麦の脱穀作業は、ラダックでは共用の脱穀機を使う村が増えていますが、ラダックからさらに山奥にあるザンスカール地方では、家畜と人の手による昔ながらの脱穀作業を行っています。地面に麦を円形に敷き詰め、その上をヤクやゾに歩かせる作業を「クユ」と呼びます。
「クユ」を行った後、麦をすくい上げて風にさらす作業が「オンセ」(風選)です。こうすることで、もみがらやわらくずを麦粒と選り分けることができるのです。
ラダックでは農村の人手不足が深刻化していて、かつてのように人力や家畜による昔ながらの農業のやり方が次第にすたれつつあります。耕作や脱穀、運搬の際に機械や車を利用することが増えれば、家畜たちの出番は減り続けるでしょう。急速に押し寄せる変化の波の中で、ラダックの人々はどのような未来を選ぶのでしょうか。
今回ご紹介したラダックの農作業をはじめ、各地で行われるさまざまな祭りや行事、人跡まれな山中へと分け入った旅や、凍結した川の上を歩くチャダルの旅など、かつて僕がラダックで足かけ1年半にわたって暮らし続けた日々の体験を綴った本『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々』が、文章と写真を大幅に増補した「新装版」として新たに発売されました。
『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]』
文・写真:山本高樹
価格:本体1800円+税
発行:雷鳥社
A5変形288ページ(カラー120ページ)
ISBN 978-4844136958
http://ymtk.jp/ladakh/ladakh_online.html
2016年3月29日(火)から5月29日(日)までは、東京・三鷹のリトルスターレストランの店内で、写真展「風息の行方 ラダック ザンスカール スピティ」を開催します。会場までのアクセスや営業時間などの詳細は、下記のリンク先のページをご参照ください。
http://ymtk.jp/ladakh/2016/03/photolittlestar1601.html
2016年4月16日(土)14時からは、東京のモンベル御徒町店で、ブータン写真家の関健作さんとコラボトークイベントを開催します。このイベントは、今年の夏に予定している、関さんがガイドを務めるブータンツアーと、僕がガイドを務めるラダックツアーの説明会も兼ねています。参加方法などの詳細は下記のリンク先のページをご参照ください。
http://ymtk.jp/ladakh/2016/03/bhutanladakh1601.html
総人口わずか3000人! 花と歌を尊ぶ少数民族「花の民」とは?
山本高樹 Takaki Yamamoto
著述家・編集者・写真家。インド北部のラダック地方の取材がライフワーク。2016年3月下旬に著書『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]』を雷鳥社より刊行。
http://ymtk.jp/ladakh/