これからの季節、キャンプの計画を立てる方が多いかと思います。 「キャンプへ行ったら、ハンドドリップでキャンプコーヒーデビューするゾ!」とお考えの人へ、今回はコーヒーミルについてお話したいと思います。
この記事を読んだら、お店で挽いた粉の状態で持ち帰らず、淹れる直前に豆を挽いてコーヒーを淹れてみようと思っていただけると嬉しいです。
コーヒーの鮮度は挽いた後から落ちていく
コーヒー豆は、そのままの状態か粉に挽いた状態で店頭に並んでいます。「コーヒーミルを持っていないから……」と、粉に挽いた豆を買う方も多いでしょう。個人的には、ぜひとも豆を持ち帰り、家で挽きたてを楽しんでいただきたいです。
なぜ挽きたてがいいかというと、コーヒー豆は焙煎機から出てきた瞬間から二酸化炭素のガスを放出し、劣化が始まります。そこから美味しく飲める期間は豆のままで約1ヶ月、粉だと約2週間だと言われています。
保存のことも考えたら、やはり豆で買ってドリップする直前に豆を挽くほうが、コーヒーの味と香りを良い状態で飲めるというわけです。
ハンドミルの使いこなすポイント
その①:ナットや臼歯を調整して、細挽き〜粗挽きを選ぶ
コーヒーは焙煎された豆を挽き、ドリッパーなどの抽出器具に入れて、お湯を注いで作ります。ミルの使い方は、豆を中に入れて、ハンドルを回せば粉になって下へ落ちていくのでとても簡単です。
しかし、ただハンドルを回して挽くだけでは、お気に入りの味に仕上げることはできません。ナットや臼歯(うすば)を調整し、粉のサイズを変える必要があります。では、どのくらいの粗さで豆を挽けば良いのでしょうか。
ずばり、ビギナーの方は「グラニュー糖くらい」の粗さを基準にされるといいでしょう。おおむね細かすぎず粗すぎない中間的なサイズになります。
ハンドルの付け根のシャフト部分に歯車形状のナットで、円柱形のハンドミルなら内部の臼歯の下にあるダイヤルで粗さを調整します。
粗さ調整の仕組みは歯車形のナットもダイヤルも、右に回すと臼歯の隙間が狭くなって挽き目は細かくなり、左に回すと隙間が広がり挽き目は粗くなります。
その②:味の違いを知って、最適な粉のサイズを覚えておく
では、粗挽き〜細挽きという挽き目にはどんな違いがあるのでしょうか。簡単に説明すると、細挽きの豆はコーヒーを濃く抽出し、粗挽きの豆は薄く抽出します。
粒度を細かくすれば湯に触れる表面積が増えるため、成分の抽出が早まります。その分、苦味を感じることも多くなります。一方、粒度を粗くすれば表面積が少ないため、成分の抽出に時間がかかり、苦味が弱く酸味を感じやすい味わいのコーヒーに仕上がります。
旨味成分が出尽くした後は、雑味やエグ味が出てきます。いわゆる「出がらし」状態です。細挽きだと粉から早く成分が出るため、エグ味や雑味が出やすくなります。
反対に、粗挽きは旨味成分が抽出されるのが遅いため、その分エグ味や雑味が出にくくなります。粗挽きで通常より多めに豆を使うことで濃さも補われ、雑味のない贅沢で美味しいコーヒーになるわけです。
キャンプにぴったりなハンドミル
ハンドミルで重要なポイントは、挽く際に熱の発生が少ないことと、粒度(粒の大きさ)が均一に揃うことです。その際に重要なのが臼歯になりますが、キャンプで使うならコニカルカッターがおすすめです。
この臼歯には鋳鉄製、ステンレス製、セラミックス製といった素材のものが使われています。鋳鉄は丈夫な一方ですぐ錆びるのため、水洗いは厳禁。ステンレスやセラミックの臼歯は手頃で、かつ水洗いができるので人気です。
ハンドミルには様々なものが登場しています。登山やツーリングをする人は大きいものでは持ち運びにくいのでコンパクト性重視で選び、ファミリーキャンパーは一度に挽ける量が多いものや、キャンプサイトで見栄えする見た目重視で選ぶのがでしょう。
アウトドアでよく見る円柱形のミルも、今では幅広いなものが出ています。例えば、ステンレス素材で細長いデザインのポーレックスや、お手頃な価格で可愛い見た目のCHUMSのミル、僕もキャンプで使っているコマンダンテ、BBQ芸人のたけだバーベキューさんが最近使っているプラスモーションのQ2ミルなどなど。
余談ですが、ハンドミルは歴史があり、中でもプジョーやザッセンハウスはビンテージ物か多く存在し、コレクターズアイテムになっています。何十年にもわたって使い続けられるロマンを感じながら使うと、愛着が湧きよりハンドミルが楽しめることでしょう。あなたはどんなミルをチョイスしますか?