1977年4月5日生まれ。有限会社ビーネイチャー取締役。家族がいるのにもかかわらず、ソロキャンプ、ソロ登山、ソロ旅などなど、お一人様遊びをこよなく愛する風来坊なネイチャー系会社の役員。仕事の範囲は広く、プロジェクトの企画・コーディネート・運営の他、研修講師、ネイチャーインタープリター、場作りの仕掛け人も務める。著書『ネイチャーエデュケーション』(ミクニ出版)、『ブッシュクラフト読本 自然を愉しむ基本スキルとノウハウ』(メイツ出版)など多数。その他雑誌連載、テレビやラジオなど、アウトドア、幼児教育を主として多数のメディアにて活躍中。
ソロキャンパーにとって、冬はキャンプシーズンイン。積雪期は多くのテクニックが必要になるが、無積雪期(エリア含む)であれば装備さえきちんと準備すれば、何でも凍ってしまう以外は(これは注意が必要!)通常のキャンプと変わらない。寒いぶん、キャンパーも減るし、夜も長いし、なんといっても澄んだ夜空に浮かぶ星の下で至福の焚火タイムを思う存分楽しむことができるのだ。
焚火を楽しむのに「これが正解!」「これがセオリー」なんてことは全くない。着火が難しければガスのトーチを使ってもいいし、着火剤やライターを使ってもいい。でももし焚火をもう少し味わい深く楽しみたいと思ったなら、ワイルドな焚火を楽しんでみてはいかがだろうか?
ワイルドな焚火を味わうなら、サバイバル的、最近の言葉で言えばブッシュクラフト的な着火方法がオススメ。生まれた小さな火種に乾いた細い枝を少しずつ重ねて大きく育てていく焚火は、いつもよりも数倍愛おしい焚火になるはず。今回はひとり焚火がより楽しくなる着火方法に必要なアイテムを紹介したい。
ケース
着火道具一式を持ち運ぶ際に、重くて大きなスチールケースで運ぶよりもコンパクトなケースで運ぶ方がスマートでカッコいい。もちろん軽量、コンパクトも考えてのことだ。僕がおすすめするのは、ステンレス製やアルミ製のお弁当箱。これはとても優秀で様々なサイズがあるし、さらには防水になるようにパッキンや留め具もしっかりとついている。また、金属製のため、もしもの時はそのまま小さなクッカーとしても活用可能だ。※使用の際は液漏れ防止のパッキンははずす。
ファイヤースターター
ファイヤースターターは、主にマグネシウム等でできている棒を別の金属片などでで強く削り擦ることで火花が出る着火道具のこと。最近は流行もあってアウトドアショップやウェブなどにたくさんの種類があるので好きな物を入手しやすい。選ぶときのコツはおおきく分けて3つで、なるべく太くて長いマグネシウム棒がついていることと、力を入れて作業ができるように持ちやすいこと。あとは自分が好きなケースに入るかがポイントになる。
着火剤
ファイヤースターターで出した火花を受けて一番最初の火の元にするための素材。これは廃れた鳥の巣やガマの穂などいろいろなものがあるが、完全に乾いていて火が着きやすく乾燥していて細かい形状になるものが望ましい。今回は僕がよく使う代表的な物を紹介します。
1:麻紐
麻紐を100円均一のミニ剣山などでほぐした物。繊維状になっていて、空気もたくさん含むので身近に手に入る物の中では一番着火剤として使いやすい。ただし、着火後すぐに燃え尽きてしまうのでスピーディーな作業が必要になる。寝袋をイメージするとわかりやすいが、そのままだとかさばるので小さなジッパー付きビニールの中にたくさん押し込んで保管しておこう。
2:新聞紙
誰でも簡単に手に入るし、出張族ならビジネスホテルで無料で入手できる着火剤。とにかく細い繊維状に手で丁寧にちぎり、ふわっと山状に盛った所にファイヤースターターの火花を落とす。ハサミやナイフで切るよりも、手でちぎった方が断面に火花が移りやすい。
2:シラカンバ(シラカバ)の樹皮
標高が高い場所や気温が低い場所に生えている樹皮が白い木の樹皮。灯油を染み込ませた紙のように黒煙を上げて良く燃えるので、薄く裂いて山にしたらそこファイヤースターターの火花を落とせば一発着火する。※生きているシラカンバから樹皮と取らないように!
3:ファッドウッド
油分を多く含んだ木のことで、主に松が多い。倒木の根や幹を切ると樹脂を多く含んで色が変わっている部分が見つかることがある。これを切り出して焚火専用に保管しておく。使い方は、鉛筆削りのように薄くて細かい削りかすをたくさんつくり、そこにファイヤースターターの火花を落とす。
白い息を吐きながら小さな焚火を大きく育てた焚火で得る料理や温かさはソロキャンプを数倍充実させてくれるのは間違いない。そして焚火の明かりで照らされた小さな森の空間で過ごす時間は、冬眠する森のくまさんのように、ほっこりとした時間になるはずだ。