に彼らの存在は欠かせない。何しろモンゴルは英語がほとんど通じないのだから。

     私たちを乗せたバスは大会会場へと走り出した。場所はウランバートル近郊の大草原。住所はというと……「トブ県シャバルアム大草原」。ん、たったこれだけ!?事前にもらった地図(https://www.google.com/maps/@47.7156084,107.1532398,1023m/data=!3m1!1e3)を見ても、ただ草原が広がっているのみで、何の目印もない。当然、アスファルトの道も途中までだ。これぞ、ザ・モンゴル。目的地まで自力で行くことができる人なんているの!? とただただ感心してしまう。

     車窓からは「シベリア鉄道」が大草原を縫うように走っている。私が分かっているのは、ただあの線路の右奧に広がる草原を走るということだけ。

     1時間半ほどバスに揺られただろうか。大草原の中から、忽然と大会の会場らしきものが表れた。来場者の車や簡易トイレが並び、式典用の舞台が設置されている。どうやら無事に着いたようだ。

     

    草原に下り立つと、見渡す限りのモンゴリアンブルーの空と鮮やかな緑の草原の絨毯。その草原を抜ける風が爽やかなハーブの香りを運んできた。そうそう、この香りがモンゴルの草原だった。懐かしい香りにしばし心を奪われる。

     会場内はモンゴル人と日本人が笑顔を交わしたり、一緒に写真を撮り合ったりと、リラックスした表情のランナーたちや応援者たちでにぎわい、さながらお祭り気分。ピリピリした緊張感はどこにもない。少なくとも私の周りは。一人参加の私も日本人ツアーのメンバーに混ぜてもらい、彼らやモンゴル人たちと写真を撮り合い、すっかりこの雰囲気になじんでしまった。ついはしゃぎ過ぎて、レースのことを一瞬忘れてしまうほどたった。

    そうしている間にも、続々と出場者たちの車が到着する。が、引き続き、参加者たちはワイワイ楽しんでいる。大会はいっこうに始まる気配がしない。「開会式は何時からでしたっけ?」と聞くのも野暮だと思うほど、誰も気にしている様子がない。アバウトな大会とは聞いていたけど、こういうことなのね。確かにこの大草原を前にすれば、誰もが自然と大らかになってしまう。細かいことにいちいち目くじらを立てる気も起らない。それが「大草原マジック」なのだろう。

     そんなことを思っていたところで本部からアナウンスが。「司会者が道に迷ったため、開会時間が遅れています。もう少しお待ちください」と。そうか、モンゴル人も草原で迷うことはあるのだ。

    ようやくモンゴル語と日本語による開会式が始まった。スタート予定時刻の1030分をすでに10分ほど過ぎていた。地元の知事、ウランバートル市観光局長、メインスポンサーなどのご挨拶のほか、馬頭琴の演奏など盛りだくさん。スタートまではまだまだかかりそうだ。

    ③へつづく

    プロフィール
    古谷玲子

    編集者・ライター。出版社・編集プロダクションの株式会社デコ所属。移住者向け雑誌「TURNS」のほか、単行本『孫育て一年生』を担当。フリーランス時代は、海外旅行ガイドブックで、台湾、台北、モンゴル、東アフリカを手掛ける。2年前に初めてモンゴルで遊牧民の男の子に恋して以来、毎年モンゴルを訪れている。「人の営み」に興味がある。旅はライフワークのひとつ。

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