ソロキャンプに行きたくてもなかなか行けない…。そんな日はソロキャンパー的自宅作業をしてみよう!今回はナイフのメンテナンスです。買ってしばらくは切れ味がいいナイフでも、フィールドで使えば使うほどどうしても性能は下がってきます。苦手意識が高いナイフ研ぎですが、じっくり時間をかけて挑戦してみるのはいかがでしょうか?
メンテナンスが楽しくなれば、ナイフは次第に手に馴染み、そして愛着も増していきます。これがナイフを長持ちさせるためのコツでもあるし、上手に研げるようになれば夢の「一生に一本のナイフ」を手に入れる日も近づくはず。誰でも挑戦できるように小難しいことはなるべく省いて「考え方」と「成功率が上がる説明」にしぼってみたので是非挑戦してみてください。
1:ナイフはどの部分を研ぐべきか?
手持ちのナイフを見てみると、実は色々な形状があることに気付くと思います。ナイフはどれでも同じように研げばいいというわけではなく、ナイフの特性に合わせて研ぐ必要があります。これから代表的なナイフの形を紹介しますので、自分のナイフはどのタイプで、どこを研ぐのかを知りましょう。
代表的なナイフの形状は図解のとおり。その他に「片刃」「両刃」など分類はありますが、おおよそキャンプのナイフというくくりでは上記で大丈夫です。
難しいタイプから順に次のようになります。
コンベックス<ホロウ<スカンジ<フラット
これは研ぐ範囲と研ぐ範囲の形状、そして本体の形状との関係で、コンベックスは慣れが必要になります。どうせずっと使わないから練習用にということであれば、コンベックスの刃先をフラットにしてしまうのも手です。また、ナイフの素材もステンレス系、鉄系、チタン系など様々ですがまずは気にせずこれから紹介する方法でやってみよう!
2:ナイフを研ぐときに必要な物
ナイフを研ぐときには基本の3点セットがあります。これがそろえばすぐにでも研ぎ作業に入れます。
①砥石
砥石はナイフを研ぐときの要。種類や目の細かさなどいろいろありますが、仕上がりの美しさや時短を追求しなければ1本でもOK!細かいところはこの次のステップで紹介します。
②布
砥石の上でナイフを研いでいると砥石自体が滑ってやりにくいときがあります。防止策として濡らした布を砥石の下に敷きます。汚れるので雑巾レベルでOK!
③砥石が入るバットまたは洗面器(水を入れる用器)
砥石は基本水とセットで使います。作業がしやすい場所を選ぶ場合は、布、砥石、水が入る浅めの入れ物があると楽。
3:どんな砥石がいい?
包丁からナタやアックスまで、汎用性がある砥石は水を使って使う日本スタイルの砥石がオススメ。”砥石道”は深い世界なのですが、”これでもOK!”を紹介します。今回使用する砥石の他にも、オイルを使う欧米タイプや、現場で刃先だけ調整するタイプなど様々です。これらは”研ぎ”に慣れたら使ってみるのもいいと思います。
①砥石の種類
砥石は大まかにいうと「天然」と「人工」の2種類があります。人工の方がコストパフォーマンスが高いのですが、中でも扱いやすさを考えるとセラミック砥石が最適。
②砥石の番手
砥石は番手で選びます。紙ヤスリなどと同様に、数字が小さいと荒く、数字が大きいと細かくなります。大まかにいうと次の3種類があります。
・荒砥石(80〜600番など)→刃こぼれを修復
・中砥石(700〜2000番など)→日々メンテナンスに最適
・仕上げ砥石(3000番以上)→切れ味を最上にする、鏡面の様に綺麗に仕上げる
こう記載するとすべて必要な気がしてしまいますが、中砥石1本でも大丈夫です。但し、刃こぼれしていたら研ぐのに時間がかかり、仕上げをするには力加減の調整が少し必要になることは知っておきましょう。まずは中砥石でナイフ研ぎになれて、もっと追求したくなったらいろいろ揃えてみるのがいいと思います。
4:研ぎ作業に入る前に
いよいよナイフを研いで行くわけですが、研ぐときに大切なポイントがあります。まずはそれらを押さえてから作業に入ろう。
①:切れ味の確認
まずは自分のナイフの切れ味の確認が大切。方法のひとつとして、ナイフの刃を親指の爪に当てて滑るか、引っかかるかをチェックします。何度も試して滑る部分は切れ味が落ちている部分になります。
※指を切らないように注意しよう。
②作業のセットアップ
砥石を使う前に30分程度水につけて水分を十分に吸収させて研ぐ際の滑りをよくします。セラミック砥石は給水時間が短いものもあるので自分の砥石の表記を確認します。
③研ぎの角度
ナイフを研ぐ際の一番重要なことは、刃を砥石にあてる「角度」です。正しい角度で当てないと元々の刃の形が変わってしまうし、研いでいる途中に角度が変わってしまうと旨く研げない。実際は「○○度」に合わせるなど細かい説明が多いですが、数字で表す角度に合わせるとなるとより「苦手度」が高まるばかり…。そこで、感覚で合わせるコツを紹介します。
・ナイフを砥石に寝かせる
・ナイフの刃先を起点にして少しずつおこす
・ナイフの刃先が当たった場所で固定
この3点を意識して角度を合わせよう。
5:研ぎ作業
ここまで踏まえたらいよいよ研ぎ作業に入ります。研ぎ作業の基本は「リラックス」と「固定」の2つ。これを押さえつつ次の方法で研いでいきましょう。
①印を付ける
研ぐべき刃の部分にマジックなどで色を付けておけば、必要な部分が研げているかの確認ができる。研いでいて消えた印やちゃんと研ぐべき場所にはまたつけてあげると仕上がりが綺麗になりやすい。
②砥石にナイフをセットして研ぎたい位置の刃に指をそえる
砥石に対しておおよそ45度の角度にナイフを置き、刃を砥石に合わせる。刃を砥石に合わせる際は研ぎたい位置の刃をメインに指を添える。砥石からナイフをはなす、ナイフの面を変えるたびにかならずこの作業をしよう。
③砥石全体を使って研ぐ
砥石は消耗品です。同じ場所だけでずっと研いでいると砥石は凹んでしまうため、それをできるだけ押さえるために砥石の全体を使って研ぐようにする。
④研いでいる感覚
押して研ぐ、引いて研ぐ?押すとき力を入れる、それとも引くとき?ここが悩ましいところ。実はどちらの方向にも力を入れすぎないのがポイント。力を入れすぎると逆に砥石に対して刃が当たる角度が変わってしまったり、変に力が入ってうまく研げない。おおよそ油汚れが酷いお皿をスポンジで洗う程度の力でいい。こうすれば、感覚的に研ぎにくいナイフの反対面もうまく研げる。
⑤慣れるまでは”回数”で研ぐ
ナイフには表と裏はありません。両刃の場合は同じくらい研げていないと切れ味もバランスも悪くなります。そこで、「A面30回」「B面30回」を繰り返し、切れ味が出てきたら最後は20回、10回、9回・・・1回と数を減らして終わらせる。
⑥バリ(反り返り)
ナイフを砥石で研いでいると研げている証拠にバリが出来ます。目で見にくい程度の発生もあるので、刃先を触って確かめてみよう。引っかかりがあればバリがある証拠。片側にあまりにも大きなバリができていたら片面だけ研ぎすぎていたということ。このバリは回数で研いで行くことで最後は綺麗に無くなります。
⑦砥石に水をたす
研いでいると、砥石が乾いてきます。安定した研ぎができるように、その都度水を足す。この時に、砥石が汚れているように見えるとぎ汁は洗い流さないこと。コレがあることで研ぎがうまくできるという感覚でいよう。
⑧刃が欠けている
刃が欠けているときは、この欠けが無くなるまで研ぐ必要があります。全体的に同じ幅まで研げばひとまわりナイフが小さくなるものの、綺麗な形に仕上がります。形が変わっても気にしなければ、欠けた部分を重点的に研ぐのもあり
⑨仕上げ
とことんまで仕上げがしたい人は仕上砥石や研磨作業をしますが、ひとまず「完全乾燥」と「オイル塗り」をすればOK。オイルはナイフ用でなくても酸化しにくいオリーブオイルをごく薄く塗っておけばいい。
最後に
ナイフ研ぎで大事なのは、うんちくや決まった方法ではなくて綺麗に切れるようになったという「結果」です。今回紹介した方法をベースに、自由に研いでみよう!
<注意>
・ナイフで手を切らないように細心の注意をはらって作業をしてください。
・波刃は上記の方法では研げません。
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