軽量&防滴ポーチを自作する方法。意外と簡単な山道具のDIY。
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    2020.02.23

    軽量&防滴ポーチを自作する方法。意外と簡単な山道具のDIY。

    私が書きました!
    ロングティスタンス・ハイカー
    ミツ
    63歳で退職後、ニュージーランド(NZ)に4ケ月英語留学。その間地元のトランピング(トレッキング)MeetUpに参加してAuckland郊外の色々なコースを歩くうちに、トランピングにはまる。その後NZに9つあるグレートウォークのうち4つのコースを歩く。2019年にはスペインの巡礼路カミーノ/フランス人の道を2回に分けて800kmを走破。長距離トレッキングに適した、軽くて自分好みのギアが欲しくなり自作しだした。今年初夏にカミノに再度行く予定で、必要なグッズを自作準備している。日頃は地元北九州の皿倉山に週1〜3回登って低山ハイキングを楽しんでいる。 

    Fibermax64で作成した止水ファスナー付き防滴ポーチ 60w x 40h x 205L(mm), 10.3g と歯間ブラシ入れ

    欲しいサイズのポーチが見つからない時、自作しちゃおう。

    世の中に様々なポーチが氾濫しているが、トレッキングや旅行中に持ち歩く自分の小道具を収納しようとすると、意外とピッタリの物が見つからないことが多いのではないだろうか? 自分の場合は歯磨きセット用ポーチだった。理想のポーチは、サイズ・容量がぴったり、防滴で、物の出し入れがし易くかつ軽く、安いもの、となる。しかし、自分が欲しい理想のポーチを見つけ出すことはなかなか難しい。ならば「自作/DIYしよう」今回はその作り方を紹介したい。

    1. 生地(ファブリック)は何にするか?

    アウトドア用だけでなく一般のザック、サコッシュなどの軽量化が進んでいる。ポーチ用として向いている素材を挙げてみる。

    ●Fibermax64: 

    高密度に織り上げ、樹脂を充填し硬化コーティングが施されたナイロンリップストップ(*) 素材の一つ。
    * リップストップ(ripstop)生地とは: コットン、ナイロン、ポリエステル素材の生地に、格子状に高強度ナイロン繊維が縫い込こまれた生地のことで、生地が裂け(Rip)ても縫い込まれたナイロン繊維がその亀裂の進行を止めてくれる(stop)。

    ●リップストップナイロン

    66ナイロンで織られた極薄の表面にシリコンコーティング、裏面にPUコーティングを施しており、防水性、強度に優れる。

    ●ダイニーマコンポジット(旧名称: キューベンファイバー)

    ポリエチレン繊維のダイニーマをUV樹脂でラミネートしたフィルム状の生地。軽くて高強度、防水が特徴。

    本編では、これら素材の中で比較的軽くて価格も求めやすく、かつ国内で調達可能なFibermax64 (69g/m2)を用いる。この生地は適度のハリと強度があり、扱うとシャカシャカという音がするが、使っているうちに馴染んでくる。アウトドアメーカー各社のサコッシュやその他のUL製品で使われている素材として有名。

    Fibermax64, 5mm間隔の格子状に縫い込まれているのが高強度ナイロン糸。

    Fibermax64購入先は”fibermax64 生地 小売”等で検索すれば購入先がわかると思う。

    2. その他の材料

    ポーチ材料

    ファスナーはYKK AQUAGUARD (アクアガード) #3 幅=25mmを用いた。コイルファスナーの裏側にポリウレタンフィルムをラミネートし、強力な撥水性を持たせたファスナーで、ラミネート側を表として使う”裏使い”となる。その為スライダーは「裏スライダー」となる。通常ファスナーと異なりチェーンタイプなので10cmまたは1m単位での切り売り販売となる。スライダー引手用ロープとしてドローコード(1.5mmΦ)を使用した。
    テープはグログランテープともいいポリエステル製が多く、布端処理用とタブ用でここでは20mm幅を用いた。手芸屋さんで用途を言えば様々な色・幅・材質のものが手に入る。

    3. 道具

    使用した道具

    (1)ミシン、(2)ミシン糸(フジックススパン#60 COL85 )、(3)ミシン針(#14)、(4)マチ針、(5)仮止め用クリップ、(6)アイロン、(7)リッパー、(8)ハサミ2種、(9)チャコペン、(10)チャコペン(マーカータイプ)、(11)OLFA/ロータリカッター(L型 156B)、(12)カッターマット(OLFA/カッターマットA1(620x900x2mm) 160B)、(13)ステンレス直尺

    生地カットはハサミでももちろん構わないが、これから色々自作しようと考えている方には、ロータリーカッターとA1サイズのカッターマットを強く推奨する。またリッパーはミシンかけに失敗した時の糸取りに必須アイテムで、私はよくお世話になった。

    4. 作り方

    ミシンは直線縫いだけなので、高度な技術は要求されないが、生地が薄くて滑りやすいので、最初は失敗する可能性がある。何枚か練習する必要があるだろう。購入最小単位の152cm幅 x 1mであれば、サイズによるが数十枚は取れるので、失敗を気にする必要はないと思う。

    (1). 作りたいポーチのサイズ決定と生地寸法

    必要生地寸法の計算式

    ポーチサイズ: 幅 x 高さ x 長さ
    長手方向生地(横) = 長さ + 高さ + 縫代(7.5+7.5mm)
    短辺方向生地(縦) = (幅 + 高さ) x 2

    今回作成例(mm): 60幅 x 40高さ x 205長さ (0.4 リットル容量)
    必要生地: 260mm x 200mm
    横=205+40+15=260mm, 縦=(60+40)x2=200mm
    タブ用テープ: 20mm幅 6cmを2枚
    布端処理用テープ: 20mm幅 約320-340mm
    * テープはカット端を軽くライター等であぶって、テープのほつれを止めておく。

    (2). 生地の裁断と印付け

    ここで紹介する作り方では、マチの精度がポーチ長さと密接な関係があり、往々にして仕上がった長さが短めになることがある。自分はそれで何回か失敗した。そこで、生地裁断後高さに関する線を事前に付けておき、それに沿った縫製および折り目を付けておく必要がある。詳細は以下の写真を参照して欲しい。なお印はポーチ内面/裏面につけ、後で容易に消すことができるチャコペンを使うと良い。

    写真では印がはっきり分かるように黒ボールペンと黒マジックを用いた

    (3). ファスナー付け

    ファスナーは生地横長さ+10mm程度長くカット後、両端を持って左右に分離する。生地は表面を出し、その両端に分離したファスナーの表面(ラミネート面)を裏にして生地表とファスナー表が互いに向き合うようにして(裁縫用語で中表にして)、ファスナーの務歯(エレメント)が、以下の写真のように生地中央に向くように配置した後、1回目のミシンがけ。

    注意: ファスナーを左右に分離した後、スライダーを組み込む練習を事前にしておいた方が良いだろう。スライダーが小さいので結構手間取る。

    ファスナーを生地長手方向に中表で取り付け、ミシンがけ

    ミシンの押さえは通常のものからファスナー押さえ(右)に変更する

    ファスナー生地端から7.5mm付近にライン状のものが見えるので、そこに白いチャコで印を付け上たでミシンがけする

    ファスナーを起こして、そのまま生地の裏側にたたみ込む。

    生地は表面のままで、裏返して畳み込んだファスナーをファスナー際から1-2mm離れたところを再度ミシンがけ(ステッチする)

    注意点: 全編を通じて、ミシンがけは最初と最後の部分は3針目程度”返し縫い”(返し縫いのボタンを押して、後ろに縫い進み、再度前進することで糸のほつれを防ぐことができる)する。

    (4). 生地内面(裏面)を表にしての縫製作業

    a. ファスナーへスライダー取り付け

    ファスナーを縫い付けた生地表面を内側にして筒状とし、ファスナーにスライダーを取り付ける。スライダー引手は筒の内側にむくようにする。

    b. 生地短辺側のミシンがけ

    ファスナーを”全閉”にして、スライダーを取り外した後、ファスナーが中心となるよう平面状に筒を押しつぶす。

    フィスナーが中心となるように、筒を押しつぶす

    c. タブをファスナー部に差し込んでミシンがけ

    タブとなる二つ折りにしたリボンを、折り目が内部、両端が、筒端になるようにして、ファスナー部に差し込む

    その状態で片側の縫代線に沿ってミシンがけ。ファスナー部は”返し縫い”し、ファスナーとタブをしっかり縫い込む。

    d. ファスナーを再度両端に引き離す

    ここが少しトリッキーなところだが、ミシンがけしていない片側から、ファスナーの両端摘んで再度ピリピリとファスナーを開いて欲しい。

    e. ファスナーへスライダー再度取り付けた後、残り短辺側もタブと一緒に縫い付け

    (a)でスライダーを取り付けた要領で、スライダーを再度取り付け、スライダーを筒半ばまで進め、ミシンがけしていない短辺側のファスナーが閉じている状態にした上で、タブを(c)と同様にファスナー部にセットし、ミシンがけ。

    反対側の短辺側も同様にミシンがけ。その前にファスナーを一度開いて、スライダーを入れて半分程度まで閉めた後、ミシンがけする

    両短辺側の縫い付けが完了した時点で少し長めにしておいたファスナーを生地端面に合わせてカットする。

    (5). 内面に印付けした斜めの実線を山折

    短辺側のミシンがけが終了した時点で、生地にマークしておいた太い斜め実線が両端から中心部に向かっているのが見えるはずだ。この太い実線部をつまみ、山折にして強く折り目を付けて置く。

    マチを作るために四隅を三角形の形に織り出す。

    注意: 三角形に折る場合、短辺側の縫代を片方に折ることになるが、折る方向をポーチ底下向きになるようにすること。

    三角形が飛び出て、今まで平面であったものがポーチらしく立体的になるのが分かるはずだ。三角形の波線部をミシンがけすることでマチが形成されるので、ここはしっかり折り目を付けて置いて欲しい。

    四隅を三角形につまみ出し、立体化した状態で表裏反転している

    (6). 短辺の縫代端の処理

    その後、縫代の端をテープで包むのだが、この後のマチ作成で短辺側の一部をカットしてしまうので、そのカット分はテープで包まないでおく。次の写真で示した点線部の長さ+10mm程度でテープをカットし、両端をライター等で炙ってホツレ止め処理し、アイロンで短辺がV字状になるよう二つ折りにする。2つ折したテープを縫代端にかぶせて、ミシンがけする。この時、ミシン目は、元の位置より、0.5-1mm布端側/外側とする。

    短辺側布端のパイピング処理と、次工程の”4-7. マチ作成”での三角形波線部をミシンがけ

    (7). マチ作成

    ポーチ作成過程の中で最も重要な箇所であり、かつ初めて作成する場合分かりにくい箇所でもある。短辺の縫代端処理の前に、太い実線部を山折にして強く折り目を付けておいた。こうして形成された三角形の波線部を裏表合わせるようにし、ミシンがけすることでマチが形成される。印付けラインがないと、ここで適当に三角形を作って形が歪になり、高さ寸法や左右の高さがアンバランスになる、という不具合が出やすい。

    (8). マチ部縫代端の処理

    マチ部縫代を6-7mm残して小さな三角部をカットした後、布端をテープで包む。テープを止めるのに裁縫用クリップでは挟む力が小さく、テープと本体が動き易くなるので、縫い終わり部はマチ針でしっかり止めておくと良いだろう。

    三角形を縫代6-7mm残してカット

    この処理が終了すると裏返した状態のポーチが見えてくる。いよいよ次は最終工程だ。

    マチを作り、パイピング処理したポーチの内側。後はこれを裏表ひっくり返せば完成

    (9). 裏表反転により完成

    ファスナーを全開にして、裏表をひっくりし、マチ部の角を内側から突いて形を整え、スライダー引き手にロープを取り付けて完成!!

    スライダーに細ロープを取り付けて、10.3gの超軽量ポーチが完成した!!

    5. 最後に

    自分が初めて作成に取り掛かった際にわかり難かった箇所を詳しく書いたので、手順が長くなり難しく感じるかもしれない。生地はたっぷりあるので、最初の1,2回目は練習と割り切って作って見て欲しい。一度コツを掴めば、2回目は楽になり、3回目はもっと簡単にお気楽に作れると思う。

    筆者は2019年夏にミシン購入して、初めての作品がポンチョであった。ミシン作業は初級者レベル。写真をじっくり見れば、ミシン目が綺麗でないことに気が付くと思う。そんな初級者でも自分で作ったグッズは格別だ。是非自作にチャレンジして欲しい。

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