冬のうちに超低山をいろいろ歩いてみませんか?
標高の高い本格的な山を登るほどの自信はないけど、山歩きの魅力を体感したい!と思っている人は意外と多いのではないでしょうか。例にもれず、私もその一人。
そんな私が、ここ数年冬が訪れるたびに楽しんでいるのが、近場にある1時間もあれば登れてしまうようなめちゃくちゃ低い山を歩くことなんです。
「冬は登山シーズンじゃないでしょ?」と思い込んでいる人にこそ知っていただきたい、超低山ハイキングの魅力や注意点について、今回はお話します。
冬の山歩きはいいことづくし!
・木の葉が落ちて見通しがよく歩きやすい
・虫やヘビの心配がない
・歩き続けるにはちょうどよい気温
・キリっと冷えた空気が清々しい
などなど、冬の山歩きはおすすめポイントがいっぱい。
しかし、これは雪がほとんど降らない低山に限って言えること。標高の高い冬山や雪山登山には、それなりの知識やスキルが必要とされるため、冬には雪に覆われてしまう山は例外です。
超低山とは、どんな山?なにが魅力?
明確な定義はないようですが、低山とは一般的に標高1000m未満の山のことを指すそうです。私が冬に好んで登っているのは、片道30分〜1時間半ほどで登頂できるくらいの手頃な山で、累積標高にしたら約200〜400m。あえて、ここでは“超低山”と呼ばせていただきます。
超低山ハイキングの一番の魅力は、その気軽さといえるかもしれません。
・少なめの荷物で身軽に登れる
・日帰り可能なので、気分や天気、体調と相談してその日に行くことも、やめることも気軽に動ける
・登山に要する時間が短くて見通しを立てやすいから、登頂だけを目的とせずに、歩く道々での風景や植物などを鑑賞しながら、心に余裕をもって山歩きを楽しめる
・居心地のよい頂上やテラスでのんびりお弁当やおやつを味わったり、昼寝や読書、会話に夢中になったりと、山での時間を有効に使える
・超低山といっても、整備された遊歩道だけでなく、急傾斜があったり、岩場や鎖場があったりと、山によっては道のバリエーションがいろいろあることも。きちんと変化を味わえます
・超低山といえども山の稜線や岩峰、街並みや海などを一望できる場所も多く、頂上からの眺めは侮れない
こんなふうに超低山を登る醍醐味はたくさんあるけれど、なんといっても頂上にたどりついた時の達成感をしっかり堪能できるというのは、大きな喜びかもしれません。
実際に超低山を登ってきました
今回夫婦で登ってきたのは、小豆島にある吉田山(標高175m)と吉田富士(標高165m)。いつもクライミングをしに行く吉田の岩場に隣接していて、ずっと気になっていた山々。拠点となるキャンプ場・オートビレッジYOSHIDAのフリーサイトからは、インパクトのある千畳ヶ岳に並んでポコポコとピークが見える山たちです。
登山口から吉田山山頂まで30分弱、吉田山から吉田富士山頂まで約30分弱、下山もまた 30分弱かかって、トータルのコースタイムは1時間半ほど。累積標高にして約240m。
私たちは頂上で絶景を眺めながらランチをしたり、ゴロンと横になったり、思い思いに過ごしたので、1時間ほど休憩し、のんびりしてから山を下りました。
超低山だからって油断禁物
吉田山・吉田富士のコースは、木に結ばれた赤いテープや岩につけてある青いペンキの道標、分岐点には看板もあり、踏み跡もわりとしっかりあるので、道に迷うことはほとんどありませんでした。
それでも、テープが途切れた分かれ道で「あれ、どっちだっけ?」と不安になった時が2度ほど。
目指す方角をきちんと捉えておくこと、下りで迷わないためにも登りながら、聞こえてくる音や、目印になりそうな岩や植物など情報をインプットしておく、さらに冷静に判断することは大切だなと実感。それから、文明の力!圏外でもGPSで現在地が確認できる“登山アプリ”もうまく活用したいところですね。
初心者向きで安全そうに思える低山ほど、実は道迷い遭難のリスクは高いんだとか。登山者の少ない低山は特に、踏み跡は期待できないし、道標が少なかったり、劣化していてわかりにくかったり。
また、登山道とは別に、里山に暮らす人々の生活道路や林業のための道などが混在していることも多く、迷いやすい要素はたくさん潜んでいるので要注意です。
冬こそ服装や装備は万全に!
冬の山歩きの服装は、吸汗速乾素材を着用し汗冷えを防ぐこと、着脱で体温調節がしやすいことがポイントです。とりわけベースレイヤーは重要な存在!寒いからといって、発熱性は高いけれど乾きにくいアンダーウェアを選ぶのはやめましょう。上半身は3レイヤーを基本に、歩き始めは少し肌寒いかな?と感じるくらいの服装がよいかもしれません。
今回私が着用したのは、メリノウール素材のNANGAのアンダーウェアに、Lafmaの起毛シャツ。寒くなったらいつでも羽織れるように防風性のあるダウンジャケットをザックに入れておきました(これが、思いがけず冷たい風が吹いていた頂上で大活躍)。吉田山と吉田富士は岩場を含むコースだったので、普段からクライミングのアプローチシューズとして愛用しているファイブテンのガイドテニーを選びました。
そして、ネックウォーマーを歩きながらつけたり、はずしたりして体温を調節。意外と日差しがきつい日だったので、ハットをかぶっておいてよかった!コースによっては、冷たい岩場に手をついたり、木にふれるような場面もあるので、グローブをしておくとよさそうです。
また、冬は日没が早いので、ヘッドランプもザックに入れておくのを忘れずに。下山が遅れてしまった万が一の時に役立ちます。
まずは近くにある超低山に出かけてみよう
私が住んでいる小豆島には、高い山こそないけれど、幸いにも超低山と呼べるような山はたくさんあります。みなさんが住むエリアでも、ぜひ探してみてください。
山頂でおいしいコーヒーを飲もう、眺望のよいテラスでアウトドアランチをしよう…などの楽しみをもって、この冬は山歩きをたくさんしてみてはいかがでしょうか。