寒い季節は鍋料理が食べたくなる
日本の食卓で古くから愛されている「鍋料理」。寒い季節になると、多くのご家庭で食べる機会が増えますが、例に漏れずキャンプ飯でも、鍋料理を食べるキャンパーさんは多いです。
しかし鍋料理と言えば、大きなカセットコンロと重い土鍋で、大人数分を作るイメージがありますよね。そのうえ、鍋のおつゆは残りがちで、洗い物をするのも一苦労…。
これらの悩みを解決するべく、「紙皿を使った調理」を考案しました。荷物は少なく軽い。人数分だけ調理が出来る。おつゆも飲んでしまえば、洗い物は出ない。最後はゴミに捨てれば、キャンプの帰路も楽になる。
キャンプで鍋料理を楽しみたいキャンパーさんは必見です。この調理方法なら、キャンプで鍋料理をするハードルが下がり、手軽に楽しめます。ぜひ参考にしてみてください。
鍋いらず、使うのは紙皿だけ!
今回は鍋料理の中でも、人気の高い「おでん」を作ります。もしスーパーなどで、既に調理済みの「温めるだけのおでん」があれば、そのような商品を使うのがおすすめです。手間がかからず美味しいので、とてもキャンプ向きの商品です。
ガスバーナーなどの熱源も用意しましょう。焚火やBBQグリルを熱源にすることも出来ますが、火加減の調整が簡単なガスバーナーがおすすめです。
一番重要な紙皿は、底が一体になっている物を選びましょう。側面と底が接着されて作られているものは、加熱すると底が抜けます。
他にも「断熱仕様」と謳っている商品は、発泡紙が使われていることが多く、直接火にかけて加熱すると溶けます。そのような商品は選ばないようにしましょう。
おでんの具とつゆを、紙皿に入れて熱源に乗せ、直接火にかけます。
「えっ、燃えちゃうんじゃないの?」と思われた方、ご安心ください。紙皿は燃えません。どうして燃えないのかは、後程ご説明します。
火加減は、紙皿の底に火がギリギリ当たる程度にします。火加減が強すぎると紙皿のフチに引火して、燃えてしまいます。
しばらく加熱すると、おでんのつゆにプツプツと泡が出始め、手をかざすと温かいことが確認できます。程良い所で加熱を止めましょう。
紙皿を熱源から下ろし、おでんが熱々のうちに食べましょう。
加熱直後は紙皿がとても熱くなっています。紙皿を持つ際は火傷をしないように、気を付けましょう。
どうして紙皿は燃えなかったのか?
おでんが入った紙皿に直接火を当てたのに、紙皿が燃えなかった理由をご説明します。
まずはじめに、物質は火を近付けると温度が上がり、ある一定の温度まで達すると、引火します。この引火する温度を「引火点」といいます。
燃えやすいイメージのある「紙」の引火点は、約450℃と意外に高いです。つまり紙に火を近付けても、紙自体の温度が450℃に達しないと、引火しないのです。
紙皿には水(おでんのつゆ)が入っていました。水は100℃になると沸騰し、気体になります。水が液体のうちは、温度は100℃未満ということです。
つまり液体の水が触れている紙皿は、水によって温度上昇が抑えられ、引火点の450℃まで達しないのです。(水を沸騰させ続け、紙皿の中の水が全て気体になれば、紙皿は100℃以上まで加熱されて引火します。)
料亭などの懐石料理で、「紙鍋」が出てきて「なんで燃えないんだろう?」と思ったことはありませんか?
紙皿が燃えなかったのも、紙鍋が燃えないのも、同じ理屈です。
鍋調理以外にも、アイデア次第で様々な調理が出来る
茹でる
紙皿でお湯を沸かし、パスタを茹でてみたところ、ちゃんと茹でることが出来ました。
ただし茹でている最中、紙皿の表面にパスタがくっつき、剥がれなくなりました。紙皿の表面は鍋と違い、ザラザラしているのが原因と考えられます。
しかしパスタ自体は茹で上がったので、他に調理器具が無い「非常時」などには、役に立つかもしれません。
蒸す
紙皿を2個重ねて、間に網を挟み、シュウマイを置いて10分間蒸してみました。
下の紙皿には8分目の量まで、水を入れています。水が加熱されて蒸気になり、重ねた紙皿の中でシュウマイが蒸される構造です。
予想通り、シュウマイはしっかり蒸しあがっていました。これでキャンプに蒸し器を持って行かなくても、本格的な蒸しシュウマイが食べられます。
キャンプ×紙皿は、とても相性が良い
キャンプで紙皿を使って調理をすれば、鍋料理はもちろんのこと、「蒸し」料理や「茹で」が必要な料理も可能になります。そして紙皿だからこその「捨てられる」「軽い」「安価」といったメリットは魅力的です。
高価なクッカーや、大きな鍋を持ってキャンプに行くのも良いですが、マルチに活躍する紙皿にも視線を向けてみてください。キャンプ飯に多彩なバリエーションをもたらしてくれますよ。