今月はクリスマスに欲しい「焚き火系ギア」をバーサス。ソロキャンのデビューにどうですか?
使い勝手の良いナイフはソロキャンプの基本装備
12月といえばクリスマス。そこで今月は「クリスマスプレゼントに欲しいキャンプギア」をお題にバーサスしてみた。予算は税込み1万円だ。
編集部近くの「さかいやスポーツ」でじっくりリサーチしてみると「最近はおひとり様キャンプブームの影響で、焚き火まわりのギアが大人気です」とのこと。なかでもスウェーデンのモーラ・ナイフは値段が安いこともありバカ売れしているそう。
その背景にはブッシュクラフトやバトニング(ナイフをナタ代わりにして薪割りをすること)への憧れがあると思うが、バトニング主体に使うなら同社で最もゴツい「ガーバーグ」というモデルがおすすめだ。しかしこれは税込み1万1550円で、ちょっとだけ予算オーバー。
そこで提案したいのが新作の「カンスボル」だ。見てのとおりブレードの切っ先側が深くえぐられ薄くなっている。このおかげで川魚をさばいたり、肉や野菜を切ったりがしやすく、キャンプ料理に使いやすい。いっぽうブレードの手元側は厚みが2.5mmあるので、バトニングしたり枝を削ってフェザースティックを作ることもできる。まさに万能ナイフなのだ。
枝を削り、薪を作る
MORAKNIV
モーラ・ナイフ/カンスボル マルチマウント MG ¥6,500
創業125年を誇るスウェーデンのナイフブランド。安価だが切れ味が良く、研ぎやすく扱いやすいことから北欧では実用ナイフの代名詞になっている。近年のブッシュクラフトブームを背景に日本でも人気爆発。これは同社の最新作で、独特のブレード形状により料理から木工までさまざまな用途に使うことができる。
問い合わせ先 アンプラージュインターナショナル 072(728)2781
SPEC
●柄素材:TPEラバー、 ポリプロピレン(中央部)
●刃素材:ステンレススチール
●刃長:約109mm
●全長:約226mm
●刃厚:約2.5mm
●重量:約100g(ナイフのみ)
ここがスゴい!
マルチマウントのシースが付属する
ベース部をバックパックや自転車のフレーム、クルマの荷室、ガレージの壁などに据え付けておくと必要なときにさっと使えるので便利。
パーツを組み替えるとベルトシースになる
付属のループ型パーツに組み替えるとケースがベルトシースに変身する。シンプルで使いやすい収納方法なのでキャンプにも重宝する。
フルタング構造のガーバーグモデル
ブレードがハンドルを貫通する「フルタング構造」なので剛性が高く、バトニングや突き刺して捻るような荒い使い方にも対応する。
100年以上の歴史を持アイルランドのケトル
ナイフが手に入ったら次は焚き火台かネイチャーストーブが欲しくなるところだが、僕のお薦めはこれ。100年以上の歴史を持つアイルランド生まれの「焚き火ポット」だ。
一見するとアルミケトルに見えるが、じつは筒が二重になっていて、外筒と内筒の間に水が入るようになっている。
そして台座の部分に松ぼっくりや小枝などをくべて火をつけると煙突効果で上昇気流が起こり、効率よく燃焼する。その熱が内筒の壁を伝って広い面積でポットを熱するので、少ない燃料で素早くお湯が沸くのである。
もともとはアイルランドの漁師が冷えた体を温めるために開発したもの。コンパクトに携行でき、すぐにお湯が沸くことから西アイルランド一帯で広く使われるようになり、1970年代以降は欧州一帯に広がった。
火をおこしてお湯を沸かすというのはキャンプ生活の基本だ。ソロキャンデビューの相棒としてはうってつけの道具である。
ちなみに上級者は筒の上にゴトクを渡して同時に炒め物をしたり、ファイヤーベースを単体で使ったりもする。経験とスキルに応じて使いこなし方が増えていく点もコイツの魅力だ。
火を焚き、お湯を沸かす
KELLY KETTLE
ケリーケトル/スカウト1.2ℓLアルミ ¥8,250
1880年代にアイルランド西部のコン湖で漁師をしていたパトリック・ケリーが開発。2005年に4代目社長が生産の近代化を行ない、現在はアルミ製とステンレス製がそれぞれ3サイズ販売されている。「スカウト」は中間サイズの1.2Lモデル。日本仕様にはホイッスルキャップとコルクキャップの2種類が同梱される。
問い合わせ先 アンプラージュインターナショナル 072(728)2781
SPEC
●サイズ:高さ31cm(収納時の高さ:28cm) 幅φ18.5cm
●重さ:800g
●本体素材:アルミニウム
●ファイヤーベース素材:ステンレス
ここがスゴい!
熱いままでも注げる独自の鎖の使い方
本体内部で火を焚くため本体は非常に高温になるが、キャップをつないでいる鎖を利用することで、グローブを使わずに熱湯が注げる。
チムニー効果で大火力が得られる
円筒内部で火をおこすと煙突効果で上昇気流が生まれ、下部の空気穴から新鮮な空気がどんどん取り込まれる。それが大きな火力に。
おひとり様には小型モデルもいい
よりコンパクトなサイズの「トレッカー」もある。小型軽量で携行しやすいが、容量は0.6Lなので調理に使うには少々小さい。
※撮影/中村文隆 協力/さかいやスポーツ・エコープラザ
(BE-PAL 2020年12月号より)