必要最低限な物選びはシビアさ+αが大切
アウトドアライター村石太郎さんが、はじめてアラスカを旅したのは22年前。以来毎年のように訪れている。最初はカヤックでの川下りが目的だったが、いまはパックラフトを背負い、1か月ほど歩きながら旅をする。
「道具は昔より、軽く小さくなったかな。アラスカでは、壊れにくく、長持ちするモノに限る」
国内だと夏は山歩きがメイン。装備は少しカジュアルになる。
「日本の旅は気も楽だから、多少重くても、使い心地が良くて快適な物を選んでいます」
どちらの旅も、基本的に実用性重視だが、そこに使っていて楽しくなるような+αが欲しいと話す。
「僕、ロードムービーが好きなんだけど、映画って観ただけで旅に出た気分を味わわせてくれるでしょ。道具もそれと一緒で、旅に出た雰囲気を演出してくれる小道具だから、その景色の中で映える物がいいんですよね」
古いモノにはそれはそれで価値があるが、山だからこれじゃなきゃいけない、という固定観念はなく、新しいモノを柔軟に取り入れている。
「僕の場合は、金物をあんまり持っていかないんですが、特に生地ものは使い込むと、味が出るんじゃなくて、劣化していってしまう。だから、いい道具が出てきたら、迷わずそっちを選ぶ。機能性を求めると新しい道具のほうが圧倒的にいい」
国内・国外共通アイテム
(右から)コンパス。紫外線避けサングラス。レインカバー。よく使うものはリブズ・フロントパックに収納。モンベルのダウンハガー900UL。防水トイレットペーパーホルダーとミニシャベル。速乾性タオルと歯ブラシ。ライター。レザーマンのマルチツール。ファーストエイドセット。スノーピークの雪峰。食料を温めながら携行する保温バッグ。柄の長いカトラリー。キャメルバック2.0Lリザーバー&プラティパス2ボトル。
国内山登りではコレをプラス!
(右から)テントはビッグアグネスのコッパースプールEX2.。軽量な3シーズンテント。カスケードデザインのネオエア。日本だと快適さを重視しエアマットを選ぶ。テントサイト用のリラックスシューズとしてサンダルを持参。疲れた足を解放するために必須。ただしアラスカだとこの1足の重さが1日分の食料になる。明かりはペツルのリアクティックのみ。自動調光機能付き。プリムスのイータパワー。鍋と一体型の高効率ストーブ。
バックパックはミステリーランチのスタイン65。これに国内なら15㎏ほどの荷物を入れて歩く。もともと北海道好きで、北の景色が好きだったことの延長線上にアラスカがあった。
アラスカ旅ではコレをプラス!
(右から)Nワークスのライトグリル。燃料節約時焚き火で食事を作るのに使用。テンカラロッド。クマ対策で食料を保管するためのコンテナ。カウンターアサルト。救助要請のためのスポットGEN3。ガーミン・オレゴン。エバニューのULチタン900㎖。チタンアルコールストーブ。風除け。エバニューのウォーターキャリー。トランギア・フューエルボトル。ソーヤー・スクィーズ・フィルター。カスケードデザインのプロライトS。ヒルバーグ・タープUL10。ヒルバーグ・ライド。
バックパックはミステリーランチのテラフレーム50 3-ZIP。国内旅より小さめなぶん、パックラフト一式を入れた場合は、1か月で約25㎏の荷物中15㎏以上は食料。
海外では燃料が手に入りやすいアルストを使用
国内旅とアラスカ旅では燃料選びが異なる。アラスカではどこでも手に入りやすいアルコールが使える、トレイルデザイン+エバニューのチタン製(写真上)。国内は熱効率と利便性を重視し、OD缶を使用している(写真下)。
海外ではインナー付きブーツが超便利
国内ではローバーの登山靴のほかリラックスシューズを持参。アラスカでは水陸両用となるアークテリクスのインナー付きブーツを愛用(写真上)。内側だけ取りはずせば、これがテントシューズになりリラックスして歩ける(写真下)。
アウトドラライター 村石太郎
むらいしたろう●約20年間にわたり、北アラスカの原野を旅してきた、通称アラスカ太郎。登山装備や登山道具史にも造詣が深く、世界各国を取材して回る。著書に『山岳装備大全』(共著・山と溪谷社)などがある。
※構成/大石裕美 撮影/山本智
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