まだ見ぬ世界へと案内し、その成り立ちをひもとく……そんな写真集や図鑑に触れることも、自然を楽しむ方法のひとつです。ここでは、自然をよく知る方々に、お気に入りの写真集と図鑑をあげてもらいました。来たるべき日に備え、心を潤し、整える――内的世界を広げ、自然の奥行きを味わう一冊は、世界の見え方を変えてくれるかもしれません。
推薦者 三宅直人
文字では表現しにくい鳴き声で識別できる
『鳴き声から調べる野鳥図鑑 おぼえておきたい85種 パソコン用CD付き』
野鳥観察では、姿を見るより鳴き声を聴くことが多い。その声を、付属のパソコン用CDを使い、耳で聴いて覚える図鑑。85種のさえずり、地鳴きなど250種以上を収録。鳴き声ネタのコラムも満載。
豊富な写真と読み応え十分な解説が魅力
『山溪ハンディ図鑑10増補改訂 日本のカメ・トカゲ・ヘビ』
日本で見られる爬虫類109種を収録(増補改訂で4種増え、和名の見直しも行なわれた)。すみか、食べ物、繁殖、体の特徴、見分け方などに加え遭遇体験記もあり読み物としても十分楽しめる。
7種類の花色から引けるユニーク図鑑
『色で見分け五感で楽しむ野草図鑑』
種類が多く調べにくい野草を7系統の花色で分け、開花時期の早い順に並べであるので、花さえ咲いていれば初心者も引きやすい。解説は平易で、手触り、香り、味などを鍵にしたコラムが秀逸。543種を収録。
観察しにくい種の多い哺乳類の入門に最適
『くらべてわかる哺乳類』
陸生と海生の哺乳類を、外来種も含め154種収録。生態写真にイラストを加え識別点を解説するのはこのシリーズの特徴。モグラ、ネズミ、コウモリなどには手軽な図鑑が少ないので、日本の哺乳類全体を見渡す資料としても役立つ。
日本近海で見られる海水魚約1000種を紹介
『改訂新版ネイチャーウォッチングガイドブック
海水魚 ひと目で特徴がわかる図解付き』
釣りやスクーバダイビングで見られる海水魚を生態写真で紹介し、別個にイラストで体形や特徴を解説。幼魚、雌雄、婚姻色の写真も多数収録。改訂で、新種や新しく和名がついた200種が加えられた。
日本産のカエル全種を原寸大で紹介する
『山溪ハンディ図鑑9増補改訂 日本のカエル+サンショウウオ類』
日本産のカエル46種、サンショウウオ類33種を網羅。カエルの卵やオタマジャクシのほか、繁殖生態も写真で紹介。解説が詳細で読み応えがある。増補改訂でサドガエルなどの新種が加えられた。
※構成/麻生弘毅 撮影/今森光彦
(BE-PAL 2020年7月号より)