MTBもトレーラーも積む! 森を見守る軽4WDサイクリスト
三菱/パジェロミニVR 2010年式
ターボエンジン搭載の最終型。4WDは、ハイ/ローの切り替えができる。林道はもちろん、雪道でも安心のスペックだ。コイルスプリング式のリアサスペンションを搭載しているので、乗り心地も良い。
サイクリスト 西村久美子さん
北海道札幌市在住。MTBとファットバイクで、一年中ライドを楽しむ。休日は、森林ボランティア活動にハマっている。
「とっても素敵な山道を作るフリーランスの木こりがいる」
行きつけの自転車ショップの常連さんから、そんな情報を聞き付けた西村さんは、愛車パジェロミニにMTBを積んで、その森へ出かけた。
「原生林を守るために、間伐をして、道を作る〝木こり〟の仲間たち。彼らが作った作業道をMTBで走ったら、ほんと気持ちいいんです。目がうれしくて。その道は自然なカーブがあって、適度に光が差し込んで。森が生き生きしているんです」
その森、その道に魅せられた西村さんは、自転車仲間とともに、森林整備のボランティアに加わった。
「途中の道はもちろん未舗装路です。雨のあとはぬかるみもあるし、狭い場所もあります。そんな場所を走るたびに、このクルマで良かったと思うんです」
西村さんのパジェロミニは、実は2台目。ジムニーと迷ったあげく、最初の1台は、お試しのつもりで中古を購入。9年間で12万km以上乗り込んだ。
「自転車とキャンプ道具をしっかり積めて、悪路でも舗装路でも乗り心地が良かったんです。長距離を走ることが多いので、楽に走れることが一番でした」
冬は、ファットバイクを積んで300km近く離れた釧路まで、雪上ライドに行ったこともあるという。マイナス20度Cに迫る日にパジェロミニで車中泊をしたという武勇伝も。
「8年前、パジェロミニの生産が終わると聞いて、慌てて買ったのが2台目です。このサイズ、この走り、この使い勝手が、私にとって丁度いいんです」
隅々まで知り尽くした愛車の室内には、隙間まで効率良く遊び道具が積み込まれていた。驚くことに、MTBだけではなく折りたたみトレーラーまで。
「自動車で行けるところまで行ったら、その先はMTBで。私にとって自動車は森へ行く手段。森の中では、鳥や風の音や空気を感じるために、MTBで走るんです。気持ちいいですよ」
西村さんと愛車たちが、森の一部のように馴染んで見えた。
自転車+トレーラー+キャンプ道具を運ぶ
森林ボランティアの際に使うMTBとトレーラーのほか、この日はキャンプ道具も満載。「ひとりで遊ぶには十分な積載力です」と西村さん。
自転車のハンドルがガラスにあたって割れたり、走行中にガタガタと気になる音がしないよう、ハンドルカバーを自作した。
助手席は一番前に出して、さらに背もたれを前に倒す。こうしておけば、自転車の前輪をはずすだけで、車内に積み込めるそうだ。
ステッカーチューンで気分をアゲる
「イベントや仲間にいただいた思い出のステッカーをベタベタ。これだけで愛着が増すんです」。
一番のお気に入りは「BIKE AND BEER」。
軽4WDだから森の道も安心
「4WDは、冬でも安心だし、ぬかるみや轍も気になりません」と西村さん。
森を守るために道を作り間伐をし、自ら誇りをもって「木こり」と呼ぶ人たちと、この日も森で汗をかく。
たためる道具が車載のポイント
「落ち葉を集める道具を自転車で運ぶために、折りたためるトレーラーを買いました」と手際よく、トレーラーを組み立てる。
空間を有効活用するフックは100均で購入した。
山で遊ぶ安心の常備品
テント泊、車中泊で使用する寝心地のいいサーマレストのマット。
値段とコンパクトさで選んだモンベルのシュラフを愛用。
いつでもキャンプできるように、ハンモックテントも積んでいる。
非常用も兼ね、1〜2日間は過ごせる食料品や熱源を箱に入れて常備。
西村さんが通う札幌市の「サムズバイク」。クリエーターの情報交換の場になっていて、森林ボランティア活動もここから動きだした。
長く愛せるクルマの3箇条
1 必要な遊び道具をきっちり積める
2 自分の生活に合ったサイズと走破性
3 長距離を走っても疲れにくい乗り心地
※構成/山本修二 撮影/野原 肇 協力/高木義人、out woods、SAM’S BIKE
(BE-PAL 2020年12月号より)