軽キャンピングカーで、地球半周中です。
稚内からロシアへ渡り、モンゴルで道草してから中央アジアへ。イラン、ヨーロッパと抜けてアフリカに上陸しました。
南アフリカの喜望峰を目指していますが、マラリアや雨期の洪水、複雑怪奇なVISA取り、強盗まがいの賄賂警察官にイスラム過激派。車中泊もままならない西アフリカです。
西アフリカの真骨頂はナイジェリア
これまで西アフリカをドライブして、いく度となく旅の最終回を迎えそうになりました。
①ガーナのVISAを拒否られた事件
②コンゴ民主共和国の闇の奥に迷い込む地獄のルート案
③マラリア感染疑惑
そのほか、南に下るにつれてキツくなるカツアゲ系の賄賂警察官。
彼らの恫喝営業を言葉巧みにかわしたものですが、とうとう雨将軍に襟首どころか足首まで掴まれました。アウトドアもキャンピングも楽しめないナイジェリアで、今度こそ旅の最終回を迎えそうです。
ベナンはたったの2泊3日
ヤシの木が並ぶトーゴの楽園ビーチから、ベナンに入りました。
トロピカルなキャンプ場を尻目に、首都コトヌーへ。
コンゴ民主のVISAを取り次第、さっさと出国します。ナイジェリアはあまりにも評判が悪いので、防犯対策をとりました。貴重品と現金を隠し、小銭だけポケットに。どんだけお金を請求されても、これしか持ってなくて、へへへ……作戦です。
五寸釘の特大ゲバ棒で通せんぼ
ナイジェリアに入国していきなり、強烈な洗礼をくらいました。通せんぼされたのです、5寸釘だらけの巨大なゲバ棒で。逃げようにも、獣道に毛が生えたような幅の狭い田舎道。助けを求めたくても、ほかの車は一台も走っていません。運が良くて強盗、最悪、イスラム過激派か反政府ゲリラ!
誘拐されるかも!
「パスポートを出しなさい」
「警察だ、逃げようとしただろ!」
逃げませんっておまわりさん、っていうか、制服を来てくださいよ。そんなロックンロールTシャツで仕事されたんじゃ、ヒッチハイクにも敬礼しなきゃならないじゃないですか!
8kmごとに官民一体の集金検問
ナイジェリアは、隙間なくデンジャラスゾーンです。特に北はイスラム過激派、南は反政府ゲリラの巣窟。両者が拮抗する南北の真ん中あたりのデリケートゾーンを通りぬけたいのですが、危険度より近道を選ぶあたりが危機管理能力の低い我が家です。
過激派にもゲリラにも遭遇しなかったものの、検問に泣かされました。多いときは1日24回。8kmごとに待ち伏せしているのは、軍、警察、カスタム、道路セキュリティ、イミグレ、半グレとなんでもアリ。ライフルを肩にぶら下げた制服組みが車を止め、私服の連中が営業をかける官民一体の集金システムです。
道路使用許可証がないと罰金
検問はこれまでの国とは違い、賄賂ではなくて詐欺系です。
「道路使用許可証を出しなさい」
なんですかそれ?
なんなものは持っていないです、聞いたこともないし。
とりあえず、その許可証の写真撮っていいですか?
Noooooooooo!!!!!
怒られました。
「許可証に15,000円払いなさい」
た、高すぎないですか、道路を走るだけなのに。
大使館に電話していいですかね?
Noooooooooo!!!!!
怒鳴られました。
これしか現金がなくてとポケットから小銭を出したら、
Oh No!(まじかよ:顔訳)
さんざん文句言いながらも全額盗る奴らでして、
「あの~、領収書ください」
Noooooooooo!!!!!
後日、消火器不携帯でもポケットの小銭を盗られます。
領収書なしで。
ときには賄賂も悪くない
ナイジェリア第2の都市で、前を走る車に続いて黄色信号を直進したら、ビィィィィィ!警笛が。
同時に交差点のあらゆるところから、どこに隠れていたのってくらいの警官たちが出て来て、完全に包囲されました。
みなが窓に顔を突っ込んで、どえらい剣幕で怒ること怒ること。
やがてひとりが車に乗り込んできて、
「15,000円払え!」
高っ!
罪の意識はないとはいえ、あながち冤罪とも言えない交通違反。かといって15,000円も払えません。
全身全霊全力で謝りました。
文字通り腕にすがりついて、バッタのように何度も頭を下げます。
頃合いを見計らって、ポケットから270円。
…………。
固まってましたが、許していただけました。
領収書はくれないけど。
次回は、ナイジェリアの第2弾「スコップを担いだ珍商売に軽自動車が叫ぶ!」をお送りします。
石澤義裕・祐子
住みやすい国をリサーチしようという話から2005年から世界一周をスタート。アメリカ、カナダなどをスクーターで旅行し、オーストラリアをキャンピングカーで回ったのをきっかけに2015年の夏から軽キャンピングカーで旅を始めた。