この春登場した超ユニークな寝袋を2つ紹介する!
隔壁を持たないSPIDER BAFFLE
バッフルチューブのない画期的なワンピース構造
この春、モンベルから世界に類を見ないユニークな寝袋が登場した。見てのとおりバッフルチューブがなく、寝袋全体がひとつの袋でできているのだ。
これまでの寝袋は、内包する羽毛の移動や偏りを防ぐために、バッフルと呼ばれるチューブの中に羽毛を封入していた。しかし今回開発した「スパイダーバッフルシステム」は、特殊な枝を持つ糸を、頭の頂点からつま先まで簾のように縦に配置し、この糸にダウンボールを絡ませることで均一に分布させる。これによって羽毛の偏りやコールドスポットができにくくなるうえ、羽毛本来の豊かな膨らみが得られる。またバッフルを作るための隔壁や縫い目がなくなり、大幅に軽量化できた。
さらに表地に縫い目が出ないのでメンブレン入りの防水透湿生地を採用でき、高い保温力と水濡れや雨に対するプロテクションが発揮できるのである。
最初はあまりの薄さに不安を感じたが、実際に寝てみると暖かい空気がフワリと体を包み込み、とても快適だった。
ショートジッパーなので使いこなしが難しいが、この軽さとコンパクトさは登山などで活躍してくれると思う。
ここがスゴい!体に密着して暖かさを逃さない
防水メンブレン入りで水濡れにも強い
特殊な撚糸に羽毛が絡まって保持される
モンベル/シームレス ドライ ダウンハガー900 #3 ¥57,000
内部隔壁を廃し、代わりに特殊な撚り糸を使ってダウンの片寄りを防ぐ「スパイダーバッフルシステム」を採用した防水シュラフ。縫い目の少ない構造を生かし、表地に防水透湿素材を使用することでダウンを水濡れから守り保温力を最大限に引き出している。
問い合わせ先 モンベル・カスタマー・サービス 06(6536)5740
SPEC
●重量=541g
●収納サイズ=φ14×28㎝
●快適使用温度=4℃
●下限温度=−1℃
●極限温度=−16℃
横向きでも寝やすいSPOON SHAPE
サイドスリーパーやリラックスしたい人へ
いっぽうニーモからもユニークな製品が発表されている。世の中には“サイドスリーパー”と呼ばれる就寝時に横を向いて眠る人が7割近くいるのだが(僕もそうだ)、コイツはそんな人のために開発された製品だ。
最大の特長は「スプーンシェイプ」というひじ回りとひざ回りに大きく余裕を持たせたシルエットで、中でモソモソ動いたり、横を向いたりするのが楽にできる。実は僕もこのスプーンシェイプのファンで、仕事場の据え置き寝袋に使ってる。布団と同じような感覚で眠れるので、普段使いにも最高なのだ。
現在このシリーズには18モデルあるが、これは化繊中綿を使ったモデル。中綿はプリマロフトと共同開発した素材で、雨に濡れてしまっても保温力の低下が少なく、家庭で簡単に洗える。だからキャンプビギナーやファミリーユースにもぴったりだ。また価格をぐっと抑えてあるので、この夏キャンプデビューしたい人にもオススメできる。
オーバーヒートを防ぐ胸元のスリットや、外気温に応じて首元の暖かさ調整ができるフラップ、ピローポケットなど、各所にアイデアが満載。とても使いやすい製品に仕上がっている。
ここがスゴい!オーバーヒートせずに適度に温度調整
首元の隙間を調整し快適な温度で眠れる
枕などを固定するピローポケット
ニーモ/フォルテ35 ¥19,000
「人は普段は誰もマミー(ミイラ)のようには寝ていない。だから従来のマミー型シュラフはベストな形状ではないかもしれない」という素朴な疑問から生まれたリラックスシェイプの寝袋。オートキャンプから登山用まで3つのシェイプが用意され、これは中間タイプ。中綿に化繊を採用しラフに使える。ウイメンズモデルと連結可能。
問い合わせ先 イワタニ・プリムス03(3555)5605
SPEC
●重量=960g
●収納サイズ=φ29×23㎝
●快適使用温度=4℃
●下限温度=−1℃
※撮影/中村文隆
(BE-PAL 2020年6月号より)