かつて『BE-PAL』で連載していた「なんでも飼ってやろう」のトミちゃんこと富田京一さんが帰ってきた! 珍獣飼育40年以上のノウハウをつめこんだ新刊『ヘンな動物といっしょ』から、よりぬきをお届けします。
ヌルヌルしないし、飛びはねないよ♪
世の中にはカエルだけがなぜか苦手という人もかなりいる。きらいな人にそのワケを聞くと、たいてい「ヌルヌルしているから」「いきなり飛びはねるから」という返事が返ってくる。その2大理由のどちらにもあてはまらない、ある意味では最もカエルらしからぬカエルがフクラガエルだ。
なにしろ水にはほとんど入らず、皮ふはほぼかわいており、飛びはねることもできない。全身に細かい砂つぶがくっついているため手ざわりはサラサラで、小さな大福もちに目と手足が付いているようなものだ。
丸くてかわいいけど怒ってるぞ!
ふだんから真ん丸の体形だが、おこるとフグのようによけいにふくらむ。それが風船みたいであり、またそのときのポーズは後ろ足をつっ張って前のめりになるから、すもうの立ち合いのようにも見える。
チャームポイントは、プルプルのおしり&おちょぼ口
フクラガエルはカエルとは思えないほどのおちょぼ口で、小さな昆虫だけを何十ぴきも吸い込むように食べていく。真ん丸だから、まるで生きたロボットそうじ機のようでもある。
地上では、ねこのような足どりでときおり立ち止まりながら、ちょこちょこと小刻みに歩く。歩くたびプルプルふるえるおしりが、とってもキュート!
手足は短く水かきもない。卵は地中に産み、オタマジャクシではなくカエルの姿でふ化する。欧米では「バルーンフロッグ」とか「スモウフロッグ」とかよばれるが、どちらもナイスなネーミングだ!!
【フクラガエルいきものデータ】
<両生類>
分類……無尾類・フクラガエル類
大きさ…体長4~6㎝
分布……アフリカ南部
最もよく知られているのが日本のアマガエルより少し大きいアメフクラガエル。ふだんは地中にかくれて生活し、まとまった雨が降ったときだけ大量に出現する。
著者/富田京一
1966年福島県生まれ。肉食爬虫類研究所代表。は虫類・恐竜研究家として、国内各地で開催されている恐竜展に学術協力者として参加。『そうだったのか! 初耳恐竜学』(小学館)が好評発売中!
『ヘンな動物といっしょ』
イラスト/コハラアキコ