120年以上愛され続けている<ブラックポッド>
ロッジ/キャストアイアン・キャンプオーヴン ¥14,500(10インチディープ)¥19,000(12インチディープ)
1896年にテネシー州サウスピッツバーグで誕生したロッジ社は、4代にわたり受け継がれてきた全米No.1のキャストアイアンメーカー。アメリカ西部開拓時代にオランダからの入植者によって広まったというダッチオーブンは、これひとつでパンを焼いたり煮込みができたりすることから荒野の必携調理具となった。
問い合わせ先 エイアンドエフ 03(3209)7575
SPEC
●直径=φ25cm(10″ディープ)
φ30cm(12″ディープ)
●深さ=約11cm(10″ディープ)
約13.0cm(12″ディープ)
●重量=5.71kg(10″ディープ)
8.72kg(12″ディープ)
●素材=5mm厚・鋳鉄
●生産国=アメリカ
豪快な焚き火料理はこれなしでは語れない
今回の撮影は新品ではなく僕の私物をスタジオに持ち込んだ。なぜならダッチオーブンは革製の登山靴などと同じく“使い込まれて初めて完成する道具”だと思うからである。
何度も焚き火にかけられ、油分が金属表面に染み込んで黒光りするようになったダッチオーブンのことをアメリカでは“ブラックポッド”と呼び、キャンパーの誇りとされている。ブラックポッドに育て上げるためには洗剤や金タワシを使わず、お湯とササラで汚れを落としたあと火にかけて乾かし、オイルを塗布しておかなければならない。正直いって手間はかかるが、こうして仕上がれば油を引かなくても肉が焼けるようになる。
鋳鉄の鍋の特長は火に強く、蓄熱性が高いことだ。焚き火の温度は250~450度Cもあるが、ロッジ社のモデルは厚みが5mmもあり超高温にもビクともしない。また脚がついているので焚き火に直接くべたり、炭床を跨いで置くことができる。さらに蓋の上に炭や薪を置いて上火を使うことができるから、スタッフドチキンのようなオーブン料理は得意中の得意。豪快な焚き火料理を満喫するならこれ以上の道具はないだろう。
上火が使えるのでオーブン料理が得意
蓋に炭を乗せて上火を使うことで材料にまんべんなく火が通り、焦げ目もつく。鶏の丸焼きやローストビーフなどが定番のレシピだ。
分厚い鋳鉄の蓋はフライパンになる
本体同様5mmの厚みを持ち、中央がなだらかに凹んでいる蓋はひっくり返してフライパンとしても使える。鉄板焼きにとても便利。
3本脚があるので積み重ねて使える
ゴトクを使わなくても焚き火や火床にそのまま置ける。また積み重ねて蓋に炭や薪をくべることで、狭いスペースでも同時調理が可能。
メンテナンスフリーで頑丈な<ステンレスダッチ>
ソト/ステンレスダッチオーブン ¥20,000(10インチ)¥24,000(12インチ)
日本の新富士バーナーが開発したステンレス製の本格的ダッヂオーブン。2006年の10インチモデルを皮切りに、’07年に8インチと12インチ、’10年に10インチハーフ、’14年に10インチデュアル(二重)を発売するなど年々人気が高まった。なお’10年からはブランド名を「SOTO」に統一し、海外への展開も始めている。
問い合わせ先 新富士バーナー 0533(75)5000
SPEC
●直径(内寸)=φ25.9cm(10″)、
φ30.6cm(12″)
●深さ(内寸)=11.5cm(10″)、
13㎝(12″)
●重量=5.0kg(10″)6.9kg(12″)
●素材=4mm厚・ステンレス
●生産国=日本
ステンレスダッチは誰でも簡単に使える
一方、2006年に登場以来、日本のキャンプシーンを席巻しているのがこのステンレス製のダッチオーブンだ。僕はまだ「ソト」ブランドになる前の初期ロットから愛用(酷使?)しているが、本当に使いやすい。
最大の魅力はメンテナンスフリーなこと。使い終わったら普通の鍋や食器と一緒に洗剤や金タワシでゴシゴシ洗って転がしておけばいい。楽なのだ。
また料理をそのまま放置できるのもいい。鋳鉄の鍋でスープや汁物を作った場合、そのままにしておくとスープが黒ずんだり赤錆が浮くので他の容器に移さないとならない。その点ステンレス鍋は朝まで放置してもOKだから、焚き火を眺めながら飲んだくれそのまま寝落ち……という僕は大助かりなのだ。
さらに頑丈で取り扱いに気を使わずに済むところも人気の秘密。石の上に落とそうが、熱々のまま冷たい川の水に浸けようが割れる心配がない。だからキャンプ初心者にもオススメなのだ(ただし値段が高いけどね)。
ちなみに写真のモデルよりひとまわり小さな8インチもあり、これは家庭用コンロにジャストなサイズ。我が家では365日、これを料理に使っている。
スープパスタや鍋など汁物も気軽に作れる
汁気の多い料理も鍋に入れたまま長時間キープできるから面倒がない。鍋物の残りを翌朝雑炊にするということもできてとても便利だ。
洗剤でゴシゴシ洗え手間がかからない
油汚れは洗剤で落とし、焦げ付いたら金属ヘラでガリガリ擦れる。錆や酸化を気にすることなくほぼノーメンテナンスで使えるのがいい。
日本の職人技が光る超高度な加工精度
本体は4mmの分厚いステンレス鋼材を「スピン加工」という方法で成型している。上蓋は天火使用時の熱膨張を考えて設計してある。
※撮影/中村文隆 ロッジの10インチ(私物)は限定生産モデルで蓋のデザインが現行商品とは異なります。
(BE-PAL 2020年11月号より)