右2つ:ヒメジョオン染め、 左:ドクダミ染め
四季折々の植物で作る野草の草木染め
四季折々の自然を、色で味わえる草木染め。「同じ場所で採れた植物でも、収穫時期が1週間違うだけで色の出方が変わります」と、染色家の小室真以人さん。曰く、葉が緑だから緑色になるわけではなく、多くは黄色に染まる。ただし、黄色とひと口にいっても、どんな黄色かは染めてからのお楽しみ。
「身近な野草でも染められます。ウールなどの動物性繊維は縮みやすいので、中でも染めやすいシルクや植物性繊維のコットンや麻からチャレンジ。野草だからと勝手に採らず、公園など公共の施設は避け、私有地なら持ち主に聞いて採取しましょう」
染めるものの下処理
STEP1
まんべんなく濡らす
布全体をムラなく濡らす。この際、ぬるま湯のほうが生地に浸透しやすいが、水でもOK。
STEP2
大豆飲料を揉み込む
植物性繊維の場合は、固く絞った①を、5倍に希釈した大豆丸ごと飲料へ。よく揉み込む。
STEP3
絞って干し、乾かす
風通しのよい日陰で乾燥。①〜③は、繰り返すことで、予期せぬムラなどの失敗を防ぎ、しっかり染まる。
使った野草
土のついた根を除き、すべて染色に使用。ヒメジョオンは5〜8月、ドクダミは6〜7月ごろに開花。
用意するもの
ステンレスかアルミニウム製の鍋/ポリバケツ/ザル(バケツに重ねられるサイズ。2つあると便利)/こし布/30cm以上の棒か菜箸(ステンレスか木製のもの)/キッチンスケール/計量カップ/焼きミョウバン/大豆丸ごと飲料/ハサミ/染めるもの(動物性繊維ならシルク。コットンや麻など植物性繊維のアイテム)
今回染めたもの
シルクの靴下と、コットンの手ぬぐい、サコッシュ。タンパク質を含むシルクは染まりやすく、「染めるものの下処理」を省いてOK。
まずは全体を染めてみよう
所要時間 約60分
STEP1
野草を短くカット
野草は染める布の重量と同量に。ハサミなどで鍋で煮やすい数㎝の長さに切る。
STEP2
ひたひた状態で煮る
火は、鍋からはみ出ない程度。野草がひたひたになるよう水を足し、沸騰させる。
STEP3
ミョウバン湯に15分
ミョウバンを布の15%分、70度C以上の湯へ溶かす。布によく浸透させる。
POINT
ミョウバン湯は捨てない。一度染色し、ミョウバン湯に5〜10秒浸して固く絞り、また染めるという工程を2度ほど繰り返すと、色がより濃くなる。
STEP4
煮た野草の液をこす
染めるには、ある程度、色が出ればOK。
20分程度煮たら、ポリバケツにザルとこし布をのせて液をこす。煮る時間は色を見て調整。
STEP5
染めて、水洗いする
布を液の中で前後左右に10分くらい動かして染める。水で洗い、固く絞る。
POINT
重曹をひとつまみ入れると、より濃く染まる。シルク素材は生地が傷む場合があるので、入れないほうが良い。
STEP6
乾かして、完成!
風通しの良い場所で、陰干し。天日で色が抜けるので、保管や洗濯時に注意。
グラデーション染めに挑戦
所要時間 約15分
STEP1
STEP2
STEP3
染めたい部分だけ液に浸し、上下に動かしながら染める。色を濃くしたい部分は長めに、薄くしたい部分は短時間浸すことで、グラデーションに。染め終わったら、ミョウバンを溶かした湯へ入れ、染色部分だけ15分くらい浸し、中で回す。水洗いしたら固く絞って、陰干しして完成。
※構成/ニイミユカ 撮影/山本 智
(BE-PAL 2020年8月号より)