日本から遠いようで意外と近い中央アジア。
この地域は国名に「〜スタン」という聞き慣れない名前が付く5か国で構成されています。私たち日本人にはあまり身近な存在ではないため、なかなか旅行先として想像しにくいのではないでしょうか?
今回ご紹介するのは、中央アジアに位置する自然豊かな国「キルギス」。
日本の面積の約半分ほどの国土は標高6,000〜7,000m級の山々に抱かれ、未だ手付かずの自然が多く残されています。各地には遊牧民が居住し、その土地ならではの文化や歴史の面影を体感することができます。
また、多民族が築いた華やかな食文化も必見です。私たち日本人にも馴染みのある食材を用いた料理がほとんどなので海外の食事が苦手な方でも親しみやすいでしょう。
中央アジアと聞くと、なんだかイメージが湧きにくいといった意見をよく聞きます。しかしながら、この国は中国のお隣にあるので地理的にはさほど遠くはありません。
中央アジアの秘境・キルギス共和国
キルギスは中央アジア地域を構成する小さな国です。
正式名称はキルギス共和国、かつては「キルギスタン」と呼ばれていたそう。周辺にはウズベキスタン・タジキスタン・トルクメニスタン・カザフスタンの4か国が位置しています。
興味深いのは、これら全てに「スタン」が付いているということ。これはペルシア語で「国」や「地域」を意味するそうで、かつてこの地域がペルシア帝国によって支配されていた頃の名残なのだとか。
日本との時差は-3時間で、国民の多くがロシア語を話し、イスラム教を信仰しています。
鮮やかな緑で覆われた国土には美しい滝や湖が点在し、なかにはこんな絶景も。
キルギスはこれまでに100か国以上旅した筆者が、自然好きに最もオススメする国の1つです。
やはり大自然の魅力を満喫するならキャンプが1番!ということで現地ツアーに参加して体験してきました。
※本記事は2018年8月に取材しました。価格や時刻等はすべて取材時のデータです。必ず事前に最新情報をご確認ください。
中央アジアに伝わる伝統のテント『ユルタ』
ユルタは中央アジアやモンゴル、中国の一部地域などで古くから遊牧民に親しまれる移動式住居です。
呼び名は地域によって異なり、モンゴルや中国では「ゲル」または「パオ」と呼ばれているそう。どちらも2本の柱を中心とした円形の骨組みに、ヒツジの毛で作られているフェルト生地を被せた構造です。
夏は強い日差しを遮って内部を涼しく保ち、保温性に優れているため夏は暖かいのが特徴。簡易的ではありますが、まさに遊牧民の厳しい生活環境に適したつくりをしているのです。
大自然を満喫しながら目指すソンクル湖【1泊2日】
旅の拠点となるのは、首都ビシュケクから約200km離れた「コチコル(Kochkor)」です。
周辺には高い建物は無く、小さな家が立ち並ぶ閑静な町という印象。
メイン通りから少し中に入ると舗装されていない道に変わり、ヤギやアヒルが自由に歩き回っています。日本の田舎とは、また違った趣が感じられますね。
ツアーの予約は、町の中心部に位置する「CBT」という観光インフォメーションで行ないます。ここではコチコル周辺の観光情報を無料で提供しているので、ツアーの予約以外でも気軽に訪れていただけます。
ツアー代金は参加人数や催行日数などにより異なりますが、交渉次第では大幅に値下げしてもらえますよ。
私たちは馬で移動するプランを予約しましたが、途中ではゆっくりと歩いている人たちも見かけました。
足元が悪い場所などは特に見当たらなかったので、夏の時期であればトレッキングも楽しめると思います。
ツアーの目的地は標高3,000m以上の高地に位置する「ソンクル湖」です。
湖に向かう途中は山や谷をいくつも超えるのですが、その道のりは絶景の連続。
宿泊先は、既にご紹介した「ユルタ」と呼ばれる伝統的なテントです。
こちらはツアーでの朝食の様子。バラエティー豊富なラインナップとボリュームたっぷりのお食事は食べ応え満載。
360度のパノラマビューが楽しめるソンクル湖
日本からのアクセス情報
日本からキルギスへの直行便の運航はありません。
キルギスに向かうには中国やロシアなど周辺国を経由し、そこから首都ビシュケクへの直行便を利用するのが一般的です。
ビシュケクからコチコルへのアクセス【バス】
首都ビシュケクからコチコルの町までは、マルシュルートカと呼ばれるワゴンタイプの乗合バスで向かいます。
バスは、市内の西バスターミナルから出発します。行き先の表示がロシア語のみなので、周辺にいる人に行き先を告げてバスの場所を教えてもらうか、フロントガラスに「Кочкор(コチコル)」と表示されているバスを探しましょう。
所要時間は約3〜4時間で、運賃は一人当たり片道300ソム(約470円)です。
ビシュケクからコチコルへのアクセス【タクシー】
コチコルまでタクシーを利用する場合は、事前に必ず料金交渉を行なってください。
現地のタクシードライバーは英語が通じない場合がほとんどなので、ホテルの従業員などに交渉を手伝ってもらうか、ホテルの観光デスクから直接チャーターしてもらうのが無難でしょう。