二次燃焼を促進し、完全燃焼<solo stove>
完全燃焼する炎には麻薬的な美しさがある
僕は焚き火が大好きなのだが、この数年はまっているのが「二次燃焼ストーブ」だ。
そもそも焚き火というのは薪から発生した可燃ガスに火がつくことで燃えるのだが、樹木の種類や乾燥状態によってどうしても燃え切らない可燃ガスがあり、これが煙となって立ち上がる。二次燃焼ストーブはこの可燃ガスに高温の空気(酸素)を吹き付け、再び燃焼させる仕組み。これにより少ない薪で大きな火力が得られ、煙の少ないクリーンな焚き火が楽しめるのだ。
この二次燃焼を徹底追求したストーブがソロストーブだ。元々は小枝や松ぼっくりを燃料にする小型ストーブだったが、高い燃焼効率とシンプルで美しいデザインが受け、さまざまなサイズが作られるようになった。この「レンジャー」はグループキャンプ用の中型サイズだ。
強固で高耐久の1ピース構造
プレミアムグレードの304ステンレスを溶接して作った1ピース構造なので、高い剛性と耐久性を備えている。シンプルで美しい。
空気の流れを作り完全燃焼を促進
内筒の中で火を焚くと熱せられた空気の上昇と底部の酸素不足によって、底部の通気孔から大量の空気が吸い込まれ、燃焼を促進する。
内筒の上部からも高温の空気が噴出
二重構造の筒内で暖められた空気(酸素)がこの孔から噴出し、残りの可燃性ガスに吹き付けられてさらに燃焼を促進。完全燃焼する。
総ステンレスの円筒は二重構造になっていて、筒の隙間に入った空気が焚き火に暖められて高温となり、内筒の上部から噴出して可燃ガスを燃やす仕組み。
渦を巻くように燃え上がり、完全燃焼する炎の姿には麻薬的な美しさがある。美しく強い焚き火を堪能したいならこれに勝るストーブはないと僕は思う。
ソロストーブ/レンジャーキット ¥33,000
同社は米国テキサス発のネイチャーストーブブランド。これまでハイキング用の小型ストーブを3サイズラインナップしていたが、新たに据え置き型のレンジャー(直径約38㎝)、ボンファイヤー(直径約48㎝)、ユーコン(直径約76㎝)を発売。このレンジャーは日本のオートキャンプでも活躍するサイズだ。
問い合わせ先 アンプラージュ・インターナショナル 072(728)2781
SPEC
●サイズ=φ38.1×高さ31.7㎝
●重量=6.8㎏
●素材=ステンレススチール(SUS304)
●専用スタンド、収納袋付き
折りたためる深型二重構造<mont-bell>
ダッチオーブンが乗るし木炭もそのまま焚ける
一方、二次燃焼ストーブを折りたためるようにしてしまったのがモンベルだ。昨冬に発売されたときには僕は「そうきたか!」と唸ってしまったほどだ。
組み立てと撤収の速さ、合理的なパッキング形状を突き詰めた結果、デザインは見てのとおりの箱形になった。まあ、はっきりいって色気も雰囲気もない。
しかし使い込んでいくとこれがなかなか合理的なデザインであることに気づく。横幅は42㎝でキャンプ場などで売っている薪(だいたい35〜40㎝程度だ)がちょうどくべられるサイズ。深さは20㎝とけっこう深く、この高さが大きなドラフト効果を生む。ドラフト効果というのは燃焼によって暖まった空気が上昇することで下部の空気口からフレッシュな空気が取り入れられる現象だ。
合理性を追求した深型のBOX構造
見た目は簡素で、ふた昔前の簡易バーベキュー台みたいだ。しかし二重構造とステンレス鋼を採用することで想像を超える性能を発揮。
小さくたためて携行性は抜群
折りたたみ式にすることで抜群の携行性と収納性を獲得した。組み立てや撤収の操作も一瞬で完了する。これなら気軽に持っていける。
ダッチオーブンや鉄板が使用できる
別売りのクッカースタンド(¥2,200)を装着すればダッチオーブンや極厚鉄板をのせられるので、豪快な焚き火料理も楽しめる。
そして特筆したいのが料理のしやすさだ。別売りのクッカースタンドを使うとダッチオーブンや鉄板が置けるし、ロストルなしで木炭が使えるから、BBQグリルとしても活躍する。
ソロストーブが純観賞用の焚き火台だとしたら、こちらは万能の焚き火コンロといっていい。それが折りたためちゃうんだから、ほんとうに驚きなのだ。
モンベル/フォールディング ファイヤーピット ¥16,900
簡単に折りたたんで持ち運べる焚き火台。独自の二重・深型構造が強力なドラフト効果と二次燃焼を発生させ、燃え残りと煙の少ない高い燃焼効率を実現した。約42×30×5㎝というコンパクトな収納サイズはいかにも日本ブランドらしい。純正サイズの焼き網が付属しているのでバーベキューも楽しめる。
問い合わせ先 モンベル・カスタマー・サービス 06(6536)5740
SPEC
●サイズ=42×30×22㎝(収納時=42×30×5㎝)
●重量=4.1㎏
●素材=ステンレス鋼
●焼き網、収納袋付き
※撮影/中村文隆
(BE-PAL 2020年9月号より)