徳島県・神山町
ベンチャー企業は古民家を改修した
"えんがわオフィス"に本社を分散
「プラットイーズ」は、テレビ番組や映像コンテンツに関する業務運用や、放送システムの開発を幅広く行なうベンチャー企業だ。本社は東京だが、2013年に徳島県の神山町にサテライトオフィスを開設。「えんがわオフィス」と名付けた。
「東日本大震災の起きる少し前に、取引先から〝災害にあったときに備えて、事業継続プログラムを作っていますか?〟と尋ねられたんです。もちろん拠点は東京にしかなかったから、分散を考えた方がいいな、と思って」と、同社会長の隅田徹さん。当時、神山町は地方では先駆けて光ファイバー網を完備し、NPO法人による移住者への支援も積極的だった。古民家が並ぶ街並みも気に入りここに決めた。
「古民家を改修してオフィスを作りました。支社や支店ではなく、本社のサテライトオフィスなので、東京と同様、すべての部門がこちらにもあります」
社員は東京か神山か、働く場所は自分の意思で選べるという。
「心地よさは人それぞれなので、すべての社員にとって理想の環境などないと思います。なので、オフィスは色々なタイプがあった方がいいでしょう。場所は目的ではなく結果。やりたいことによって変わるものですから」
家の“縁側”のように、外と人との接点になれば、という思いが込められたオフィスだ。
業務によって棟を棲み分けた快適オフィス
母屋のオフィス内には、壁掛けのテレビが常に流れる。
アーカイブ棟。
蔵オフィスは編集スペースと撮影用スタジオ。
働き方を体験できる
滞在型宿泊施設も営む
2015年にオープンした「WEEK神山」。神山町での働き方を体験できる、滞在型宿泊施設で、ワークショップや映画上映会も開催している。
地域の人と七夕祭り
毎年七夕には近所の人たちが〝えんがわオフィス〟の中庭に集合(今年は中止)。地域の人との接点になっている。
IT企業のサテライト
オフィスの宝庫・神山町
町の中央を東西に流れる鮎喰川流域には集落が点在。町の中心には現在14の企業がサテライトオフィスを開設。
企業の「本社分散」移住のコツ
1 災害時の危機対策として考える
2 東京か地方かを社員の意思に任せる
3 地域との接点を積極的に持つ
※構成/大石裕美 撮影/小倉雄一郎
(BE-PAL 2020年9月号より)