フィールドで常に寄り添う"相棒"
フォールディングナイフ
いわゆる折りたたみ式のナイフ、フォールディングナイフ(フォールダーとも呼ぶ)は、コンパクトに持ち運びできる携帯性の高さと、使わないときには刃をしまっておける安全性の高さが特徴のツールだ。
オープン時の刃をロックする機構の有無が最大の違いになるが、ここでは安全性が高い、比較的オーソドックスなロック機構や固定方式のモデルを中心に紹介してみた。
フォールディングナイフ選びの3か条
(1)使用目的に加え、見た目の良さも基準に
(2)手にして、開閉のしやすさを確認する
(3)オープンした際の刃の安定感を確認する
フォールダーは基本的にサブツールとして使う。使用目的を明確にしつつ、デザインの好みも反映すれば、長く愛用できる一本になるだろう。フィールドで瞬時にオープンできるよう、開閉しやすいロック機構のナイフを選ぶこともおすすめしたい。ロックの硬さなどはメーカーごとに差があるのでチェックしよう。またアウトドアで安心して使えるよう、オープン時に刃がぐらつかないかは必ずチェックしたい。
片手でオープンできる独自ロック
ベンチメイドは、ミリタリー向けからEDC(日常使い)用まで幅広いラインナップを誇るファクトリー。同社独自のアクシスロックとサムスタッドでスムーズな開閉を可能にしたミニグリップティリアンは、粉末刃物鋼CPM-S30Vを使ったハイスペックな一本だ。
●全長=172mm●刃長=74mm●重量=76g
問い合わせ 山秀 TEL0575(24)5000
掌に収まるサイズで携行性抜群
CRKT(コロンビアリバー・ナイフ&ツールズ)社も幅広いジャンルのコストパフォーマンスに優れたナイフを生み出すファクトリー。ピラーラージは現代のナイフの代表的なロック機構であるライナーロックを採用し、サイズに加え、厚みも抑えたモデルだ。
●全長=170mm●刃長=68mm●重量=119g
問い合わせ 山秀 TEL0575(24)5000
刃の形状は用途に応じて無数にあるが、アウトドア・ナイフとして使う場合は、デスクワーク用などの特殊なシルエット以外だったら概ね問題なく使用できるはずだ。
懐かしさが今こそ新しい
かつて日本の子供たちが愛用していた「肥後守」は、現在、兵庫県三木市の永尾かね駒のみで作られている。「チキリ」と呼ばれる刃の出っ張った部分を指で押さえるスタイルはシンプルだが確実に刃を固定できる。鉛筆削りなどのデスクワークにもおすすめだ。
上 ●全長=209mm●刃長=90mm●重量=71g
中 ●全長=172mm●刃長=77mm●重量=48g
下 ●全長=92mm●刃長=38mm●重量=14.5g
問い合わせ しんかい刃物店 TEL03(3311)9116
可動パーツが多いので、研ぎはもとより、汚れの拭き取りなど、使用後のメンテナンスは必須。錆などにも注意を払って大事に使えば、アウトドアで頼れる“相棒”として長く愛用できるだろう。
ハンターにもキャンパーにも愛用者多し
ハンドルエンドに露出したスプリングを押して刃を開閉できるバックロック機構を搭載した110(ワンテン)。アウトドアズマンたちの「頑丈で、携帯しやすいナイフが欲しい」という声に応えて’63年に登場以来、圧倒的な人気を得てきた。112は、やや小ぶりにしたタイプ。
(上2つ)上 ●全長=220mm●刃長=87mm●重量=210g
下 ●全長=185mm●刃長=70mm●重量=176g
問い合わせ エイアンドエフ TEL03(3209)7575
クローズ時に
刃の角が当たらない優しい設計
ケースは1889年の創業以来、クラシカルな雰囲気のポケットナイフを作り続けてきた。コパーロックは、折りたたんだ際に大振りのボルスターに刃が隠れる作り。ポケットの中でも刃の角が布に引っかからず、携帯しやすい。骨に刻みを入れたジグドボーンハンドルも味わい深い。
(下2つ)上 ●全長=188mm●刃長=80mm●重量=84g
下 ●全長=160mm●刃長=68mm●重量=55.5g
問い合わせ ぎんざ菊藤 TEL03(3541)7355
ナイフ作家が手がける
肥後守タイプのフォールダー
シンプルゆえの丈夫さと使いやすさという肥後守の特徴を取り入れたナイフを手がける作家も数多い。古藤好視さんはその代表格。スタッグや天然木といったハンドル材が醸し出す高級感や、製作精度の高さが魅力。サイズのバリエーションも豊富なので、好みに合った一本を選べる。
天然ハンドル材で"自分だけの一本"に
LF(ライトフォールダー)は古藤さんのフラッグシップモデル。キャンプで使えるクッキングナイフなども人気が集まる。永尾かね駒のラインナップにも、古藤さんが手がけたウッドハンドルのモデルが存在する。直販はないので各地の刃物店で探してほしい。
●全長=134mm●刃長=56mm
(BE-PAL 2020年6月号より)