聞くところによると、法華院温泉山荘は、「坊がつる讃歌」という昭和の歌謡曲が生まれた場所。広島大学の山岳部歌として作られ、歌手の芹洋子さんが歌い、NHK「みんなのうた」で流されるほどヒットしたそう。
そうした背景から、法華院温泉山荘では歌が身近。登山客が合唱をすることも多く、定期的にコンサートも開催しています。大広間で流れていたCDの曲のなかには、坊がつる賛歌もあったのでしょう。ちなみに、坊がつる賛歌はこんな歌詞。九重連山の季節の移ろいが、叙情的に歌われています。
人みな花に 酔うときも 残雪恋し 山に入り 涙を流す 山男 雪解の水に 春を知る
ミヤマキリシマ 咲き誇り 山くれないに 大船の 峰を仰ぎて 山男 花の情を 知る者ぞ
(つづく)
登山の後に温泉で疲れを癒やし、仲間とともに歌を歌う。なんとも有意義な時間を満喫する登山客を眺めながら、日常生活から解放される山小屋の魅力を改めて実感しました。ビーパル取材班も、ビール片手に夜更けまで話に花を咲かせたのは言うまでもありません。
文=吉田真緒