非常時に火を起こしたい時、もし手元に着火器具が無かったら…
突然ですが、皆さんは災害などの非常時に、火を起こすすべを知っていますか?もし持ち物の中に、着火器具の一切がなかったと仮定します。そのような場面で、火を起こせますか?
実は乾電池とチューインガムがあれば、火を起こすことできるのです。正確に言えば、「乾電池」と「チューインガムの包み紙」。意外な道具の組み合わせですが、確実に火種を作ることが出来ます。
通常時、着火器具が手元にあったり、ほかに手段がある時は、この方法はおすすめしません。しかし、今回ご紹介する方法を覚えておけば、万が一の際でも難なく火を起こすことができます。
何が起こるか分からない昨今、非常時を想定して「乾電池」と「ガムの包み紙」で火を起こせるように、今回ご紹介する方法を知識としてチェックしてみてください。
乾電池とガムの包み紙で火起こし
どうして火が起きるの?
なぜこの2つで火起こしができるのかというと、理由は2つあります。
まず1つ目は、ガムの包み紙は「紙」と「アルミ」でできているから。
2つ目は、アルミは電気を通しやすく、紙は燃えやすいから、という理由です。
電気が物体を通る際、必ず「熱」が発生するのですが、電気の量が大きければ大きいほど、発生する熱も大きくなります。アルミは電気を通しやすいので、発生する熱も大きいのです。
紙が燃えやすいというのは皆さんご存知かと思います。「燃えやすい」というのは、「発火点の温度が低い」という意味。
つまり「電気がアルミを通る際に大きな熱が発生して、発火点の低い紙がこの熱によって発火する」という理屈です。
火を起こす方法
まずはガムの包み紙を「くびれ」を作るように切ります。真ん中のくびれ部分は、約2mm程度の細さにしましょう。
こうすることによって、アルミに電気が通った時、くびれ部分に集中的に熱が発生し、より高温になって火が発生しやすくなります。
ただし、細過ぎると切れやすくなります。ハサミ等で切る際は、切り過ぎないように気を付けましょう。
乾電池を用意します。ここで用意する乾電池は、単1でも単3でも、いずれの乾電池でも問題ありません。
ただしボタン電池や、角形の9V電池は、試してみましたが火は点きませんでした。
くびれを作ったガムの包み紙の片方を、乾電池のマイナス側に当てます。紙の面ではなく、アルミの面を当てましょう。
マイナス側を指で押さえながら、もう一方を乾電池のプラス側に当てます。
このとき電極部分が熱を持ち、押さえている指が熱く感じる場合があります。火傷の恐れがあるので、なるべく手袋を着用するなどして、火傷への対策をしましょう。
その状態を保持すると、数秒でガムの包み紙のくびれ部分が茶色く焦げ、その後赤く発光しながら燃焼します。
くびれ部分は、とても高温になっています。この部分に燃えやすい火口を当てると、火が起きます。
実際に火起こしをしてみる
ご紹介した電池とガムの包み紙を使った方法で、実際に焚火の火を起こしてみます。
今回の方法で火は起きるものの、ガムの包み紙の燃焼スピードは早いです。
あらかじめ薪や小枝、枯れ葉のような火口(ほくち)になる材料を準備して、ガムの包み紙の火種を素早く火口に移さなければなりません。事前の準備をしっかり行う必要があります。
火口を手のひらに乗せます。「麻紐をほどいたもの」等は火が着きやすいので、表側に向けておきます。
火口にガムの包み紙を当てながら、乾電池の両方の電極に、ガムの包み紙を触れさせます。これで火口に火が着きます。
火の着いた火口で、手を火傷する恐れがあります。耐熱グローブなどがある場合は必ず着用し、火傷への対策をしましょう。
火の着いた火口から小枝、薪へと火を移して大きくしたら、火起こしは完了です。
非常時に役立つ「乾電池+チューインガム」火起こし術
非常時に使う懐中電灯や防災ラジオ等は、乾電池を使用している場合があります。その場合は中の乾電池を取り出して利用します。あとは防災バッグなどにチューインガムを入れておけば、簡単に火を起こすことが出来ます。
今回ご紹介した方法は、乾電池もガムの包み紙も、本来の使用目的とは異なる使い方をしています。万が一の非常時に役立つ火起こし術ですが、他の手段がある場合は、この方法は実践しないようにしましょう。
今回ご紹介した方法は、いざという時の為の方法です。万が一に備えて、これを機に覚えておきましょう。