「フォルクスワーゲン・バス」のDNA
小さなお子さんのいるファミリーに最適なミニバンは、70~80年代にアメリカで人気を博したレジャー用のフルサイズバンがルーツだ。
それが使いやすいサイズのミニバンへと進化し、さらに日本ではシートアレンジや快適装備を充実させた独自の発達を遂げて今日に至るわけだが、一方で欧州では主に業務用のトランスポーターから進化したミニバンが主流だ。そのひとつであり、最古参モデルにあたるのが、1950年に登場したフォルクスワーゲン・タイプ2、いわゆる“フォルクスワーゲン・バス”だ(ちなみにタイプ1はビートル)。いわばミニバン作りにかけて、フォルクスワーゲンは世界屈指の老舗ブランド。その系統は今も健在で、シャランとゴルフトゥーランの2モデルがラインアップされている。
今回紹介するのはボディサイズの小さなゴルフ トゥーランで、2016年1月に最新型(2世代目)が日本に導入されたばかり。全長は4535㎜で後席のドアは通常のヒンジ式と、いわゆる日本的なミニバンとは違い、むしろワゴンに近いクルマといえる。
全席独立式でアレンジ、座り心地も抜群!
箱型のミニバンと比べてどっしりと低く構えたスタイリングのゴルフトゥーラン、その室内には2人が座れる3列目シートが用意され、広々とはいえないものの大人でもなんとか乗れるだけの空間を確保している。小さなお子さんなら十分実用的だし、3つのシートが独立した2列目がワンアクションで前に倒れながらスライドし、乗り降りも簡単だ。
1列目を含めたすべてのシートはボリュームがあり、かつ固めの座り心地で、これがロングドライブにちょうどいい。クッションが柔らかい場合、近場の買い物程度なら快適だが、長時間座っているうちに体への振動が不快に感じて疲れてしまうのだ。
また、2列目・3列目がそれぞれ独立しているので、アレンジも多彩。簡単操作でフラットな空間が生まれ、助手席の背もたれも前にたたむことができるので、長尺物の積載にも対応する。
フル乗車でも力強く加速する
ゴルフトゥーランに搭載されるエンジンは1・4リッターの4気筒ターボ。低回転域から力強く、多人数乗車でも力不足な印象はない。ハンドリングも良好。シャープすぎず、それでいて切り込んでいくと正確に路面をトレースし、ボディの傾きも穏やかだ。
ビシっとした直進安定性も含め、同乗者がクルマ酔いする心配の少ない、運転を楽しめるコンパクトワゴンに仕上がっている。これみよがしな快適機能は少ないものの、使ってわかる機能的な室内は、ミニバン作りに長けたフォルクスワーゲンならでは。飽きの来ないデザインといい、ベーシックグレードで300万円を切る価格設定といい、初めて輸入車に乗る若いファミリー層には最適だ。
子供が大きくなって窮屈になったら、自分専用の外遊び専用車にするのもいいだろう。
【フォルクスワーゲン・ゴルフトゥーラン TSIコンフォートライン】
全長×全幅×全高:4535×1830×1660㎜
車両重量:1560kg
最低地上高:160㎜
最小回転半径:5・5m
エンジン/排気量:直列4気筒DOHCターボ/1394cc
燃費:18・5km/L
最高出力/最大トルク:150ps/250Nm
トランスミッション:7AT(DSG)
駆動方式:2WD
価格:¥3170000
問い合わせ先: フォルクスワーゲンカスタマーセンター☎0120-993-199
構成/櫻井 香