ライターを使わない焚火スタイルへの第一歩
焚火をするために、メタルマッチを使って火をおこす。YouTuberかほなんのソロキャンスタイルの基本がコレだ。用意した薪をバトニングして細く割り、先端を薄く削りフェザースティックに。そして、麻紐をほぐして着火剤とする。必要に応じて、さらに火着きをよくするための枯れ草や枝を集める。そこまで準備ができたら焚火台に麻紐と枯れ草を入れ、メタルマッチで着火するだけ。
メタルマッチとは?
「一言でメタルマッチといっても、いろいろなタイプがあります。マグネシウムでできているものもありますが、ほとんどのメタルマッチは、フェロセリウムという合金の着火棒でできています。普段は、これをナイフで擦って火花を散らし、着火させます。自分が持っているメタルマッチは4種類。いつの間にか増えちゃいました。比べてみると、大きさも形、それに値段も違うので、どれがどんな感じに使えるのか? 今回は、そんなメタルマッチ比べをしてみます」
4種類のメタルマッチをテストするために、同じ長さに切った麻紐の先をさらに同じ程度にほぐしながら、かほなんはこの日のテーマを話した。着火する様子を見やすくするため、焚火台ではなく、丸太を切った万能作業台の上でテストするそうだ。ワイルドな演出だ。
今回、比べた4種類のメタルマッチ
①セリア(100円ショップ)で買った価格重視のファイアスターター
②ブッシュクラフト.jpで購入したメタルマッチ。2500円ぐらい
③アマゾンやヤフーなどの通販サイトで買えるメーカー不明のメタルマッチ。これは、今回のなかで、唯一、マグネシウムとフェロセリウム2種類の材料を組み合わせている。400円ぐらい
④こちらもブッシュクラフト.jpのサイトで購入。長さ約20㎝あるフェロセリウムの棒。ストライカー付きで6300円ぐらい
同一条件に揃えて実験開始
「今回持ってきたメタルマッチはサイズもいろいろです。同じ条件で比較するため、ストライカーは、②のブッシュクラフトのメタルマッチに付属していたコンパクトな板状のものでやります」
テーブルの上にこの日、比較するメタルマッチを並べ、各商品の特徴を説明しながら軽快なトークは続く。そして、いよいよ着火実験がスタート。
シュッとひと擦りで勢いよく火花が散る快感
「では、最初、セリアで買ったファイアスターターから。小さくて可愛いですね。ではいきます!」
かほなんが慣れた手つきでファイアスターターをこすると、一瞬にして火花が飛び散り、台に置いた麻紐に引火した。お見事!
100均メタルマッチの実力は?
「普通に使えますね。100円という価格を考えると素晴らしいです。フェロセリウムの部分が短いから、ストロークも短くなりますが、まったく問題ないんじゃないでしょうか。今どきの100円ショップは、こんなマニアックなものまで揃えてくれていて、あなどれません。①は、どこでも買えるという利便性がなによりの魅力です」
台の上に置いた麻紐の火が消えると、次の麻紐を用意し、同じような手順で着火をする。
「②は、使っている人も多いと思います。焚火を楽しむ人にとって、ザ定番といえるほどの人気商品です。持ちやすさも、ストライカーとの相性もバッチリ。シュッとこすって、大量の火花が出ます。使いやすさも、着火性能も言うことなしですね」
ほかのメタルマッチとは一線を画した商品が登場
「③は今回の4点の中で、唯一、マグネシウムとフェロセリウムを組み合わせているのが特徴です。全体の銀色の部分がすべてマグネシウムで、横にある黒い部分だけが、フェロセリウムです。使い方としては、着火させる麻紐や枯葉などの上にマグネシウムを削っておき、フェロセリウムの部分を擦って着火させます。マグネシウムは、ツブツブしていて簡単に着火できるので便利です。パーッ、パーッって勢いよく燃えます。四角いプレート上なので、手にもなじみます」
かほなんの言う通り、先に削ったマグネシウムの粉が、フェロセリウムのそれよりも少し大きな火花となって強く赤く燃え上がり、瞬く間に麻紐に引火した。
「④は、半分ネタ(笑)で持っています。これだけ長いと、ストロークを長く取れるので、豪快さを演出するにはぴったりです。しっかりと押さえつけ、ナイフを使って、バーッと一気に火花を散らすには最強です」
4種類の比較を終えたかほなん。では総評を
「今回のメタルマッチ比べは、どれもいい勝負ですね。火をつけるという意味では、すべてちゃんと着くので問題なし。価格の違いは、そこに使われているフェロセリウムの量によります。高いものは、長くなり、ストロークが取れるので擦りやすくなる。低価格がウリの短いものでも問題なく火を着けられます。今回同じストライカーを使ってみて思ったのは、メタルマッチに合ったサイズのストライカーを選んで使うことが一番大切ってことです。ストライカーにナイフを使うなら、それに合わせてメタルマッチもある程度、長いものを選べばいいし、手軽に楽しみたいなら100円ショップのものでも十分に着火できます。予算と自分が描く着火のイメージで好みのものを選んでくださいね」
用途に合ったメタルマッチを
100円から6300円まで様々な仕様があるメタルマッチ。かほなんのように毎回、使うか、年に一度のキャンプで試しに使うのかで、選ぶべき商品が変わりそうだ。ライターを使えば、簡単な着火も、わざわざひと手間かけてメタルマッチで火をおこす。そんなプロセスこそが大事なのだ。キャンプの楽しみを深くするためにも、ぜひ、好みのメタルマッチを手に入れて、火おこしからチャレンジしてみよう。
↓↓↓当日の様子を収録したムービーが「さばいどるチャンネル」で公開されました! ぜひ、ご覧ください。
撮影協力/アウトドア・ベース 犬山キャンプ場 http://www.kirakira.net/
※愛知県犬山市にある人気のキャンプ場。普段、焚き火やデイキャンプができない広場にて今回は特別に許可をいただき、撮影しました。
構成/山本修二