身近な調理道具と、スモークチップで作るお手軽燻製。そのまま食べても申し分なしだが、さらに燻製食材をアレンジした、香り高い贅沢なひと皿に!
鍋燻製の基本を紹介
1.アルミホイルを敷く
鍋の底にアルミホイルを敷く。長時間火にかけるので、焦げ付き防止になる。
2.燻製チップを敷く
好みのスモークチップを2つかみ入れる。鍋底が隠れるぐらいに。
3.ザラメを散りばめる
チップの上にザラメを散りばめる。チップ一握りに対して大さじ1〜2。
4.火にかけ、具材を載せる
強火にかけ、煙が出てきたら網をセット。食材は重ならないように置く。
5.蓋をする
弱火にし、蓋をする。チップの火が消えないように、少し隙間を作る。
燻煙材
熱して使用するスモークチップ。サクラやナラが一般的で、ナラは色づきが良く初心者におすすめ。クルミはオールマイティー。リンゴは甘くマイルドで淡白な食材と好相性。ヒッコリーは香りが強く個性的。ウイスキーオークは乳製品によく合う。
燻煙材に混ぜて使うことでスモーキー感がUPするピート。ウイスキーの香りづけに使われる。
ハマグリの燻製
貝類独特の臭みを煙が旨味に変える。歯応え抜群で、噛み締めるほど香しい磯の風味が口の中に広がる。酒のつまみに◎。
〈材料〉
ハマグリ(ホンビノス貝殻付き)…1㎏
ソミュール液 水…500cc
塩…20g
三温糖…10g
しょう油…大さじ1
粗挽き黒コショウ…少々
ローリエ…1枚
セロリ…葉を数枚
〈下ごしらえ〉
ソミュール液の材料をすべて合わせ、ハマグリを入れて冷蔵庫で2日間漬け込む。
〈作り方〉
①1時間ほど流水に浸けて塩抜きしたら、ビニール袋に入れて空気を抜き、70度Cのお湯で10分茹でる。
②6時間ほど風乾してから、サクラのスモークチップで2〜3時間弱火で色濃くなる程度に熱燻する。
③半日ほど風通しの良いところで休ませて完成。
ポイント
食材を燻すときチップにザラメを混ぜると、色艶が格段に良くなる。ほんのり香る甘い香りも美味しさの秘訣。
ダッチオーブンでトライ。蓋の縁が高いので、逆さまにしてかぶせると、空間が広がり、煙も回りやすい。
茹でたあと貝が冷めたら、じっくり風乾する。水分があると色がつきにくい。
アレンジメニュー
ハマグリ燻製のコンソメスープ
食材はシンプルながら、燻煙がスープに溶け出し、コクうまな仕上がりに。タマネギを加えて甘味を増してもいい。
〈材料〉
ハマグリ燻製…100g
白ワイン…大さじ3
コンソメスープ…600cc
パルミジャーノチーズ…適量
セロリの葉…適量
フランスパン…適量
〈作り方〉
①コンソメスープにハマグリ燻製と白ワインを加え、沸騰させないようにしながら10分ほど火にかける。
②仕上げにパルミジャーノチーズとセロリの葉を落とし、炙ったフランスパンとともにいただく。
さらに貝の臭みが取れるように、魚介と相性のいい白ワインを加える。
鶏レバーの燻製
北米で古くから燻煙材として使われるヒッコリーにピートをプラス。重厚な香りがねっとり食感に合う。
〈材料〉
鶏レバー…400g
牛乳…適量
ソミュール液 水…500cc
塩…20g
三温糖…10g
しょう油…大さじ1
粗挽き黒コショウ…少々
ローリエ…1枚
潰しニンニク…1片
ショウガスライス…2枚
ローズマリー…1枝
〈下ごしらえ〉
1.鶏レバーは水で血を良く洗い流し、ボールに入れて塩(分量外)で揉み、30分ほど置き血抜きする。
2.水洗いしてからヒタヒタの牛乳へ入れて半日ほど置き、臭みを抜く。
3.ソミュール液の材料をすべて合わせ、水洗いした❷を入れ、2日間漬け込む。
〈作り方〉
①1時間ほど流水に浸けて塩抜きする。
②6時間ほど風乾してから、ヒッコリー+ピートのスモークチップで1時間前後、弱火で色濃くなる程度に熱燻する。
③半日ほど風通しの良いところで休ませて完成。
スキレットを2台使い、1台をフタ代わりに。ある程度温めたら鍋自体の保温効果で燻煙できる。
ピートは植物が地中で堆積し炭化したもの。チップに2、3個混ぜると、より深みのある味わいに変化する。
アレンジメニュー
鶏レバー燻製のカルボナーラ
燻製で芳しいカルボラーナはちょっと苦味もあり、大人なお味。多めの黒コショウでインパクトをつけよう。
〈材料〉
鶏レバー燻製…150g
パスタ…200g
卵黄…3個
粉チーズ…卵黄と同量
塩…適量 コショウ…適量
オリーブオイル…適量
イタリアンパセリ…適量
〈作り方〉
①鶏レバー燻製をひと口大にスライスする。
②塩をひとつかみとオリーブオイルをひと回し入れたたっぷりの湯でパスタを茹でる。
③卵黄と粉チーズ、塩をボウルに入れ、茹で汁を少々加えて混ぜる。
④茹で上がったパスタと❸を絡め、茹で汁とコショウで味を調えて完成。好みでイタリアンパセリを添える。
パスタ以外は全部生のまま混ぜ合わせられ、火要らず。キャンプに最適メニュー。
アジの干物の燻製
もともと塩っけのある干物は下ごしらえ不要の楽チン食材。魚介類に合うナラのチップで色良く仕上げた。
〈材料〉
アジの干物…1枚
〈作り方〉
①アジの干物は1時間ほど風乾させる。
②ナラのスモークチップで8分ほど中火で熱燻する。
③半日ほど風通しの良いところで休ませて完成。
燻製する前に冷蔵庫から出して常温に戻し、虫除けのカゴをかぶせて、風乾させる。
針金を十字に組んで先端をボウルの縁に引っ掛ければフタに変身。薄い鉄製の中華鍋は高温になるので、アジなどはすぐに火が通る。
アレンジメニュー
アジの干物燻製ご飯
身をほぐして和風食材と和えると、香りが強く出すぎず丁度いい。茶漬けにしてキャンプの朝ご飯にも。
〈材料〉
アジの干物燻製…1枚
ご飯…2杯分
白ごま…適量
大葉…2枚
ミョウガ…1個
紅ショウガ…適量
〈作り方〉
①アジの干物燻製の身を手でほぐす。
②炊き立てご飯へ1と炒った白ごま、細切りした大葉、刻みミョウガを入れて混ぜる。
③紅ショウガを添えていただく。
全部の材料を一度に混ぜるだけのお手軽レシピ。バルサミコ酢で後味サッパリ!
※構成/大石裕美 撮影/鍵岡龍門 燻製材協力/新富士バーナー 0533(75)5000
(BE-PAL 2020年10月号より)