冒険のレッスンは日が暮れてからが本番。街の生き物は人の気配が薄くなってから動き出す。
ヘッドランプをつけて川を遡れば、次々に夜行性の生き物が現われる。ときおり水柱をあげながら逃げる魚は、浅瀬で小魚を狙っていたナマズ。背中を白く光らせて川底を這うのは、日中は警戒心が強いスッポンだ。
雑木林も夜に賑わう。樹液に集まるのは昆虫とそれを狙う小動物たち。耳をすませば彼らの小競り合いの音があちこちから聞こえてくる。その向こうでさえずるのは、江戸の人々がその到来を待ちわびて夜更かししたという、夏鳥のホトトギスだ。
都市の夏の夜は、遠い自然と今も地続きになっている。
1 夜の川を探索
所要時間 約60分
日が暮れると、夜行性の生き物が深みや茂みから顔を出す。瀬で小魚を待ち受けるナマズや、歩き回って食物を探すスッポンは都市近郊でも観察できる。ときにはタヌキやハクビシンなどの哺乳類に出会うことも!「すげぇ大物いないかな?」
2 雑木林ハイク
所要時間 約60分
昼間はこぢんまりした雑木林も、夜には何倍も存在感が大きくなる。息を殺して樹液をめぐれば、夜行性の動物や昆虫の足音が聞こえてくる。運がよければ、都市近郊でもアオバズクやホトトギスなどの夏鳥の声が聞ける。
3 ウシガエル釣り
所要時間 約60分
草陰から「ブォオオン、ブォオオン!」と野太い声をあげるのはウシガエル。そっと近づき、コイ釣りで使ったハリを口元で上下させるとバクッと食らい付く。「食用ガエル」の異名のとおり美味で肉の量も多い。ウシガエルは特定外来生物。食べる場合は締めてから持ち帰ること。
藤原祥弘&潮路
※構成/藤原祥弘 撮影/矢島慎一
(BE-PAL 2020年8月号より)