刃物の街として知られる岐阜県関市。そこを代表するナイフファクトリーがジー・サカイだ。
ハードユーザーの声を取り入れ高い水準を維持。「ジー・サカイ」のナイフ紹介
狩猟に特化したタフな人気モデル
中條高明さんがデザインしたモデル。シカやクマの解体にひときわ力を発揮する。北海道での使用に特化した「キムンカムイ」、そして本州などの狩猟でも使いやすいようややコンパクトにした「キムンカムイ2」の2種類がある。
ポケットナイフなどを手がけるファクトリーとして戦後に創業した同社のネームバリューが、一気に跳ね上がったのが、1977年のこと。ガーバー社との技術提携により作り出した「シルバーナイト」は、ポケットナイフの品質や精度といった基準を一変させるほどのクオリティの高さで、同社のみならず「関のナイフ」のブランド力を世界的に引き上げる大きなきっかけともなった。
3種類のホールドに対応可能なハンドルデザイン
上から通常の持ち方、獲物の解体時に多用する逆手、細かな作業用に刃元に指をかける持ち方、いずれも持ちやすい。
アイヌ民族のナイフがモチーフ「働く刃物」
柳の葉状のシルエットで多くの用途に使いやすい。ハンドル材のFRNは濡れた手でホールドしてもグリップ力がキープされる。黒、黄、朱の3種類のハンドルと、半波刃と直刃の2種類の刃がある。
●全長=258㎜●刃長=130㎜●重量=230g
現在は、CNC加工などのハイテク技術に、職人による手仕事を柔軟に組み合わせた製造方法で、世界のファクトリーのナイフ製作を請け負う同社だが、その知見を生かしたオリジナルブランドの展開にも余念がない。中條さんプロデュースの「キムンカムイ」シリーズはもとより、錆に強いH-1鋼材を世界に先駆けて使用した「サビナイフ」シリーズは、海釣りなどに適したアウトドア・ナイフとして高く評価される。
魚の捌きも楽しめる和包丁に準じた片刃のモデル
釣り上げた魚をその場で調理しやすいようにH-1鋼材に出刃包丁などと同じ片刃の刃付けを施したモデル。右利き用と左利き用がある。ハンドル色は黒と黄2種類。カイデックス製のシースが付く。
●全長=209㎜●刃長=93㎜●重量=120g
ハードユーザーたちにフィールドテストを依頼し、フィードバックを活かすなど、使い手の立場に立ったものづくりを実践していることでも知られるブランドのナイフは、長く愛用できる一本となるだろう。
素早い開閉が可能な"サムホール"が役に立つ「スパイダルコ」のナイフ紹介
最大の特徴は刃の上部にある「サムホール」。フォールディングナイフの開閉を素早くスムーズに行なうために刃に穴を開けるという、それまでの常識を一蹴する発想で、ナイフの世界に変革をもたらしたメーカーが、スパイダルコだ。一度使ったら忘れることのできない使いやすさと、曲線を多用した、角や出っ張りの少ない印象的なシルエットも相まって、1981年の登場後ほどなくしてフォールディングナイフの新たなスタンダードとなった。
豊富なカラーを展開する多目的ナイフ
アウトドアでオールマイティーに使える細身の刃が特徴のモデル。刃材は切れ味が長く続くと定評のあるVG-10を使用。写真のフルフラット(直刃)は、7色のカラー展開。
●全長=223㎜●刃長=97㎜●重量=94g
はじめての一本に最適な汎用性の高いフォールダー
エンデューラよりワンサイズ小さなモデル。釣り、キャンプ、登山、ブッシュクラフトなどに使える汎用性の高いモデル。表面の凹凸加工で滑りにくいFRNハンドルは、こちらも7色で展開。
●全長=180㎜●刃長=73㎜●重量=65g
ポリスモデルやエンデューラなど、オールマイティーに使える定番品に加え、スペシャリストたちの、アイデアや意見をフィードバックしたモデルも数多く展開する。また、世界の気鋭のナイフ作家たちとコラボレーションして、トレードマークであるサムホールを組み込んだ上で、斬新さのあるデザインのスペシャルモデルを毎年のように発表し、ナイフの新たな可能性を模索し続けている。
錆に徹底対抗
海辺での使用に適した漆黒のモデル
H-1鋼材にブラックチタンコーティングをして錆に徹底して対抗、海辺での使用にひときわ向いているモデル。刃の形状には直刃と波刃がある。ハンドルが黄で刃は通常処理のモデルもある。
●全長=184㎜●刃長=76㎜●重量=60g
アウトドア愛好家はもとより、登山家やハンター、さらにはミリタリーといった各界のプロフェッショナルにも愛用する人が多い。ラインナップの一部は、日本のジー・サカイが製造を請け負っており、その精度とアクションの良さで、ひときわ高い評価を得ている。
問い合わせ先 ジー・サカイ 0575(29)0311
※構成/服部夏生 撮影/小林 拓
(BE-PAL 2020年6月号より)