「Back Country」という言葉をご存知だろうか?
直訳すると「裏山」という意味だが、今、よく使われているのは、「人の手の入っていない、自然そのものの場所」というニュアンスだ。
スキー場で例えるなら、整備されたゲレンデに対して、「バックカントリー」は、そのゲレンデと自然の境界に張られたロープの向こう側。つまり「管理区域外」。
管理されないが、すべて自己責任の、自然そのものの世界である。
白馬在住の写真家・遠藤励氏は、19歳から18年間、世界のバックカントリー・スノーボード・カルチャーの最前線で、幻想的な風景やフィールドに生きる仲間のライフスタイル、トップボーダーたちのライディングを撮影してきた。その日々が「inner focus」という1冊の美しい写真集に結実した。
何時間も雪をラッセルしてたどり着いたパウダースノーのキャンバスに自分だけのラインを描く歓び。山の斜面に三脚を立て、そこから臨む山の斜面を滑降しながら歯でリモコン・シャッターを切る愉悦。自分の描いたラインに友人たちのラインが交差して、美しい紋様を描く不思議。