火きりうすにするスギの枝を選び出すと、テンダーさんはその枝をナイフで加工。枝を両面から削って薄い板状にした。
「火きりうすの厚みは1.5センチ程度が使いやすい。板状に整形したら、ナイフで皿状にくぼみをつけ、火きりぎねを回転させて、くぼみを綺麗な円形に整えます」
「火きりうすが円形に凹んだら、その中心に向けて三角形の切り欠きを作ります。この切り欠きから摩擦された木屑が落ち、あるタイミングで火種が生まれるんです」
そういうとテンダーさんは地面に厚い枯葉を敷き、その上で本格的に摩擦を開始!
火種が生まれると、テンダーさんはそれをあらかじめ作っておいた火口のなかへそっと落とし込んだ。
「火種がばらけると立ち消えてしまうので、火口への投入は慎重に。火種を受ける部分にはなるべく細い繊維質のものを集めておきます」
火種を火口の中心に入れ、両の手のひらで壊れやすいものをもつように保持すると、テンダーさんは細く長く中心に向けて息を吹き込みはじめた。
「火口は火種のベッドのようなもの。潰して消してしまわないように注意しながら、外側から圧力をかけて少しずつ、燃料として火口を火種に供給します。同時に息を吹き込んで酸素も供給する。すると・・・」
「ここまでが火おこしの基本。適した材を野山から見つけ出せるようになれば、そんなに難しくはありませんよ!」
※ナイフ1本で火おこし! テンダー式焚き火術②では「ティピ・ファイヤ」の組み方を解説します!
テンダーさんのサイト「ヨホホ研究所」
http://yohoho.jp/
文/藤原祥弘 撮影/矢島慎一