山が染まり始める頃。向かったのは、高知県べふ峡。森の中をベテラン猟師と歩く狩りガールツアーがあるという。こんなお手軽に、猟師の目線と行動を近くで知るコトができるなんて、またとないチャンス! ジビエを知るなら、まずは森を知れ! と、参加者一同、意気込み満点で森の入口へやってきた。
置かれたのは両手に乗るほどの小さな木箱。罠猟のひとつ「くくり罠」だ。
動物が罠を踏むとワイヤーで足が縛りつけられる仕組み。写真では、木の枝を動物の足に見立てている。こんな小さく簡単な仕組みで、あの大きなシカやイノシシが捕獲できるとは。猟師さんの知恵にあっぱれだ!
「あそこに獣道がありますね~」。猟師暦27年の杉本民雄さんが指さす。が、落葉いっぱいの斜面しか見えない。どこをどう見たら道に見えるのか? 「その道にクロスするように走っている道が、もうひとつありますね」。またしても、落ち葉の山しか見えない(汗)。獣道がクロスしている部分には罠を置いてはいけないのだと言う。「罠だとわかると、動物はそこを通らなくなる。捕獲ポイントは減らしたくないからね」。
罠の設置実演が始まった。まず、穴を掘り、木枠を置く。子どもでも作れてしまいそうなこの木枠。実は、罠を確実にはじかせワイヤーを動物の足にしっかりと巻きつかせるための必需品なのだ。
木枠の上に金具を置き、土と落ち葉で罠を隠す。掘り返した土は使わない。地中と表面の土では臭いが違ってくるからだ。嗅覚が鋭い動物たちにとって臭いの違いは、危険フラグがでかでかと立っているようなものである。
本来、落ち葉は周辺のものを使うのが好ましい。今回は、説明用に杉本さんが持参された白い落ち葉を使う。
「シカやイノシシは、棒をまたぐ習性があるんですよ」。それを利用して罠を踏ませるため、周辺にある木の枝を置く。動物の歩幅を考えながら、棒と罠の絶妙な距離を測る杉本さん。動物の目線を常に考える。まさに、敵を知り己を知れば百選危うからず!