親しみやすくて楽しい!
自然を題材にしたアイヌの人びとの歌と踊り
まだまだ外出自粛が続いていた5月、買い物や散歩に出かけるといつの間にかツバメたちが現れ、春をあっという間に飛び越えて夏の訪れを告げていました。どこに巣をつくろうかな〜と物色していた親鳥たちも腰を落ち着け、卵を産んで、雛が産まれ、忙しく子育てして。巣立ちの季節になると、さあ夏本番です。
ツバメたちの顔を見ると同時に頭に浮かんだのは、歌や踊りを教えている野外自主保育の子どもたちのこと。子どもたちが大好きな「チャッピーヤク(アマツバメの舞い)」という、アイヌの人びとの歌と踊りの季節がやってきました。
アイヌの人びとが輪になって歌う歌と踊り「リムセ」。さまざまなリムセがありますが、バッタ、キツネと狩人、ツルなどなど、いきものを題材にしたものも多くあります。
山や野原、海、川での狩猟、漁労、植物採集などを主な生活の糧とするアイヌの人びとだからこそ、季節のうつろいやそのサインを敏感に感じとり、自然とともに暮らし、こうして歌や踊りにして一体となってきたのだと思います。服などの文様もそうです。
世界の先住民族を見渡しても同じように、いきものや自然のモチーフを身にまとったり、歌や踊りにしています。北極海でつながるカナダ、アラスカ、ロシア、北欧などに共通して見られるさまざまな文化のつながり。昨年訪れた二風谷でも、以前訪れた白老やバンクーバー、コペンハーゲンでも、北の海でつながる多様な民族に共通して見られる文化の展示がありました。国境など関係なく、海を超えての交流があったのかと想像するだけでワクワクします。
歌と踊りはひととひととを、
ひとと自然とを、そして世界をつなぐ
大学生の頃に出逢ったアイヌの歌や踊りと再会したのは、子どもが最初に通った保育園でした。アイヌや沖縄、東北などの民舞を、0歳のズリ這いの子どもたちから楽しむ姿。その後、自分でも子どもたちに教えて一緒に歌って踊ってみると、こりゃ楽しい。なぜかって、題材がいきものや自然だから動きもわかりやすいし、誰でも本能的に動けるのです。
中でも「チャッピー!チャッチャッチャッピー!」というフレーズ、ただ、それだけを口ずさみながら徐々に盛り上がっていく「チャッピーヤク(アマツバメの舞い)」は、子どもたちに大人気!「今日もチャッピーやろ!!」とリクエストが来るほど。
一緒に声を合わせて、顔を見合って踊りながら輪をなす。アイヌの人びとは集まると必ず、こうしたリムセやウポポ(歌)を楽しんだそうです。いや、誰もの祖先がきっとそう!今日はみんなでツバメになりきって、チャッピーヤク、やってみましょう。拍子抜けするほど簡単です(最後にムービーもあります)。
※調べてみたところ「アマツバメ」は町にいるツバメとは違う種のようで、下記に解説するようなツバメの子育てや巣立ちを題材にはしていないかもしれません。でも、まちをヒュンっ!ヒュンっと飛び交うツバメ、そして巣づくりや子育て、巣からチラチラ見える子ツバメたちの様子を見ていると、この歌と踊りを連想してしまいます。実際にアイヌの方々が舞うものとは異なる部分もありそうですが、楽しさを大切に共有させてもらいます。
一緒に歌って踊ろう
「チャッピーヤク(アマツバメの舞い)」
1. しゃがんでてびょうしチャッピー
チャッピー!チャッチャッチャッピー!
と歌いながら、手を叩きます(4回ほど繰り返し)
2. 肩に手を置いてチャッピー
チャッピー!チャッチャッチャッピー!
と歌いながら、肩に手を置きます(4回ほど繰り返し)
子ツバメが卵からかえって、巣からチラチラっと見えているようなイメージ
3. となりの人にちょっかいを出しながらチャッピー
チャッピー!チャッチャッチャッピー!
と歌いながら、となりの人の肩にも手をのばします(4回ほど繰り返し)
子ツバメたちも成長してきて、巣がギュウギュウになってきています
4. 片手をのばして、中腰でチャッピー
チャッピー!チャッチャッチャッピー!
と歌いながら、片手をのばし、”中腰で!” 動き回ります(4回ほど繰り返し)
ヨチヨチと巣立ちの練習ですね
5.元気に自由にチャッピー!
チャッピー!チャッチャッチャッピー!
と歌いながら、片手をのばして自由に横っ飛び。全てから解き放たれて自由にそこら中を走り回ってください。子ツバメたちの巣立ちです!
撮影したムービーも共有させてもらいます。これを参考に、ぜひみなさんでチャッピーしてみてください。またの機会に別のリムセも紹介させてもらおうと思います。お楽しみに!
撮影協力:しずく、とわ、れいぽん、大山 歩