「こちらが、今日の水風呂です」リバーガイドがそう言って指差したのは、銭湯の水風呂でも、プールでもなく、紅葉の御岳渓谷を流れる11月の多摩川でした……。
そう、今回ここが川ではなく「水風呂」と呼ばれるのは、ラフティングで下ったゴールの先にサウナが待っているから!
11月8日、9日の2日間で開催された「御岳渓谷ラフティング&サウナ」では、11月のウォーターアクティビティ・イベントにも関わらず予約はほぼ満員、およそ60名弱が集まり、多摩川の清流を「水風呂」として楽しみました。
「ラフティング&サウナ」って?
ラフトボートで川を下り、急流のスリルや川とのふれあいを楽しむラフティング。夏のウォーターアクティビティとして近年人気が高まっていますが、実は、台風シーズンが終わって川の水が澄んでいる秋こそ、水がとっても気持ち良いラフティングのベストシーズンなのだとか!
そうはいっても、単純に「寒そう……」というのが一般的なイメージでもあります。
一方で、サウナを愛する「サウナー」にとっては、冷たい水=ごほうび!彼らは熱いサウナ室と冷たい水風呂での「交互浴」をたのしみ、水温10度C以下の水風呂は「シングル」と呼んで喜ぶ酔狂ぶり。
そんな「寒い時期でも川遊びを楽しんでもらいたいラフティング」と「冷たくてきもちいい水風呂を求めているサウナ」がタッグを組んだのが、今回のイベントなのです!
そして、今回ラフティングのゴールに用意されていたのは、サウナ愛好家からは新しいカタチのサウナとして、そしてアウトドア方面からは新しいキャンプ・ギアとしても注目されている、テントサウナ「MORZH」。
サウナで身体を温め、水風呂で冷やし、休憩する。
それを何度か繰り返していくと、「ととのう」と呼ばれるディープリラックス状態、つまり、「とても気持ちいい」状態になります。その「気持ちいい」に魅了されたサウナ愛好家たちの、サウナをもっと自由に、そして自然のなかでも楽しみたい!サウナの本場フィンランドやロシアのように、天然の湖や川を水風呂にしてみたい!という夢をかなえてくれるのが、このテントサウナなのです。
いざ、水風呂&サウナへ!
今回、ラフティングのガイドをしてくださったのは、「みたけレースラフティングクラブ」に所属するガイドの皆さん。
お気付きの方もいらっしゃるかもしれませんが、今回は「サウナ&ラフティング」ではなく「ラフティング&サウナ」。つまり、ラフティングで身体を冷やし、サウナで身体を温め、そしてまた川で身体を冷やす、という、サウナ愛好家なら涎を垂らして喜ぶかもしれない「水通し(サウナの前に水風呂に入って身体を冷やすこと)」を自然のなかで体験できるということ……!
さすがに寒いのでは、という不安もありましたが、実はウェットスーツなどで防寒をするため、ただ乗っているだけではそこまで寒さを感じることはありません。そこで、ラフティング後のサウナをより気持ち良くするため、今回は身体をしっかりキンキンに冷やす特別コースで案内してくださいました!
まずはクラブハウスでコロナ対策の検温、消毒を済ませ、ラフティングの注意事項などを聞いて着替えたら、川沿いを歩いてスタート地点へ。密を避けるため、通常6人乗りのラフトボートに3~5人で乗り込み、いざ出発です!天気にも恵まれ、紅葉の御岳渓谷を眺めながらのスタートとなりました。
急流で水しぶきを浴びたり、まるで天然の洗濯機のようなスポットではラフトボートにじゃぶじゃぶと水が流れ込むのを「水風呂だ!」とはしゃぎ、まさにサウナ専用コース!なかには、ラフトボートから落ちてしまい、率先して水通しを楽しむコアなサウナーチームも……。
さらに、まだまだ冷やし足りない!という方にはこんな水通しスポットをご案内。
存分に川を楽しんで身体を思いっきり冷やしたら、いよいよサウナへ!
今回、アツアツのテントサウナを用意してくださったのは、ロシア製テントサウナ「MORZH」の正規輸入代理店でもあるSauna Camp.の皆さんです。
アウトドアとサウナを愛するあまり、「サウナから湖に飛び込んでみたい」という好奇心からテントサウナに出会い、魅了された彼ら。なかでも、ロシア製テントサウナ「MORZH」の性能に衝撃を受け、ついに日本の正規代理店にまでなってしまったそうです。
今は、大自然で「ととのう」ことのすばらしさをひろめるため、テントサウナの販売をはじめ、イベントの開催や情報発信など、「サウナーをフィールドに、キャンパーをサウナに」を日々実現し続けています。
この日用意されていたのは、4~5名用のテントサウナMORZHと、10名は収容可能なMORZH MAX。
熱したサウナストーンに水をかけると、あつい蒸気が発生し、極限まで冷やされていた身体がじわじわと熱を取り戻していきます。
さて、冷えた身体をあたためて終わりではありません。むしろこれからが本番といっても過言ではないでしょう。先ほどまでの冷えはどこへやら、だらだらと汗が流れる限界まで身体をあたためたら、今度は生身のからだで川に飛び込みます!
流れが急な川ですが、ライフジャケットとヘルメットを装着し、リバーガイドの皆さんがしっかりとガイドしてくれるので安心です。
「あのあたりに飛び込むイメージで、あの岩の横を目指して流されましょう!脚をあげて、ラッコさんのポーズで」
まさに天然のウォータースライダー、エクストリーム水風呂。一度体験したらやみつきになること間違いなし!
サウナの基本は「サウナ→水風呂→休憩」。川からあがり、ちょうどよい岩を見つけて休憩していると、太陽のあたたかさ、岩の質感、草の匂い……五感すべてで自然を感じ、溶け込んでいくような気持ち良さが押し寄せてきました。
これからは「サウナ×冬の川遊び」の時代が来る!?
「実はラフティングって、年中楽しめるんですよ」
そう語るのは、今回のイベントの共同開催である「みたけレースラフティングクラブ」所属の五十嵐 好紀さん。
「ドライスーツなどを着用すれば、寒い冬の時期でもラフティングは楽しめるんです。台風シーズンが終わり、水が澄んで最高に気持ち良い川をもっと多くのひとに楽しんでもらいたい。だから、みたけレースラフティングクラブは年中無休で営業しています。でも、どうしても秋・冬の需要は一部のコアなファンの方に限られてしまっていました。そこで思いついたのが、サウナです。」
「アウトドアで楽しめるサウナについて調べていて、Sauna Camp.さんのブログ記事にたどり着きました。雪の中でテントサウナをしたらどうなる?という記事で、これだ!と思ったんです。」
様々なシチュエーションで自由度高く楽しめるテントサウナは、ラフティングとも相性抜群です。こうして出会ったラフティングとサウナは、一度は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて計画は延期。そんな困難を乗り越えて今回、11月に満を持して開催に至ったのです。
「テントサウナがあれば、観光としてのラフティングツアーだけでなく、冬の時期の競技やその練習でも、川からあがったあとの寒さをしのげます。御岳がいつか、川と山とサウナの街、のようになる日がくるかもしれませんよ。」
ラフティング&サウナの今後の開催予定については、クラブサイトにて随時情報発信予定とのこと。
アウトドアサウナとウォーターアクティビティの最高タッグは、これからの季節、寒さとは裏腹にどんどんアツい盛り上がりを見せてくれそうです!
■みたけレースラフティングクラブ
多摩川・御岳渓谷(東京都青梅市)にて2011年7月設立。
レースラフティングの大会運営や大会出場に向けての講習プログラム、ラフティングやパックラフト、ダッキーなどの体験プログラムなどを開催。
今後のラフティング&サウナについては、クラブサイトにて随時情報発信予定。
ツアーについての問い合わせは https://mitakerc.net/ へ。
■Sauna Camp.
キャンプ&サウナを愛するユニット。
テントサウナ遊びの楽しさを伝えるため、日々フィールドとサウナで活動中。
ロシア製テントサウナ「MORZH」の国内正規代理店。
https://saunacamp.net/